息子と昼食 : 梨杏

昨日は所用があり次男と家内と三人で食事をすることになった。我が家は長男も結婚して子供がいるが、千葉県の鴨川に住んでいるので日常的に会うことは無い。一方、次男は我が家の近くに住んでいて、毎週何回も一家で我が家に来ていて、孫は我が家で泊まっていったりする。おまけに、次男は歯科医師で私が立ち上げた歯科医院を事実上運営しているので、まあ、常に非常に近い位置に存在している訳だ。

ところが、家族、特に親子は常にはあまり近い距離にはいない方が良いというのが持論だ。私は親父は随分昔に亡くなったが、母親は元気で、自宅の窓を開けると見える実家に住んでいる。昔は三世代同居というスタイルが日本でも一般的だった時代があるが、現在ではそのスタイルは滅多に無い。しかし、その方が良いと思う。肉親は互いに甘えすぎて、結果、親子断絶になるパターンが多いのだ。

そんな訳で、息子家族とは毎週一緒に食事をしているが、息子だけと一緒に食事をするということは、滅多に無い。というか、記憶が無い。昨日はそれからも別の用事があったが、とりあえず昼御飯を食べることになった。何を食べるか？ということだが、まあ、滅多に無いことなんで寿司でも食べるかとマリオットの寿司屋に出かけたが、予約で満席ということで、反対側の中華になった。

昨日は私が車を運転していたので私は酒を飲むことが出来ない。何を食べようか？ここはランチタイムは安いコースから高額なコースまで存在している。すると家内が息子だけと食事をするなんて滅多に無いことだから、ということでランチコースでは一番高額な￥12,000円のコースを選択した。私としては酒を飲めない場で、こんな高額なランチは勿体無いというのが本音だが、まあ、家内が言うのも最もなので反論はしなかった。

さて、料理の方だが、素材の味を活かした美味しい料理だった。このくらいの値段になると、高価な素材を使っていることをアピールする場合が多いと思うが、そんなことは無く、見た目は質素な家庭料理だ。味の方も、これ見よがしな？派手な料理では無く、素直で優しい辛さなどの刺激を抑えた味付けで、非常に美味しかった。しかし、見た目の華が無いので、価格の割にはし少々寂しい印象があった。

今日は珍しく、息子達と高島屋に買い物に出かけた。高島屋の開店時間に合わせて入店し、孫や、今度生まれてくる新しい孫の為の買い物をした。昼御飯はどうしよう？と息子に尋ねると、梨杏が良いのでは？と希望があったので早速、梨杏まで予約に出かけたが、午前10時には梨杏には誰もいなかったので、マリオットのフロントで梨杏の予約をした。

孫は現在2歳で奇声を発したり歩き回るので他のゲストに迷惑がかからないように個室をお願いした。ランチタイムは¥5,500円以上のコースを頼めば個室の利用が可能なようだ。子供服売り場で息子夫婦は買い物をしており、その間、私と家内は東急ハンズや本屋で用を済ませ、予約時間の11時30分に梨杏に出かけた。

この梨杏というのは、意外な程、毎回の印象が違う。まあ、最低限美味しいのだが、普通に美味しい時と、非常に美味しい時がある。今日は当たりで¥8,500円のコースはべらぼうに美味しかった。孫用にも¥3,700円のランチプレートがあり、これが非常に美味しく、孫も喜んで食べていた。名古屋で美味しい中華というと、私の好みではミッドランドに入っている店と、池下の菜の花が大好きで、この店はそこまで美味しいというイメージはなかったが、本日はどの料理も非常に美味しくびっくりしたというのが素直な実感だった。息子夫婦の幸せそうな笑顔が料理の美味しさを更に引き立てたのかもしれない。

今日は息子家族と高島屋に買い物に出かけた。私は職場では毎日息子と一緒に仕事をしているが、休みの日にはなるべく息子とは合わないようにしている。性格だといえばそれまでだが、私も息子も自分の持つ力全てを患者さんの治療に注いでいる。別に格好つけている訳では無く、私も息子も他人に非難されることと、後悔は大嫌いだからだ。その為には、他の同業者には考えられないような手間暇労力、勉強をして、診療にも時間と手間をかけている。私と息子が顔を合わせると、休みの日でも二人とも頭が仕事モードになって身も心も休まらないからだ。

今日は木曜日で休診日なので診療は無い。現在、私の医院は実質的には息子が運営している。私の家庭は幸せなことに、親父より私の方が社会適合性に優れており、私よりは息子達の方が社会適合性に優れている。しかし、何分にDNAは見事に受け継がれている。私が持つ、良いと言われる部分、悪いと言われる部分の全てを息子は受け継いでいる。私は非常に脆い人間で、家内も脆い人ではあるが、家内は反抗というスタイルで何とか壊れそうになる自分を支えているのだが、その部分も息子は引き継いでいる。

