名古屋めしツアーの〆は失敗 : 串揚げ じぃや 立呑み処

2016/10/9 名古屋めしツアー③

このレビューを書く2週間前に実施した、自主企画「名古屋めし食い倒れツアーpart2」。part1では行かなかった、"これぞ名古屋めし"といったステレオタイプ的な料理を出す店を組み合わたのです。

①ひつまぶし
②味噌煮込みうどん
③手羽先唐揚げ

ひつまぶし、味噌煮込みうどんまでは良かったのですが、今回のツアーのまさに"トリ"である手羽先唐揚げの店で失敗してしまったのです。ツアーに参加してくれた知人たちは、それなりの評価をしてくれましたが、私自身は不満な結果になってしまい、「こんなもんじゃない」と未だにこの店を選んだことを後悔しており、そのために今頃のレビューとなってしまったのです。

手羽先の唐揚げと言えば、名古屋ではほとんどの居酒屋で食べられます。私も、社会人になった当初には、先輩に連れられて行った居酒屋のメニューを見たときに、変わった料理があるもんだなぁ、と思ったほどです。当時は、手羽先なんて料理の食材とは思っておらず、歩留まりの一種、スープの素材ぐらいにしか考えてなかったので、興味津々で出された手羽先の唐揚げを食べていたものです。そして、それが意外に美味しいこともその時に知ったのです。

その名古屋には手羽先で有名なチェーン店が2つあります。「世界の山ちゃん」と「風来坊」です。山ちゃんのほうは全国各地に店舗展開をしているので、かなりの知名度があります。それに対して風来坊のほうは地道に営業しているので、知らない人も多いかと思います。ただし、手羽先を唐揚げとして立派な料理に仕上げたのは、風来坊が最初だと言われています。つまり、元祖店です。

また、この二つの店の手羽先料理は、その味付けが全く異なっている点も興味深いところで、そのために、名古屋人の間でも、「どっちが好きか」と言う会話が常に交わされるのです。私独自の見解としては、こうなります。

・山ちゃんの手羽先はビールのつまみ
・風来坊の手羽先は一品料理

現に、世界の山ちゃんに行って、席に座ると、おしぼりを持ってきた店員の最初のセリフが「飲み物と手羽先の数は？」と聞くのです。手羽先はデフォの"アテ"なのです。そのためなのか、世界の山ちゃんでは、お通しは存在しません。手羽先がその代わりをするからです。もちろん、手羽先を注文しないことも出来るのですが、ほとんどの人は「とりあえずビールと手羽先◯人前ね」と頼むのです。

今回は、大阪人の知り合いを迎え入れての名古屋めしツアーだったので、大阪にも店舗がある世界の山ちゃんを避け、風来坊に行く予定でした。実は、夜になると満席になる予感があったので、この日の午前中に予約しようと思っていたのですが、すっかり忘れていたのです。それ事が、今回の失敗の根本的な原因です。

地下鉄の駅から徒歩圏にあるけど、少し離れた店舗なら空いているだろうと目論んで、何店舗かに電話をかけたり、最後は実際に歩いていったりもしましたが、結局満席で、風来坊には行けませんでした。

そこで、急遽この店に入ったのです。(入店するまでの経緯とかは、長くなるので割愛)

地下一階となっていますが、もっと深い印象のある階段を降りて行くと、やがてこの店の入り口に着きます。秘密基地っぽいので、普段使いなら問題ないどころか、もしかしたら楽しい店になるのかも知れませんが、今回は知人向けの名古屋めしツアーなのです。この段階で何となく暗雲が立ち込め始めました。

唯一空いていた4人掛けのボックス席に、我々4人は座りましたが、かなり狭く、そこはまさに普通電車のボックス席ほどの窮屈さでした。まあ、そういうシチュエーションも場合によってはアリなんでしょうけど、一日中動き回った後、最後にまったりと飲食したいという気持ちがあったので、ちょっと凹みました。

みんなも何か落ち着いた感じではなく、でもまあ座れたから良しとしようか、という雰囲気に包まれていました。誰も言葉には出しませんでしたが、窓もなく黒い壁に囲まれた狭い空間は、あえて表現するなら"監獄"に近いものでした。いや、実際に入ったことはありませんが、映画やドラマから想像すると、です。過去に、意図的にそういうデザインをウリにしている"監獄バー"にも行きましたが、そこ以上に監獄っぽい感じで、もしかしたらワザとやってるのか、と勘ぐったほどです。でも、そういう店でもないようです。

さらに印象を悪くしたのが、なかなか注文を聞きに来ない、お通しを持ってくるのが異様に遅い、チューハイが水のように薄い、など、第一印象を決定づけるタイミングで、その対応の悪さが目立ったのです。

その後に提供された料理自体は、及第点だったので、なんかもったいない感じがしました。

個人的に言えば、この店の手羽先の唐揚げも及第点の味ではありましたが、"山ちゃんでも風来坊でもない"ので、名古屋めしのウンチクがたれられない、という結果になってしまい、そういう意味でも非常に残念であり、後悔しているのです。強いて言えば、「この店の手羽先は風来坊系の味だ」と解説は出来るのですが、オリジナルの風来坊の手羽先を食べてない人には意味のない話なのです。

今回の「名古屋めし食い倒れツアーpart2」は、残念ながらベストな状態では〆られませんでしたが、とにかく無事に知人たちと名古屋のエッセンスを楽しむ事が出来ました。こういう機会でないと、なかなか行けない名古屋、"いつでも行けると思っているから、ずっと行けない場所"が、身近にはいっぱいあります。

そういう意味でも、地元の名古屋を楽しんでもらう自主制作な企画は、今後も続けて行きたいと思っています。自分のためにも。