悲報。くるみの樹が枯れ、珈琲少年のみぞ残れり･･･ : コーヒーボーイ 光店

妙なタイトルご容赦。ただただ今回は、ひたすら残念!!って思いの一報である。で、残念なのはこのお店の事じゃない。コーヒーボーイ一派は、山口県を代表する珈琲専門チェーン店であり、そのクォーリティは全国規模シアトル系珈琲チェーン店達など物ともせぬ本格志向。県内一推しの珈琲チェーンであることに違い無い。

じゃあ何故に残念なの?それはこのマルシェ内に同居して、山口県内随一のモンブランを提供されていた名パティスリー、くるみの樹が休業されてしまったから。コーヒーボーイ光店とくるみの樹の協業によるケーキセットは、珈琲とケーキのクォーリティ両立度では、控えめに評しても東京の名立たるカフェに比肩する実力だったし、だからして山口県内に敵は皆無であった。それでいて700円ちょっとの信じられぬハイコスパ。知る人ぞ知る協業名カフェだったのだ･･･

【No.178 CBブレンド ビターショコラ（エアロプレス）】410円
そうやってぼやいてみても致し方無く、これからは珈琲一本で勝負するしかないのだ。気を取り直して･･･今回のNo.178という豆番号、決して珈琲少年の178番目の製品って事じゃない。豆の産地、焙煎、味を0～9の10ディジットで表したもの。その詳細はコチラに解説される通り。そこから読み取れば、今回の豆はブレンド（タンザニア、コロンビア、ブラジル、グァテマラ）で、焙煎はフル･シティロースト、味はベルベットの様な喉越しって事になる。そんな豆を、ペーパードリップじゃなくて最近ご執心のエアロプレスで味わってみた。

液面に薄く広がる油膜を眺めつつ、実際、グビリと舌表面を転がせば、酸味薄弱にして、スモーキー風味かつヌルリ重めのボディがキャラである。舌触りで感じる微粒子感、あるいは苦味とショコラな風味が絡み合った濃密感は、なるほどエアロプレスだと、ペーパードリップに比してグンと説得力が増す。かといってフレンチプレスで感じるド豚骨的な過度な濃度感は無い。最近の嗜好に照らして実に案配宜しい。ビターショコラらしい味わいを、絶妙にデフォルメして楽しめる淹れ方じゃなかろうか。私にはここいら辺りがジャスト。このクォーリティにして410円の値付けも至極妥当な対価だ。

【まとめ】
くるみの樹の超絶モンブランとの掛け合いが楽しめなくなったのは正直悲しい。出自に全く縁故性のない2軒のお店による、実にハイレベルなコラボレィションが続いて来た事は、ちょっとした驚きであった。だが、くるみの樹は枯れて跡には珈琲少年だけが残った。これも時の流れであって、嘆いてみてもしようがない。のは分かっちゃいるが、やっぱり残念･･･

初訪は「モンブラン大作戦」の前半戦辺りなので2011年。それ以降定点観測し続けているのだが、未だに山口県では5指に入る名カフェだと思っている。そのワケは、立地を絶妙に利用した営業ストラテジーにある。

光市郊外にあるこじんまりしたマルシェ、Be st. WEST。僅か十数件の小さなお店の集合体だが、店舗で囲まれた通路がオープンカフェとなる仕組み。そんなマルシェの中核的存在のコーヒーボーイ。いつ伺っても客が途切れる様子がない。それはそもそも珈琲豆の質が良いからだが、私の推しは、断然同じマルシェ内にあるケーキ屋「くるみの樹」のケーキとのセット利用である。システムは、まずくるみの樹に入りケーキセットをオーダー、セット指定のメニューから選び、そのまま手ぶらでコーヒーボーイへ。で、ケーキに合う珈琲を店員さんと相談してから店内（少し狭苦しい）か、オープンカフェに着席。するとケーキと珈琲が席に届くという案配である。支払いはコーヒーボーイで一括支払いすれば良い。

【ケーキセット】738円
【モカ･マタリ】
先ずは珈琲から。日替わりメニューとして「今日の豆」ってのが決まってるのだが、店員さんが手隙の時ならオーダーしたケーキに相性の良い豆を指南してくれることもある、暦とした珈琲専門店。とりあえず今日の豆を訊いてみると、今日はモカ･マタリ（イエメン産モカ、アラビカ種）だと。甘いケーキにとても良く合う願ったりの豆なので、OKじゃそれで。酸味はほど良く控えめで苦味とのバランスは良いし、なにより香ばしくてコクを感じる引き味が、甘いケーキに実に合う。ケーキを一口。それが喉を越す瞬間に、珈琲をグビリと一啜りすれば絶妙の後味が引く。まるで紅茶を感じさせる珈琲じゃないか。味☆4.0

