名古屋の宝！！！ : メゾン ルパン ミュラ

ここも早くから例の赤い本に載ることが決まっていますが、なぜか食べログでは☆４．０以下・・・

東京から有力レビュアーがやって来てレビューしないと、地方の店は高得点にならず、逆に東京の店は大したことなくても（ごめんなさい）☆４以上になると言う、食べログ評価システムの弱点のせいで、まだあまり目立っていません。

大名古屋ビルヂングの中の狭いスペースで、トイレは外部と言う欠点はありますが、それ以外は非常にレベルが高いお店です。

名古屋で天才と呼ぶにふさわしい料理人はほんの数人ですが、松村シェフは間違いなくその一人。

名古屋のミシュランが８月に出版されたらこの状況も激変するでしょう。

本人は現在４８歳ですが、名古屋の便利な場所にもう一度路面店を出す意欲十分で、ますます楽しみです。

実は前回来たときは松村シェフが不在でしたが、この店は優秀なスーシェフがいて別な場所で下ごしらえをしているので、料理はそれほど変わらないかと思ったのですが、やはり松村君が仕上げしないと魅力は半減するようです。

ワンクリック追加していただけば、かなり下の方ですが、フレンチでありながら日本料理の季節感を取り入れたこの店の魅力について詳しく書いています。私が超一流と評価する他の店同様に、料理は宝石のように美しく美味しいだけではなく、味わった後も口の中に食材の本来の香りが長く残るのが気持ち良いです。

昨年は一回お休みしましたが、今年は例年通りメゾン・ルパン・ミュラのお節です。

二段重で税込３８０００円ですが、とにかく毎年呆れるくらいの美しさ！お正月にはぴったりです。合わせるシャンパンは、クロ・ジャカン、ブラン・レミネールと飲んできましたが、今年はちょっと毛色を変えて、アンドレ・クルエのロゼとセドリック・ブシャールのローズ・ド・ジャンヌと個性的なシャンパンを・・・

人気があまりにもあるので作るお節の個数を増やして、初期の最高のレベルが若干落ちた印象もありますが、「フランス産フォアグラのクレームブリュレ黒トリュフのソース」は超絶品！！！アマレット風味の丹波産黒豆と金柑のコンポートなど滅茶苦茶美味しくて、以前よりやや味が落ちたと言っても、あっという間に家族の手が伸びて二つのお重は空になりました。和風のお節だと毎年どうしてもいろいろ余ってしまうのに比べると、こういう空になる(^^;)お節は貴重です。

昨年末には日進市赤池にオープンしたプライムツリーに、「ＭＩＳＨ」と言う量り売りの焼き菓子専門店もオープンさせて、松村さんますます元気なようです。

素晴らしい美的センスと凄みさえ感じるシェフの味覚嗅覚！すべての感覚に自信のある方は予約を入れて一度訪れて下さい。現在この店は、ワンランク上の高みに達しています。

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はっと気が付いたらルパンミュラが大名古屋ビルヂングに移転してもう一周年です！お知らせをもらった時はもう予定が合わず行けませんでしたが、続いて送られてきたのが「母の日」スペシャル。

そのはがきを見た娘が「じゃあお母さん連れてってあげる」と言う訳で、その場で電話をかけて予約し当日私も便乗してきました。（父の日も連れてってくれるかなぁ・・・）

客が１０人しか入らない小さなレストランにもかかわらず、ホールはマネージャーやソムリエで３人！厨房も松村さんを入れて３人。（さらに別な場所でスーシェフ他何人かが下ごしらえしているはずです）

昼夜二回りずつとはいえ、家賃の高いこの場所でよくこれだけスタッフを雇っているなとまずびっくりです。極めて順調なのでしょう(^o^)

移転前の店のレビューにも書きましたが、松村シェフは（おそらくは和食の影響を受けて）料理の季節感に目覚めて、フレンチにも日本の季節感をたっぷり盛り込むようになりました。前から宝石のような美しい盛り付けでしたから、これが重なって他のレストランの追従を許さない素晴らしい個性を放っています。

食べログでは名古屋のトウラジョアのために、イノベーティブ・フュージョンの分類を作ったようなものですが、ルパンミュラの松村さんも、（もうフレンチと言うより）半分その領域に足を踏み入れています。

味に関しても、私は和食に関しては、引き算で究極の薄味で完成された料理も美味しいと思いますが、フレンチやイタリアンは味がしっかりしていないと美味しいと感じません。特にワインと合わせるなら薄味では楽しくありません。

ルパンミュラの料理は美しく繊細ですが、味は実にしっかりしていて食べていて気持ちが良いです。また口に含んだ瞬間ふわっと広がりその後しばらく残る香りも素晴らしいです。