私の仕事は現在は息子が引き継いでいる。私は非常に真面目な人間だが、息子も私と同じように、私以上に真面目だ。私達は患者さんの治療をしてお金を頂いて生活している訳で、患者さんに対しては非常に感謝している。その感謝の印という訳では無いが、私も息子も、おそらく、他の人ではそこまでしないだろうという努力をしてきたつもりだ。息子も私もずば抜けた優秀な頭脳を持ち合わせている訳では無いが、大学は良い成績で卒業している。頭がそれほど良く無い人は努力しないと人の役に立つことが出来ない。人の役に立つことが出来なければ、幸せになることはできないと漠然と考えている。

しかし、家庭がある身で、患者さんのことを真剣に考えて毎日を送っていると、正直、ボロボロになる。医療にも限界があり、いくら完璧な仕事をしても、結果が与えられた状況でも、患者さんが勝手に期待していたような結果が得られるとは限らない。ややこしいいのは、患者さんの体はDNAとか生活習慣で現在の状態がある。私達が十分に資料を採取し、十分に練った治療計画を立てても、予想できる結果には幅があり、実際のところびっくりするような悲惨な事態になることは滅多に無いが、私達としては、この結果は止むを得ない結果だと理解できても、患者さん自身がその結果に満足できないということはしばしばある。以前、完璧な顔貌の20歳代の女優の写真を持ち込んで、こんな顔にして下さい、という依頼を50代の女性から受けたことがある。私達は常に最高を目指して努力しているが、もちろん説明もしているが、本人のイメージ通りにことが進まないこともあるのだ。この患者さんの思い込みに私達は非常に振り回され、疲労してしまうのだ。

これを書いている現在は月曜日だが、先週の土曜日は午前中に以前サイナスリフトで骨を造った上顎大臼歯部へのインプラント埋入だった。それが終わってから6年程前に、当院でインプラントライブオペセミナーを行った時の手術モデルをお願いした家内のお姉さんが横須賀から定期健診で来院し、お昼ご飯を一緒に食べにマリオットホテルの中華に出かけた。

最初は運営が変わった和食の「つる家」に予約の電話をしたのだが、満席で、やはり当日の予約は難しいようだ。義姉は帰りに高島屋で買い物をしてから帰るというので場所はマリオットが便利なので梨杏に電話をすると90分という時間制限つきでなんとか席を確保できた。さて、料理を決めるのは私ということでメニューを眺め¥5,500円の北京ダックコースを選択した。

う〜ん、世の中には上昇志向、というか高級品志向が強い方も多いが、私はどちらかというと「高級品よりスタンダード」が自分に向いていると考えている。という訳で、絶品素材とか希少品とかいう宣伝文句にはあまり心動かない人なのだ。義姉は客人ではあるが、まあ、普段の私の選択で許してもらうことにした。私の本日の気分は¥5,500円の北京ダックコースだったが、このコースは内容と値段のバランスが良い。私の周囲には北京ダックを見ると、そればかり食べ続けるという方が複数いるが、私は同じ物を大量に食べ続けることが苦手で、なんとかづくし、なんていうイベントには一切興味が無い。

うん。美味しい。ワインも十分に美味しい。義姉のインプラントも調子よく、CTで見ても異常はなさそうで私も義姉も御機嫌だった。帰りに高島屋の外商でコーヒーを御馳走になり、近々今度は義兄に会うことにしてお別れしたが、義姉は家内より13歳も年上とは考えられない程、元気な人だ。

以下は2015年5月のレビューです。その時のタイトルは「名古屋で本場中国の味にチャレンジしてみる。」でした。

さて、今日は休診日で休みの筈だが、大変な仕事があった。その仕事とは母親の76歳の誕生日会だ。その仕事を息子家族とマリオットホテルの中華で行った。なんでこの店かというと、個室があるので赤ちゃんがいる場には都合が良いからだ。また、ホテル中華というのはハズレが無い、、、、、というイメージだった。

しかし、このハズレが無い、、、、というのが難しい。今回のメニューはマリオットホテルが開業15周年ということで、本場中国のあちこちのマリオットホテルの評判メニューを名古屋のマリオットで再現したというものだった。私は中国に行ったことが無い。という訳で本場の中国料理の味も知ら無い。考えてみると中国だけで無く、香港、台湾、マカオ、韓国にも行ったことが無い。

さて、料理の味の方だが、結論から言うと、普通のコースを選んだ方が良かったような気がスル。最近の私は頭も好みも保守的で違うものに対して評価が非常に厳しくなっている傾向がある。やはり、今年55歳という年齢が考え方も好みも新しいものをうけつけなくなっているのだろうか？というか、この歳になって、過去に完成された料理、というかレシピのバランスの良さを再認識することが多い、というのが真実のようだ。

