約4年ぶりの訪問だったが・・・ : 長久酒場

2014年に初めて訪れた際は料理の美味しさに感激し、高い点数を付けていた。
ぜひ再訪したいと思っていて、それが実現したのは今年の5月。約4年ぶりの訪問である。

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期待感の大きさからハードルを上げ過ぎたのだろうか。
最初の訪問では気にならなかったことが、今回はちょっと気になった。
1つは、メニューの品数の少なさ。
前に食べて美味しかったナガレコやツメバイをもう一度食べたかった･･･。
もう1つは、「大衆酒場」という割に、料理によっては高めの価格設定であること。

ハゲ（カワハギ）の刺身はメニューに「2,700円前後」と記載されているが（会計の際、明細を貰っていないので実際いくらだったのかは不明）、肝に若干の生臭さが感じられた。

がしら（カサゴ）の煮付は、写真では分かりにくいが実に立派なサイズで、味も美味しかったんだけど、「2,500円前後」というのは気軽に注文できる金額ではない。
もう少し小さなサイズで1,000～1,200円くらいの煮付があれば･･･と思った。

日本酒については前回も思ったことだが、和歌山県海南市にある「中野BC」という醸造会社の酒（銘柄は長久と紀伊国屋文左衛門）しか置いていないのが残念だった。
和歌山にはもっと旨い地酒もあるんだけど、「長久酒場」であるが故に他の酒蔵の酒は置けないのだろう。

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・・・でも、人気店である。
平日の夜にもかかわらず、カウンター席は7割がた埋まっていた。
ただし、客の多くが観光客のように見えた点は、ちょっと気になった。
本当に良い店は地元民に愛されるものだから。
かく言う私も観光客に違いないのだが･･･。

以前からBMしておきながら、なかなか行けなかった店。南紀白浜となれば、和歌山市内からでも少々遠い。
夜、ここで酒を飲んでから当日中に帰ることも不可能ではないが、酔っ払った状態で長時間電車に乗るのは気が進まないし、もちろん自家用車はアウト。
だから、この店で飲んだ後は、どこかの宿に素泊まりし、翌日に帰ろうと決めていたのである。
そんな訳で気軽には行けなかったのだが、ようやく意を決して実行に移したのが今年（2014年）の7月。
宿にチェックインしてから路線バスで店に向かった。最寄りのバス停は『走り湯』。有名な『白良浜』から1つだけ南寄りのバス停である。白良浜からは、歩いてもごく近い。

店は小料理屋風の瀟洒な外観。
店名のサインには『大衆酒場　長久』と書かれていた。これが本当の屋号なのだろう。
店内には小上がり席もあったが、厨房を囲むL字形のカウンター席がメイン。
厚みのある木材で作られたカウンターは立派で、15人程度は掛けられそうな大きさ。
平日だったので比較的すいていた。先客は2組。

先ずはナガレコの刺身（1,000円）を注文。
ナガレコは地方名であり、正式にはトコブシ。アワビに似た貝である。
小さいものの煮付けはよく見掛けるが、やや大型のものを刺身で食べるのは初めて。
身がアワビの刺身ほども硬くなく、程よい歯応えと甘味があり、とても美味しかった。
肝も付いていた。肝醤油にしようかとも思ったけど、溶かしてしまうのが勿体なかったので、そのまま食べた。
生臭みが皆無で、これもたいへん美味しかった。

次は つめばい（1,000円）。正式名はマガキガイ。高知ではチャンバラガイと呼ぶらしい。
巻貝の蓋に相当する部分が、カマキリのカマのようにギザギザした爪状になっている。（写真ご参照）
この貝は生まれて初めて食べたが、ワタにコクがあり、非常に美味。珍味と言うべきだろうか。

この辺で当店の名物である焼き物をいただくことにした。
先ずはウツボ（1,000円）とアオリイカのゲソ（700円）。
カウンター上にやや年季の入ったガスコンロが載せられ、火がつけられた。
ウツボは身の側からよく焼いて・・・とのことだった。焼き上がると砂糖醤油につけて食べる。
淡白な白身なのに、パサパサしたところがなく、しっとり・モチモチした不思議な食感。臭み等はなく、なかなか奥深い味。
アオリイカのゲソは新鮮で透明感があった。予め塩を振ってあるので、サッと炙ってそのまま食べた。美味。

焼き物では、セセリとズリ（各500円）もいただいた。
「この店で鶏なんて」と思う人も居るだろうけど、これがまた美味しかった。
ズリなんか、ちょっと古いと臭いが気になるものだが、この店のはあくまでも新鮮で、大いに気に入った。塩コショウの加減が絶妙！

焼き物は以上で〆て、次はクロベ（1,000円）。これは和歌山北部ではガンガラという名でお馴染みの貝。関東ではシッタカ貝と呼ぶのを聞いたことがあるが、正式名は『バテイラ』だろうか・・・？　
木の楊枝ではなく待ち針のようなもので身を取り出すのだが、下手をすると途中で切れてしまう。末端の肝の端まできれいに取り出せたら、ちょっと嬉しくなる。

もちろん料理を食べながら酒を飲んでいるので、徐々に酔いが回ってきて、最後のほうには何を食べたのかちゃんと覚えていない。他にももっと食べたかも知れない。
それくらい沢山食べ、沢山飲んだが、会計は2人で8,000円少々。料理の美味しさからすれば、CPは良いほうではなかろうか。
タクシーを呼んでもらい、宿に帰った。

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不満に思ったのは日本酒の品揃え。ビールやチューハイはジョッキが大きくCP良好で問題ないのだが、日本酒は『長久』と『紀伊国屋文左衛門』の冷酒（ともに中野BC製）があるのみ。
この店の料理には、もっと淡麗でスッキリした飲み口の日本酒が合うと思うのだが。