山猫軒トリセツ～食べ手を選ぶ注文の多い料理店 : 山猫軒

【総評】
・食べ手を選ぶ注文の多い料理店。
・店主は伊藤様。内装にも器にもお金をかけず、安心安全な食材やお酒を安価に提供することに資源とエネルギーを集中投下。店主様の言葉を借りれば「自分の口に入れる物しか提供しない」ということ。具体的に例示すれば抗生物質やホルモン剤を投与されて育った物や、ガスバーナーで炙った品は決して出さないということ。
・心血を注いで集めた素材やお酒を少量多種類で極力安価に提供しようとの心意気のあるお店。「高額食材やお酒も大人数でシェアし、ロスを極小化すれば単価を下げられる」という哲学を貫くディスカウントストア。万人には伝わらないかもしれないが実は店主様はサービス精神旺盛。お客さんのリクエストにはできる限り応えたいとの熱い想いを持たれている。
・味わいがクリアで、それ自体の味の濃い食材達。素材の味わいを活かしつつ、惜しみなく手をかけて提供される品々を堪能。
・店主様の考え方に共感できる人には是非訪問して欲しいと思うお店。個人的には非常にフィットして大満足。スッポンの季節に再訪したい。

＜心構え・システム・ルール等＞
・見た目や清潔感が気になる人は訪問してはいけない。器好きの方にもフィットしない。
・スタートから退店迄、約3時間半。時間にもお腹にも心にも余裕を持って、存分に楽しむつもりで訪問するのが吉。
・通常営業の場合、1万5千円のコースがベース。税前価格。消費税加算。サービス料はなし。
・季節毎に「スッポン尽くし」に代表される「づくし」のコースがある。
・お酒はおまかせ3千円がオトク。ワインや日本酒が皿に合わせ提供。おまかせの途中でソフトドリンクへの変更可。
・口に合わないお酒は無理して飲まない。気に入ったお酒はお替り可。
・次のお酒が供されるタイミングで前のお酒が残っている場合、無理して飲み干さない。
・シャンパン、白ワイン、赤ワイン、日本酒等、お酒の種類が変わる場合、グラスが交換される。
・例えば、日本酒の銘柄が変わるだけの場合、グラスは交換されない。
・グラスは樹(ITSUKI)という楕円形の特注品。店主様によれば、お酒の味が凝縮され、かつ飲み口がマイルドになり、お酒の味をこわさない世界唯一のグラスなのだそう。

＜料理の内容＞1万5千円のコース＆追加デザート3種＆おまかせのお酒。
・今回のコースは前半がイタリアン的で後半が和風。元々はイタリアンをベースにされているようだが、現在は和のテイストの料理との二本柱。
・価格を考えると物凄いボリューム感と質。決して少食ではないオジサンでも腹パン。やややりすぎ感あり(笑)もう少しだけ手前で止めて、価格も少しだけ抑えて頂く方がお客目線ではありがたいかも。
01.ブルーチーズ等のチーズ3種。ニンジンのソース。コーンパン。
02.コーンのガスパチョ。鯛の出汁。
03.タスマニアサーモンのマリネ。皮目だけ焼いた物。鮑のマディラソース。巨峰のような葡萄。
04.生ハムメロン。無花果。水牛モッツアレラ。手羽先。牛肉のロースハム。
05.宇治田農場の玉子を使った目玉焼。バゲット付き。マッシュルームとトリュフのソースに黒トリュフ乗せ。
06.トリッパ。仔羊のロースト。ブルーチーズ。食用ほうずき。じゃがいも。
07.マンゴー(宮古島産と台湾産の食べ比べ。宮古島の方が濃厚で糖度が高く、台湾産の方が水々しく爽やか。)
08.八寸。丹波篠山の黒豆をてんさいで炊いたもの。鱧の落とし＆梅肉。平目刺身。アイナメ焼霜。バイ貝。かますの寿司。金時芋。おひたし。茄子のふる漬。紅生姜。
09.天然鰻の蒲焼。皮目がバリバリとクリスピー♪
10.鱧と松茸のお椀。
11.あずきハタの煮付。出汁を使わず。
12.グラスフェッドのステーキ。牛バラ肉のチャーシュー。
13.玉子かけご飯。鳥皮。醤油。
14.パンナコッタ。ほんまもんのパンナコッタだそう。
15.牛乳アイスクリーム＆ピスタチオソース。ピスタチオのコクが素晴らしい。
16.キリマンジャロ。キリリとした苦味。
お酒は完全おまかせで3千円。ワインと日本酒が10種類超。オトク過ぎ。
会計の詳細は失念したが、確か2万2千円弱。

＜訪問記録＞
■日時:2017年8月18日の夜。
■場所:最寄駅は丸の内。8番出口から北上→最初の角(かつやさんが目印)で左折→東横インを越え、最初の角で右折→御薗通り沿いでPAFF LABOさん(タルトと米粉パンのテイクアウト店)と和食の「かみその」さんの間のビルの２階。事前情報がなければ決して飛込みで訪れることはないだろう立地。重厚な扉を開け入店。当地への移転前は豊橋で営業。
■お店の状況等
・想定していた通り、荷物置き場のような見た目の店内。乱雑さを嫌う方はビックリすると思う。(掃除や整理整頓は大の苦手なので、親近感を覚えた。)
・調理場を囲むカウンター席のみ。キャパは20名弱。
・店主様が低い声で軽妙に語る劇場。
・5人体制。2人の調理専担の女性が必死の形相で調理に取り組み、当店を支えているとの印象。
(2017年11月12日時点:レビュー78件。4.24/マイレビュアー様6件。4.33）