【モンブラン】
前報でも触れた通り、セットされるケーキはお隣のパチスリー「くるみの樹」による、実に本格的なもの。とりわけこのモンブランは未だに山口No.1モンブランに君臨し続けていると思う。ちょっと異彩を放つ外観だが、外皮は和栗と仏栗混合系のベッタリ固めのマロクリ。内質はクラッシュした栗入りの、やはり固めのババロア。ベースは律儀な堅焼アーモンドタルトレットで手抜きなしの絶妙な仕上がり。決して栗々した味わいじゃないが、栗の味わいを上手く利用した独自のキャラ立ては素晴らしい。それにしてもコイツを追い落とすモンブランが、未だに山口県に現れないってのはどういうことか!?新興パチシエの皆さん、もっと頑張らないと!!味☆4.0

【まとめ】
コーヒーとスイーツの品質両立度では山口県下随一かと。それでいて738円という値付けは妥当というには余りにバーゲンセール。地方特有の物価観が成せる技か。冬でもオープンカフェが気にならぬ私にはどうって事ないが、唯一の難点は店内座席の少なさだろう。いずれにせよ、これは東京レベルのカフェでしょう。

黒珈琲を渋く飲みたいよな。珈琲専門の喫茶店で。足とか組んだりして。何気に本でも読みながら・・・

まぁ、ミニミニには逆立ちしても似合わない光景である。珈琲は嫌いじゃない。だけども、珈琲を飲もうとする度に、必ず湧き上がる衝動。「何か甘いもの無いんかぁ～!?」

と言う訳で、またしても気まぐれ唐突に始まってしまった、「珈琲だけじゃ我慢できない!!」シリーズ。何れの日にか黒珈琲オンリーを楽しむ、シブオヤジなミニミニになりたい。でも今はムリ。つまり本シリーズは、これから如何にして珈琲本気レビューが書けるようになるかの自虐的実験の記録になる予定である。初回を飾る今回なんて、珈琲レビューだかスイーツレビューだか、分かりゃしない(- -;)・・・

【ケーキセット（モカマタリ&アップルパイ）】\680
このお店、実は懐かしき哉「モンブラン大作戦　第五十七回」でピックアップした、くるみの樹と同じ集合店舗に入り、相互乗り入れしている。つまりこのセットのケーキは、くるみの樹のケーキそのものなのだ。くるみの樹自体、ミニミニが推すベスト山口ケーキ店の一つであるので、このケーキセットに破綻がある訳が無い。ちなみに、\680はどのケーキを選んでも定額。複数ケーキをオーダーした時は、最も高いケーキをセット用に取り扱ってくれる良識も嬉しい。

【モカマタリ】
Mocha Mattari・・・マッタリしてんの!?（←アホ～）。何時もの「今日のケーキに合わせて♡」オーダーでお店が選んでくれた豆である。尋ねてみれば、イケメンさん、あらビックリ!!の、イエメン産アラビカ種（←アホ～の二乗）。苦味も酸味もそんなに強くない。でも味わい自体は中々にコク深くて分厚い。酸味よりも複雑芳醇な香りとコクばかり目立つ。ホンマかいな!?モカって酸っぱいんじゃなかったっけ!?だってそう思ったんだもん。一言で言うなら、リッチでマッタリした味わい。ヤッパリそれかっ!!(- -#)

【アップルパイ】
発酵バターで練り上げられた生地をシッカリ焼き上げたパイ皮は、中はシットリ気味、表皮はペリペリ。ヨダレを誘う焼き色も手伝って、やはり山口ベストケーキ店の一つに恥じぬ仕上がり。この皮で包まれる、リンゴ果肉の歯応えを絶妙に残したコンポートは、小技を効かせてキャラメリゼされる。酸味に混ざり合う、僅かな苦味を伴うキャラメル風味が、このパイの存在感を一段と引き立たせる。グッと深みを増したコンガリアップルパイは、なる程、くるみの樹の手になる一品。レベル高い。

まとめ：
この珈琲とハイレベルアップルパイのセットでたったの\680。この味レベルなら、東京じゃ珈琲かケーキどっちかかたっぽしか買えない。なのにココでは、どのケーキを組み合わせても\680ポッキリ。このケーキセットは断然オススメである。この店に来ると、帰り際にいつも何だか得した気分になる。ありがと～って口を突いて出てくる、そんなコーヒー&ケーキ好きのオアシスである。