飽くなき探求心が導き出す冴えわたる天風良 : にい留

『にい留』さん。
御主人の話を伺っていますと、天風良に対する探求心は留まる所を知らないのだと感じます。
満足するのはあくまでもお客様であり、ご自身は満足しているのでしょうか。
いつもこれ以上のものをと考えていらっしゃるのではないでしょうか。
お客様に美味しいと言わせたい、思ってもらいたい、その為に最良の食材を最善のタイミングで準備し、粉も直前に用意なさりと、とても繊細なお仕事をなさってらっしゃいます。
カウンター越しにその凛とした姿勢や所作を拝見していると、その真剣さにこちらも息をひそめてしまいそうです。
御主人がおっしゃる天風良についての考え方は、素人の私ごときが語るものではないと感じましたので、ここからは私の私的な感想でレビューしたいと思います。

まずは生ビールからスタートします。

◎東京三つ葉と蒸し鮑
三つ葉の今までのイメージとちょっと違います。このシャキシャキさはなんでしょうか。そこに柔らかな食感の鮑の旨味がじんわりと拡がります。

◎真鯛
地物の真鯛は3.6kgの大物。もっちり・ねっとりとした食感です。旨味が感じられ凄く美味しい。

◎和歌山の鰹
艶がありてかてかです。透き通った味とでも表現したらいいのでしょうか。ねっとり感もあり最高に旨いです。大きな切り身ですから、箸でくるんと巻いていただこうとしますが、弾力が強く上手くできません。折りたたむのは諦め口をあんぐり大きくしていただきました。

◎余市の塩水馬糞のお蕎麦
塩水雲丹を天つゆでのばしたお汁が雲丹の味そのもの。そこに合わせるお蕎麦のコシの良さ。素敵な組み合わせです。

天風良始まりです
☆車海老の前脚
先ずはそのまま、二尾目はお塩で。カラッと軽いです。

☆車海老二尾
脚を揚げたのちに粉から衣の準備です。予め用意はしていないんです。
一尾目はそのまま一口、次は塩で。身は半生レアです。衣が薄衣です。
二尾目は天つゆで。二尾目は衣が割としっかりとした感じですが身はやはり半生です。

☆障泥烏賊　地物
烏賊を３週間寝かせていたそうです。これには一同びっくりの声が溢れ出ました。旨味が強いです。濃縮した美味しさです。

☆ウロハゼ　
御主人がこの食材は５年ぶりだと仰っています。夏ハゼとも呼ぶそうで生命力は強いが、20匹仕入れても10匹位は死んでしまうそうです。鱗が大きいのが特徴ですが、白身でも透明感があるようです。揚げることで身が随分とギュッと縮みましたが、とても美味しいです。高級な食材ではないそうですが、身がほろほろっとしたものでいい味です。

☆赤オクラ　沖縄産
香りがいいです。火を止めて揚げることで香りが逃げないそうです。

☆ロマネスコ ズッキーニ　愛知県岡崎産
これは凄い、衝撃的な味です。水分量がもの凄く、熱々で火傷しそうな程です。ジューシーなんです。

☆鱚
身の水分がしっかりと残り、クリアな味わいです。雑味も嫌な臭みもなく美味しい。

☆おおものとうもろこし 一つ目
☆おおものとうもろこし 二つ目
一つ目でこれは甘くて美味しいと実感しましたが、二つ目は更に甘みが強く感じられ香ばしさもプラスされた感じです。

☆子持ちシャコ　宮城県産
シャコの個体が大きいです。卵を抱えていますので香りがいいですとても。味わいが濃厚です

口直し
★無花果の胡麻ペースト
この組み合わせの絶妙さに驚きます。無花果がワンランク上の果物に昇華したようです。

☆蛤
何も付けずにそのままで。これも水分を凄く感じます。下味は何も付けないでこの旨味、打粉をすることでたっぷり旨味を吸わせているそうです。

☆鱧
伊勢湾の鱧しか御主人は使わないそうです。鱧の骨切りを目の前で拝見していましたが、シャキシャキと耳障りが良い音が奏でられていました。水分コントロールが絶妙なんですね、魚によって衣も揚げ方も違っているように感じます。ふっくらとした鱧は梅肉ソースでいただきました。

☆紫アスパラ　長野県産
濃いんです味が。アスパラガス、こんなに美味しいのと驚愕です。

☆鮎
苦みの後に甘みがやってきました。
☆茄子
エア感が凄いんです。なんて美味しさなんでしょうか。こちらの水分もたっぷりと残り野菜の天ぷらがこんなに美味しいなんて。

