たった九坪のとろまろ劇場開演でござる！ : 武蔵家 国領店

呑ん兵衛さんの長屋は十六軒、鶴とふたりでぶ〜らぶら・・・そりゃ「ぶらり信兵衛道場破り」ござろうが！

いやあ これは、申し遅れた。拙者 三鷹に住まい致す 翔子家 呑兵衛と申す。
村上源氏の流れを汲む当家でござるが 故あって拙者・・・只今 浪人の身。
道場破りと物書きにて 糊口を凌いでおる始末、いやはや面目ない。以後お見知りおかれて 何卒良しなに・・・。

さて武蔵家 国領道場でござるが、武蔵境、三鷹、千歳烏山、国領、東小金井と、各道場主は おいででござるが 東小金井の師範が統括しておる道場でござる。
この武蔵家五家法連のうち、四番目に参ったこちらでござる！

入口に立ったらば、扉に大きく「九坪劇場」の文字が！
ほ〜お、武蔵家殿では 様々工夫を凝らして道場をアッピィルしてござるが、此方は 劇場とは！

成る程、らぁ麺で 感動させようという趣向か！ならば此度は、芝居見物としゃれこむか！

しかしこの芝居小屋はいささか手狭でござるな。長机のみで席は九つ。

門をくぐって左手の券売機で、らぁ麺￥670＋海苔増し￥50 の段を所望致そう。
つけ麺がござるのが国領道場の特徴にござるな！

小屋では 男役者が二人で演じる、浄瑠璃の様でござるな！
麺硬め、味の濃さ、鶏油の量共に 普通にて、いざ、恃もう！

拙者の他に、見物客は一人。
その御仁の分が先、拙者の手合わせは、次となって 十分少々かかったでござろうか。
さて九坪劇場、幕開きでござる！
丼は 青磁色。武蔵家殿の流儀での直系よりは、一回り大きめ。

つゆの色は黄土色。六角系ほどではござらぬが、武蔵家殿では 茶色が薄い。
麺は酒井製麺、中太 平打 やや縮れありの 他家より やや短めでござるか？武蔵家、囗(くにがまえ) 殿に近うござる。

脇を固めるは 家系お馴染みほうれん草とネギが少量。
海苔は やはり増したほうが華があって良い！

武蔵家流の流儀に習うて、ご飯が大〜小盛が何れも無料。
自ら盛る必要はござらんよ。 盛ってもらえるのでござる。大盛りを所望したらば、盛りはなかなか良うござる！

眼前には、武蔵家殿では おなじみの かっぱ漬けが用意してござる。
ふりかけもゴマなどござるが これはおよそ らぁ麺/つけ麺用であろうな、かけ申したが(笑)

さて 前口上は芸の妨げ、先ず 待ちかねた つゆを一口・・・。
ウムムム、つゆをの乳化の具合は申し分無し。円く、柔らかい味でござる。

獣臭はやや感じるものの 口に入れれば豚骨の香ばしい風味が わっと広がり 下の両脇に 醤油の風味が広がるでござる。
豚骨、醤油のどちらにも傾かぬ つゆの粘度は 低めでござるが、とろまろと言うて宜しかろう！

麺かたで 所望いたしたが、武蔵家殿の流儀にてやわらかめの茹で上がり。
もそり感が出て、もっちり感がやや後退。
しかしこのつゆならば この柔らかさで もたりとしてつゆに絡み これはまた 良いかもしれんのう！

ただ 不思議な事に、味が若干 遅れて感じられるのでござるよ？
どこかで味おうた事があるような、もたりとした風味が 先に来るのでござるな。
唇がバリンバリンに固まるような 鶏由来のこらあげんは、さほど多くはないとみたが・・・

そうでござる！これは鶏油の風味でござる。鶏油の分量が多いのでござるな！
ただ 不思議な鶏油、風味・・・と 申すか 鶏の感じが少のうござって・・・この感じは武蔵境と似てござる！

効きすぎた醤油を均すためのものではのうて、まろやかでとろりとしたつゆに やや多目の鶏油が乗っかった感じ。
使う豚骨の分量は武蔵家殿としては並でござろう、つまり並の芝居小屋より多めでござるか？

武蔵家なので醤油系でござるが三鷹道場より軽めな味で もちろん武蔵境よりはるかに優しゅうござる。
東小金井に近うござって 平均型と言うて宜しかろう！そこに鶏油のこってり感を加えた様な感じでござる！

脇役の叉焼が、大きさ厚みも伴った二枚目役者！
油分をが抜けた赤身のものなのは 武蔵家流。
されど 醤油の風味が家系にしては、しっかり付いてござって、なかなかの役者！

ネギは少な目。武蔵家殿では標準でござるか。

ほうれん草は、やや多目。これは嬉しい。
煮過ぎ、戻し過ぎ感はなく わずかに歯ごたえも残っておる！
つゆに浸しても箸休めにも良い。

海苔は 緑がかってやや薄め。艶はござるが 両面が毛羽立って 黒緑には遠いのは残念。
口溶けはまあまあでござるが、5枚で￥50は嬉しい限り！

食べ進むうち、味が薄めに感じてきたのは鶏油を掬いすぎたせいでござろうか、湯切りの節回しが弱かったのでござろうが・・・これだけが残念でござる。

色々 目につくところもござるのは、優しく平均的だからでござろうか。
武蔵家流の「本格的な家系なれども 入門者にも最適！」との 精神は見事に守られておると見たい！

人を穏やかな気持ちにさせる、満足した 芝居見物でござったよ。
評価点は、劇場がやや狭いゆえ・・・(笑)、拙者は全く問題はないのでござるが。