クラシックなフレンチ特有の濃厚なソースで食べさせるよりも、食材一つ一つに合わせた味付けでその個性を発揮する料理ですが、このような皿にはなかなかお目にかかれないものです。

スペシャリテのりょくけんトマトのムースは、他の店のような甘いだけのフルーツトマト料理とは違ってトマト臭さ（青臭さ）がはっきり残っているのもうれしいですし、今回のメイン、牛肉のブルゴーニュワイン煮の付け合わせで出てきた、たくさんの小さな野菜たちは一つ一つがその個性を発揮して、食べていて楽しくなります。

ワインも比較的廉価で美味しいものをコースに合わせてあり好感が持てます。女性ソムリエも入っていて小さいながらもレストランとして完成してきました。

デザートの前に勧められたチーズも、フルム・ダンベール（靑カビ）に２４ヶ月熟成のミモレット、熟成したエポワ―ス、熟成したシェーブル・・・とかなり個性の強いものが（要するに臭い）見事に選んであり、娘が「私食べる！！！」

お皿には、イチジクやプラムのジャムはもちろん、エポワス用にクミンまで用意してあってこれもうれしかったです。クミン入りマンステールは食べたことがありますが、この手のウオッシュチーズにはクミンが合います。今度家でクミン入りパパダを買ってきて熟成チーズを食べることにしました。用意されたワインも、ジュラ地方のヴァンジューン（アルボワ）で、シェリー酒のような風味と強烈なチーズを合わせて楽しめました。

店が狭くてある程度カジュアルなのはもう仕方がないので、昔を懐かしむ無い物ねだりをやめると、現在はレストランとして見事な完成度だと思います。

隠れ家的だった地下の大きな店から小さな店に移って最初は心配でしたが、いつの間にか白から黒シャツに装いを変えた松村さん、もう何の心配もないようです。


Ｐ．Ｓ．
チーズが出てくるのに時間がかかっているなと思ったら、この美しさ！写真拡大してみて下さい(^O^)

八事の店は閉めて、（３月４日プレオープンで）3月９日に名古屋駅前大日本ビルヂング３階に移転しました。

写真のように、カウンターが４席。テーブル席は２人席三つで、６人席と２人席にすることもできます。今度は最大でも計１２席の小さなお店で、昼は１１：００開始と１３：１５開始の二部制の予約。夜も時間をずらして、入れ替えで二回りを予定しているそうです。

現在は３月、４月の予約受付中！予約電話番号は０５０－３３３１－３３０２です。

店名が「ルパン・ミュラ」から「メゾン　ルパン・ミュラ」になり、現在は昼は５０００円から、夜は８５００円からのお任せコースです。事前に頼めば昼に夜のメニューを用意してもらえる場合もあります。ワインは某有名ソムリエチョイスの、料理にマリアージュするものを用意してあります。

さてお昼に夜の料理を食べてきました。ワインは料理に合わせて量は少なめに６種類。また、お酒は弱くても料理に合わせて飲みたい人のために、注ぐ量がさらに少ないドゥミドゥミセット（同じ６種類）もあります。

料理は写真に詳しい説明を書きましたのでご覧になってください。相変わらず季節感にあふれる美味しい料理です。料理の美しさはピカイチ！！！味の組み合わせも新鮮で、わずかに和の要素も入りながらあくまでモダンフレンチです。

ワインのマリアージュセットも工夫してあるのがよく分かりましたし、酒は弱いが好きな人に四分の一セットを用意してあるのにも好感が持てます。おかげで今日はカミさん機嫌が良いです(^o^)

こういった先端的な料理では、トウ・ラ・ジョアの須本さん、こちらルパンミュラの松村君、岐阜のSatoshi F の古田君は、別格！のような気がします。年齢も５０代、４０代、３０代とそれぞれ違っていて三者三様に楽しませてくれます。

厨房が狭いため中村区にキッチンを用意して、スーシェフがそちらにいて大活躍をしていて、料理の下ごしらえは向こうで済ませこちらに持ってくるそうです。立地は最高になった代わりにいろいろと大変な面もあるようですが、料理にも味にもそれほどハンディは感じませんでした。（あえて言えば料理の飾りつけ美しさが前の店より落ちているのが残念です・・・）


Ｐ．Ｓ．
今後客層がどうなるかは分かりませんが、料理との値段のバランスや料理とのマリアージュを重視するより、（立地が良くなったことにより）とにかくもっと高い（美味しい？）フランスワインを飲みたいという客がたくさんやって来るような気がします。どう対応するかは今後調整しなければならないでしょう。（個人的には置ける場所の余裕があるなら、もうワンランク上のワインセットがあっても良いと思いますが、それでもこだわる客からは、一本一万円くらいの十分に高い持ち込み料を取って勝手にさせれば良いという気もします・・・名古屋は持ち込み料が安すぎますよね）