☆赤雲丹に海苔
☆穴子　三重県産
☆さつま芋
2時間じっくりと揚げたさつま芋の色が凄い事になっています。こんがりとはまさにこのさつま芋の状態を指すのかと思ってしまいます。表面がキャラメリゼされ甘さが素晴らしい。いつまでも湯気が立ち昇る熱々さは凄いです。お芋の甘さだけで充分です。何も付けません。
☆天茶 香の物
お米は奥様の実家で作られたものだそうです。青のりがいい香りです。お茶に入れてもかき揚げがしっかりと残っています。

★鬼灯　

このような素晴らしいラインナップのお料理、言葉での表現も難しく全くその味を言い伝えできないと思います。
それだけ素晴らしいと暗に伝えたいのですが。
揚げている音がとても良かったんです。揚がり具合で音も変化していることが分かりましたし、その香りもとてもいいんです。
ホテルに帰り着替えた時に、あれ油臭くないと思いこれはかなりの驚きです。
他のお店でやはりカウンターで頂いた際には、油の匂いが沁みつてしまい嫌だなと思った経験が多々あります。
何が違うんでしょうね。

今回も主催者様にお声がけしていただき、この様な席につかせていただきました。
素晴らしい世界を体験でき、心より感謝いたします。
ありがとうございました。

怒涛の５時間、あっという間でした。
時を忘れるとはこの事です。

凄く素晴らしく美味しかったです。
ごちそうさまでした。


　

日本一と今噂の『にい留』さんへ伺えるとは夢にも思わず、幹事様には心より感謝申し上げます。
さらに今回参加されたメンバー様にも初めてお会いでき感無量です。

日中は日差しも温かかったのですが、日が暮れるとやはり風が冷たく感じます。
栄のホテルからこちらまで徒歩で約１６分、Google頼りに伺いました。

緊張しますね～、初対面の方ばかり！
それ以上にお会いできることが楽しみです♪

さて本日頂いた物を以下に。

★まずはシャンパンで乾杯
★山えのきとイクラのお浸し
生のイクラはこの時期はもう終盤、今回はご主人が手間をかけ柔らかい粒を選別されたそうで、ほんとうに柔らかで味付けはとても上品、山えのきの食感・味とともに言うこと無しです。
★カワハギの昆布締めに肝
昆布締めされたカワハギのねっとりとした口当たりと肝と和えた濃く旨さは、いや～シャンパンがすすんでしまいます♪
器はバカラです。きゃー素敵！
★聖護院かぶらを鯛のお出汁で炊き合わせ
うわ～蓋を開けた瞬間に柚子のいい香りと共にシンプルなお料理の登場です。ご主人敢えて鯛の身は入れずあくまでもお出汁として使用した贅沢な逸品。この出汁の美味しさ、風味が良く味わいは柔らか、蕪がとろんと消えてしまいます。シンプルに見えるのは見た目のみ、味の奥行きの深さは深海２０００でも到達できるかなぁ～？
★佐渡のぶりを辛み大根で
ぶりを熟成させられたそうですが、やはり旨味が増しているのでしょう。辛み大根と合わせたこれもとてもシンプルな組み合わせですが、想像を上回る美味しさに唸ってしまいます。また海苔の風味がいい塩梅に調和してます。

