間違いのない上海蟹 : Joe'skitchen

JOE'S KITCHENさん

私は蟹が好きです。
しかしお恥ずかしいことに、上海蟹は未体験。

昔から興味深々ではありましたが、あのとっても小さな蟹にそれなりの金額を払うってどうなのかと疑問もあり、今後の課題としながら中々手をつけられていませんでした。

今回、ようやく重い腰を上げて上海蟹と向き合うことにしました。絶対に失敗したくないとの思いで最初のお店はJOE'S KITCHENにすると昔から決めておりましたので予約して伺いました。

お店は看板もなく真っ赤な扉が目印です。古いビルの奥に目にも鮮やかな真っ赤なドア。隠れ家感満載。オシャレにも程があります。

お店の中はテーブルごとに区切られてカウンターが面しており、雰囲気はとても良いです。

今回頼んだのは9000円の上海蟹コースに雌の蒸し蟹をプラスした13000円のコースです。通常は蒸し蟹は雄のみですが、今回は雄雌共に蒸し蟹を楽しめます。

まずはエビスの瓶ビールで乾杯！

早速、生きたままの上海蟹がお皿にのせられて登場！上海蟹の最高級ブランド陽澄湖のタグ付きです！生きていますのでご確認下さいとのこと。ぐるぐるに縛られて動くことはかないませんが、手でチョンチョン触ると目がキョロキョロ動きます。中々かわいいです。今回、雄雌の両方の蒸し蟹コースを2人でいただきますので四杯の蟹の登場でした。このまま蒸されるそうです。さようなら。

今回のコースでは以下の品をいただきました。

・上海蟹の雌の紹興酒漬け
早速、上海蟹の雌の紹興酒漬けが提供されます。1人一杯の提供。黒いのが卵、黄色が味噌となります。下味にニンニクの風味を感じます。味噌は濃厚で甘く、卵はねっとりとした感じ。この上海蟹、淡水の蟹なんですが、全く生臭さを感じません。身も甘みがありトロトロと口の中でとろけます。以前、金沢のいたるさんで香箱蟹の日本酒漬けをいただきましたが、今回の上海蟹の方が味噌も濃厚で断然上ですね。いいものをいただきました。

ここでお酒を上澄紹興酒のデカンタにチェンジです。この上澄紹興酒、ちゃんと紹興酒の風味がありますが、癖がなく後味はキリッとして辛口の日本酒にも似た雰囲気。とっても飲みやすくて、上海蟹との相性も抜群でした！

・上海蟹の蒸し蟹（雄、雌）
満を持しての登場です！真っ赤になっておかえりなさい！お皿に雄雌の蟹がちょこんと乗っています。小さな蟹です。お店の方々から熱いうちに味噌を食べるように勧められます。雄の方が味が濃厚なので雌→雄の順に食べるのがお勧めとのこと。まずは蟹の脚とハサミを全部もいでダルマにすると良いそうです。早速いただきます。

まずは雌から胴体を二つに割って熱々の味噌にかぶりつきます。うーん、上海蟹を食べるってそういうことなんですね！似ているものといえばウニ？他の蟹の味噌とは全く違うベクトルの味です。うまい！！！内子（卵）は他の蟹と同様の味。

続いて雄の味噌を、、うおぁ、雌の味噌をさらに濃厚にした風味。バターみたいな、、ありきたりな表現ですいません。でもうまいんです。何故、もっと早く食べなかったのかと後悔の念。でも今、知ったからいいんです。この小さな蟹にしてはおかしいほどの味噌の量。恐ろしい蟹です。上海蟹。この味も蟹の蒸し加減が絶妙だからこそでしょうね。味噌は熱々のうちに食べなくてはいけない。でもこの極上の味を肴に紹興酒とゆっくり楽しみたい。悩ましい葛藤と闘います。

味噌の次は、今までに培った蟹解体スキルを総動員して身をほじくります。意外にも身の量は結構あります。細い脚の肉も可食部です。身の味はズワイガニや渡り蟹と同じく蟹の味ですが淡白。淡水の蟹の身は初経験ですが癖も臭みもないのは意外。沖縄で食べたマングローブ蟹の方がよほど癖がありました。味噌のインパクトに比べると身は普通です。やはり味噌こそが上海蟹の真髄ですね。

ちなみに他のお店では上海蟹を食べやすくさばくサービスがあったりしますが、こちらではさばいた途端に熱々の味噌が冷めてしまい味が劣化してしまうとのことで、そういったサービスはしていないとのこと。納得です。蟹は自分でさばいてこそですね、やっぱり！

・松茸と金華ハム、干し野菜のスープ
松茸のスープです。松茸と金華ハム、干した野菜から出汁が出てます。なにやら薬膳的な体に良さそうなお味です。あったかいスープは体が落ち着きますね。

・天使の海老のガーリック炒め
ニンニクの風味が効いた、辛めの味付けです。海老はプリプリで頭を取り外して口に入れると海老味噌の風味も楽しめます。

・三河豚の叉焼
突然、カウンター上に叉焼が吊り下げられ、脂がポトポト落ちていきます。その後に切り分けられて提供されますが、心憎い演出です。叉焼はほんのり甘く香ばしさもあり、ジューシーでとっても美味しかったです。

・富山のつぶ貝の和え物
お店の方はつぶ貝とおっしゃってましたが、バイ貝のような、、、うる覚えですいません。貝をザーサイと和えたものです。ピリ辛で美味。ザーサイも美味しく、この後のご飯ものとの相性も良いです。ザーサイは自家製なんでしょうかね？

・マナガツオの蒸し物
マナガツオの蒸し物にネギやパクチーの香味野菜がのっています。マナガツオはとっても柔らかく脂も乗っていて、香味野菜との相性も抜群！パクチー好きなんでたまらん一品でした。

・紹興酒漬けいくらご飯の四川花椒かけ
白いご飯にたっぷりの紹興酒漬けいくらをかけて、その上に四川の花椒をかけたものです。色合いが華やかで何より豪華な一品。いくらはもちろん期待を裏切らず、花椒がピリッとしてアクセントを加えます。とっても美味しかったですが、少しいくらがしょっぱかったです。

以上がコースメニューとなります。
上海蟹は抜群にうまく、その他のメニューも美味しく大満足でした！やはりJOE'S KITCHENさんで人生初の上海蟹をいただき大正解でした！

こちらのレビューを見ての訪問でしたので、てっきり去年と同じメニューかなと思ったのですが、メニューも大幅に変わっており、これなら毎年伺っても楽しめますね。

お店の方に聞くと、大体上海蟹は10月から12月頃までの提供だそうです。今は味噌がメインでこの後は雌は卵、雄は白子が増えて味噌の量が減るといった具合で味も変わっていくそうです。上海蟹、奥深し。またこちらのお店は個人経営のお店としては上海蟹の取り扱い量が日本一だそうです！お店の方の話からも上海蟹に対する確固たる自信が伺えます。こんなお店が名古屋にある幸せ。

今回は初上海蟹でしたのでお試しの意味もあり雄雌両方の蒸し蟹をいただきましたが、今後はより味噌が濃厚で美味しかった雄の蒸し蟹だけでも十分楽しめるかと思います。雌は紹興酒漬けで味噌と卵を楽しみ、雄は蒸し蟹で濃厚な味噌と白子を堪能する！これがベストですね。一緒に食した相方も同意見でした。

お値段的に年に一回の贅沢となりそうですが、これから毎年上海蟹をJOE'S KITCHENさんで楽しみたいと思います！

美味しい蟹を本当にありがとう！
ご馳走さまでした！