久しぶりに食べたきしめん。伝統のきしめんとは少し違う感じ : きしや

うどんEAST百名店のコンプリートなんてぶち上げてしまいましたが、百名店でも全国一本の百名店はもちろん、EASTとかWESTというエリア設定があってもコンプリートのハードルはかなり高いです。
現役のサラリーマンで出張も多い生活ならまだしも、現在の職場は(現役でないと言うと怒られそうですが)出張はほぼ皆無ですから、遠方のお店は基本的に休日に行く必要があります。

うどんEAST百名店で住まいのある東京から遠いところと言えば北は札幌、西は名古屋ということになりますが、その中でも名古屋中心の愛知県については、隣接する岐阜県(多治見市の信濃屋)を含めて12店の百名店が集積していますから結構大変です。
そのため本腰を入れて取り組む必要があり、しかも基本連食は昼食も夕食も2店までと決めている今の私の実力だと1日や2日では名古屋エリアの制覇は不可能です。

このため、2022年4月下旬に1泊2日で名古屋を訪れて12店のうち半分の6店をクリアしたところですが、今回は残りの6店を攻略すべくやはり1泊2日の小旅行を企画しました。
前回の行程で、12店のうちでもアクセスの便の良くない前記信濃屋や西尾市の「讃州手打ちうどん 我龍」をクリアしており、今回の6店は全て名古屋市内なので多少は気が楽ですが、それでも事前に営業確認したところ「当日になってみないと分からない」なんて言われたお店もあり、そこはある程度運を天に任せての実行となりました。

この日は、品川発9時台の新幹線で名古屋に入り、まずは名古屋市営地下鉄の「地下鉄全線24時間券」＠760円を購入します。
この24時間チケットは、従前の1日乗車券に切り替わって導入されたもので、最初の入場時刻から24時間後の入場まで有効の乗車券で、私のような1泊2日の行動をする客にとってはとても使い勝手がいいチケットです。
市営地下鉄の1回当たり乗車運賃は＠210円～@240円が相場ですので、4回乗れば元が取れる計算。この日は都合7回乗る計画ですのでかなりお得ということになります。(参考までに写真を掲載しておきました。)

名古屋では2度に亘り都合6年近く暮らしましたが、そこで感じたことの一つに名古屋市民が「お値打ち」という言葉を多用することが挙げられます。
これはやはり尾張商人のDNAかななんて思ってましたが、この24時間チケットも恐らくお値打ちと思われていると思います。

そんな名古屋での行動ですが、この日の百名店1店目は名古屋市営地下鉄東山線の池下駅近くにあるこちらのお店にしました。
店名のきしやは正確には「㐂しや」と書きます。
きしめんの語源と言われる碁石麺ないし棊子麺とは異なりますが、当店は平打ち麺の専門店で、きしめんと平打ちラーメンを二大看板メニューに掲げています。

創業は2001年(平成13年)6月と伝統のきしめんのお店にしては歴史は新しい方だと思われますが、平打ちうどんに魅了された店主が、研究を重ねて作り出したオリジナルの平打ち麺をウリにしています。

当店の場所は池下駅を出て錦通りを西へ300mほど進んだ左手になります。
ランチタイムは11時から営業しているお店ですが、この日は11時25分頃の訪店になりました。
当店の周辺は、平日の昼間は割と閑散としており、飲食店も点在している程度の密度です。

ビルの1階にちょっと年季の入った看板がかけられているお店ですが、竹材を多用した店内は小綺麗にまとまっています。
客席は、カウンター席が4席のほか、4人用テーブル3卓、2人用テーブル1卓の計18席のキャパです。
先客はテーブル席に2組4名で空いてましたが、私はカウンター席に案内されました。

卓上にはメニューが置かれていますが、きしめん、ラーメンの一品料理メニューのほか、ランチのサービスセットメニューもありました。

注文は、きしめんメニューからとり南蛮きしめん@1,000円。
きしめんはスープの種類で白(塩、昆布、本枯節)と赤(本たまり醤油＋本枯節)があります。
こういう時はおススメの順にメニューに書かれているはずとの経験則により、白の方でお願いしました。

出来上がりまで意外に時間が掛かって、待つこと10分ほどでようやく注文のとり南蛮きしめん(白)が提供されました。
黒い丼に透明度の高いスープが食欲をそそるビジュアルのきしめんで、具は鳥もも肉のぶつ切りのほか、酢で〆られた蓮根、てまり麩、油揚げ、紅白かまぼこ、白ネギとなかなかカラフルです。

きしめんは、太めで透明感に乏しいですが、その分、小麦の味がしっかりするタイプです。
ただ、このスープだと、日頃愛用しているサンサスのきねうち麺のようなモチモチの麺の方が合いそうな感じはしますね。
コシというよりは硬さが目立つ麺で、麺としての繊細さはイマイチに感じました。

具も、味よりは見た目に傾斜している感じで、鶏肉の量はまずまずでしたが、それ以外の具の主張が弱く、全体に単品1,000円のメニューにしてはやや貧弱な感じがします。

ただ、だし汁は昆布塩の風味がよく出ており、とても美味しかったです。
これは、名古屋伝統のきしめんにはない味で、新たな1ページを切り拓いている感じは受けました。

全体にきしめんで新境地を目指したい気概は感じられるものの、それが花開いているレベルには達していない感じで、百名店として強調出来るか？と問われると私はややネガティブにならざるを得ないですね。

今回の名古屋での百名店巡りの出だしとしては、残念ながらあまり良いスタートになったとは言い難かったです。