昨日の夕食はフレンチだったが、私だけで無く、4名中3名がメインの肉料を半分ほど残した。残り1名も全員が残すとカッコ悪いので無理やり食べたというのが現実だ。ではダメな料理だったのか？と問われると、そうでは無い。しかし、新しい何かを求めすぎて、結果、完成度が低い皿になってしまった、、、というのが真実だと思う。

そういう訳で、というか、同様に、今日の15周年の記念メニューは、本場中国の味なのかもしれないが、結果、完成度がイマイチでイマイチ残念だったというのが実感だった。

以下は2012年8月のレビューです。その時のタイトルは「安いコースでも、なかなか美味しいホテル中華」でした。

名古屋には百貨店として松坂屋、三越、高島屋、丸栄などがある。歴史や店舗面積では松坂屋が一番だが、最近は高島屋が一番繁盛しているように思う。その理由の一つは名古屋駅の真上という立地の良さだが、その他には支払い金額に対するバックが実質的には一番多い為だと考えられる。以前は松坂屋で相当額の買い物をしていたが、高島屋の方が、いろいろメリットが多い。誕生日には巨大な花束が届くだけでなく、ちょこちょこ食事券を貰える。今晩は貰った食事券で夕食を食べた。まずはシャンパンをグラスで戴く。このホテルのグラスシャンパンはマム￥1700円しか選択肢が無いが私はこのシャンパンが好きなので問題無い。前菜は変哲の無い料理に見えるが、意外な程美味しい。特に豚肉がおいしかった。次はフカヒレ入り四川風辛みスープだが、胡椒が効いていて美味しい。辣油を入れるともっと味が引き立つと言われ試してみたが、確かにより美味しく感じた。辣油を入れたにも関わらず、辛さは逆に抑えられ美味しさが引き立った。次は天然大海老のスパイシー炒めだが、これが実に美味しい。頭の部分にはマッシュポテトが詰め込んであり、これは味噌と一緒に戴いた。後は店の定番だがどれも無難に美味しい。カレラの安いワインも料理に合っていて美味しかった。食事が終わり、一体全体幾らの食事かと、店の表のメニューと見比べるとどうも￥9000円か￥10000円程度の料理のようだ。しかし、この値段でも十分美味しく、やはり素晴らしい店だと満足した。

以下は2012年5月のレビューです。その時のタイトルは「一流という言葉が当てはまる本格中華」でした。

今日の昼は随分久しぶりにここの店の料理を食べた。うん。素晴らしい。間違いの無い味、素晴らしいサービス、窓から見える展望、どれをとっても非の打ち所がない店だ。蟹の卵入りフカヒレの煮込みが美味しい。車海老と季節野菜の炒め物も素晴らしい調理だ。北京ダックも美味しい。ステーキも美味しい。活鯛の姿蒸しも絶品だ。蓮の葉に包まれた御飯も美味しい。デザートも素晴らしい。かなりの量だったが、私も家内も残すこと無く全部食べてしまった。あ〜今日も一日良い日だった。

以下は2010年8月のレビューです。その時のタイトルは「開業10年でホテル直営中華レストランはびっくりする程腕を上げました。」でした。

マリオットアソシア名古屋ホテルは今年で誕生10周年です。開業当初から中華レストランは梨杏でした。ここのレストランには10名以上入る個室がいくつもありますので、職場の食事会や弟の家族との食事会などで毎年、何回も使用していました。なんと言っても名古屋駅の上なので、仕事が終わって帰宅途中の食事会にはモッテコイの立地です。お酒を飲んでも電車で帰れば良いので安心です。店内の内装は豪華で、もてなされる方としては大事にされているという感覚が湧いてきます。そういう意味では接待にも良いレストランです。個室をとる為には一人当たり￥11000円以上のコースを選択する必要があります。少々高価だとおもいますが、立地や雰囲気などを考えると、ヤムを得ない価格だと考えていました。昨年までは夕食のコースを食べた感想は「普通に美味しい中華料理」という程度でしたが、今晩食べた実感として「これだけ美味しい中華料理店は名古屋には存在しない」と確信しました。ありとあらゆる料理のジャンルを超えて、現在の梨杏は素晴らしい皿を提供していると思います。たまたま、今回のメニューが良かったという可能性も完全には否定できませんが、良い意味で期待を裏切られました。帰りに受付でマネージャーに「シェフが変わったの？」と尋ねたところ「昔のままのシェフです。昨年は香港の料理コンクールで銀賞を受賞しました。」とのことで、シェフ自身が精進した模様です。この味のレベルであればグルメを自称する賓客をもてなしても恥をかくことはないと思います。完成度の高いバランスのとれた素晴らしい食事でした。