これより天ぷらスタート。
☆車海老の頭
う～ん、旨い！このからりと揚げているのに程よい食感はなんでしょう！そのままで味わいが充分に感じられますが、二つ目をお塩でいただくと、さらに旨さが際立ちもっと食べたいです(^^♪
☆車海老を二本、違う揚げ具合で
最初は、衣が食べた時すぐに消えてなくなるそんな表現でしかお伝え出来ませが、そんな感じです。なんて雑なって思わないで下さい。こんな繊細な衣は初めていただきました。
二本目は衣がしっかりと立った様な見た目ですが、海老自身は半生レア。温度の差でここまで変化させる技には驚愕いたします！
幹事様はご主人の揚げる手先が見える言わば特等席。そこから実況が聞こえてきました。「今火を消したよぉ～！火を止めるなんて考えられない！」実況生中継でした（笑）
☆剣先イカ
ほほほっ熱いわ～(^^;　天ぷらの醍醐味はまさにこの温度だと思います。カウンターで揚げたてをいただけ、尚且つ桁違いの美味しさ、凄い経験をしていますわたくし。半分は塩で半分は天つゆでいただきました。天つゆがまた美味しいんです。大根おろしをたっぷりとあんぐり。一品で二度美味しい。
☆銀杏・絹サヤ・銀杏
あれ、ぎんなんってこんなに美味しかったか？なんでしょう、これも？なになに、小さな一粒が巨人クラスの味に感じます。今までの概念がこの小さな一粒により覆されたか。ちょっと大げさですが香り良く美味しいです。
☆出ました姫子鯛
これは本当にふっくらと水分が残る素晴らしい逸品です。この姫子鯛、これを取る為の漁は無いそうで、とても貴重なお魚だそうです。横須賀佐島産は静岡沼津産よりも美味しいので佐島を使用しているそうです。四日間寝かせ水分を調整された身は、揚げる温度でここまでふっくらしっとりと仕上げる、ご主人の天ぷらイズム、凄いな～。揚げる合間に色々とお話を伺いましたが、もうこれだけ天ぷらに向き合う食材選びから、下処理、粉と水の衣の塩梅、油の配合から温度まで。全てに於いて完璧を目指していられるんです。お寿司屋さんでさばき方も学ぶために時間を割かれたりと。
この姫様、最高です(*^^)v
☆スナップエンドウ
鹿児島産のこちら、甘いんですほんのり。糖分が揚げることで焦げそれが甘みに感じるそうです。
☆岩手大船渡赤崎の牡蠣
これもあっついわ～！牡蠣自体の塩味だけで充分に美味しいです。この大ぶりな牡蠣は何も付けずにいただくのがベストだと感じました。よくミルキーと表現しますが、まさにとろけるミルキーは母の味！すみませんおふざけが過ぎましたm(__)m
衣と身のバランスが図抜けています。
☆山牛蒡
香りがいいですし、お芋の様な食感でこれまたほんのりと甘いんです。
☆香箱蟹
越前がにの黄色いタグが付いています。１１月より解禁になった旬物。ご主人曰く「香箱は揚げたほうが美味しい」
確かに、猛烈に蟹の味が濃いです。内子も外子も身のすべてを甲羅の中で和えながら頂きます。浜茹でされた越前蟹を揚げるのが一番美味しいそうですが、ほんまや～(^^♪旨旨蟹蟹あ～止まらない美味しさが～！水分の抜けが優しく潤い感が残る至極の逸品だな。
☆アスパラガス
まず太い。穂先から順にいただきました。水分がしっかりと封じ込められとてもジューシー。
☆真鱈の白子
これはやばい位に熱いです！大きな白子をあらかじめ半分に切って出して頂きましたが、中の温度まで考えず一口でぱくり。
ほあほあ〇×▽◆？！・・・あ～あっちっち。
白子自体のポテンシャルが高い今年初めてみつかったとご主人。えっ、それをあたくしあっちっちってしちゃいました。何と不届きもの。こちらは塩で頂きましたが、もう最高です。かなり低い温度で揚げているそうです。クリーミーさはもう口の中で大変な事になってます。熱くてじゃなく美味しくてですよ。
☆海老芋
わたくし海老芋は大好きな食材。まったりとしたこの感触と味がたまらく好きですが、あれれ、ここのはもっと美味しい！
下処理としてお出汁で二晩炊いているそうです。ねっとりまったりと悶絶しちゃいました。
☆愛知産の蓮根は皮つきで
こちらはじっくりと時間をかけ揚げるそうです。この甘みが素晴らしい。食感はシャキシャキ。野菜の水分も絶妙なタイミングと温度で揚げ、その食材の個性の引き出し方のなんと素晴らしい技術、感無量です。
☆青森産ムラサキ雲丹
これも尋常じゃない美味しさ。雲丹の揚げ方がまた私は経験のない揚げ方です。海苔の上に雲丹をのせ油の中でどんぶらこどんぶらこ。雲丹の濃厚な旨味がダイレクトに伝わり、そこに海苔の風味が鼻を静かに抜けます。あ～絶句！
☆椎茸
水分がコントロールされジューシーよりも旨味が圧倒する美味しさです。椎茸の味がここまで天ぷらで引き出せるんですね。ただ脱帽するのみです。
☆対馬の穴子
すみません、ここで私のお腹はパンクしてしまいました。もう食べられませんごめんなさい。そのままの残す訳にもいかないですから、お隣の尊敬するＲ様にパスをしましたら、快くゴールまでお運び頂きました。申し訳ございませんでした。

以下、天丼もこぼさず横パスです。決してスローフォワードにはなっていません。何を言っているのやら(^^;

締め
こんなに素晴らしい天ぷらにはお目にかかったことはありません。
衣の揚げた感じに食材の持っている本来の美味しさを最大限に引き出す巧みな技術、新留様はまさに天ぷら職人です。
お話を伺っているとかなりの辛口でしたが、今回この席を設けていただいた幹事様の持って生まれた魅力と訪問回数を重ねてできたお互いの信頼関係により、スタートから終始和やかな雰囲気の中、二回目の参加の方々のまたのりのよさで、新留ご主人も気分よくお仕事ができたようです。
凄いお店です『にい留』さん。
予約は月に決められたいちにちのみだそうです。

今回この様な席に招いていただき、幹事様には重ね重ね御礼申し上げます。
また参加された、レジェンドの方々（みんなレジェンドでくくってしまいました）楽しい時間を共有できて、とても嬉しく思います。
食べログ、当分辞められなさそうです(^^♪

新留様
素晴らしい天ぷらの世界を満喫させていただきました。
ありがとうございます。

ごちそうさまでした。