武蔵境"Meister Murakami"自家製ハム・ソーセージの精肉店 : マイスタームラカミ

武蔵境天文台通りにあるドイツハム・ソーセージで全国的に有名な村上繁氏の1934年創業の精肉小売店です。

なぜ？ここが特筆に値するかと言うとそれまでわが国では製造はメーカーがするものとして法令や許認可で縛られていて精肉店では販売のみと棲み分けられていました。こちらはその苦難を乗り越え製造から販売までを一環でこのお店で賄う魁です。

氏の先代が養鶏場を営んでいて鶏卵店を創業したのが合資会社村上商店の始まりです。1948年跡を継がれ鶏肉業務用卸で近隣3市に1960年代には4億も売り上げる独占状態だったそうです。しかし現在でも100m範囲には精肉店が３つもあるようにそれが崩れ1979年駅前にイトーヨーカドーが出店してからは激減する程の壊滅状態に。売上げも半分になったそうです。

既に1967年にはかねがね「豆腐屋が製造販売を一環で行うように肉屋も出来ないか」考えていた氏は鶏肉卸から小売店に中心を転換するする為保健所に相談に行ったりしてるが食品衛生法の「食品衛生管理者」の設置義務の壁に阻まれ追い返されたそうだ。

医師・薬剤師・獣医師の資格保有者、医学・薬学・歯学・獣医学・畜産学・水産学及び農芸化学課程を大学で履修した卒業者、厚生労働大臣認可食品衛生管理者養成施設修了者(前期大学同等単位取得可能)が条件。後はその許可事業所で同業務に3年以上従事後厚生労働大臣登録講習会課程を修了するしか他に道がなかったそうです。

氏は取引先日本獣医畜産大学肉学教室実習にもぐり込ませてもらい技術習得。厚生労働大臣登録講習会を受講、1980年には法律が変わって保存料や発色剤(亜硝酸ナトリウム)を使用しないハム・ベーコン類が食肉加工品から除外されて惣菜扱いで販売が可能となったのだ。

これを追い風に1984年ドイツ風店舗に売場面積30㎡、事務所・作業所102㎡の全面改装、1988年には単身渡独して修業、現在の「マイスタームラカミ」が誕生。一万点もの応募のある本場ドイツでも数々の受賞をされています。それでも「ハム・ソーセージは企業が作るもの」となかなか受け入れられなかったがデパートでの催事出店等で試食などで好評を得て認められ学校委託の卒業生修業を受け入れ多くのお弟子さんが独立巣立っていったようだ。

駅からかなりの距離にも拘らず店内は多くのお客さんが出入りしている。駐車場は駅よりの敷地に数台ある。右からショーケースが並び中央には精肉、中央に飛騨高山の自然派パン・スイーツタニコシの委託販売もある。左側に惣菜のコーナー、1953年から1日2000個も売ったコロッケや鶏の八幡巻等、更に左奥はイートインのカウンター席があるが現在は使用されていないようで事務等に使っているのだろうか？名残りの丸椅子が2脚置いてある。その入口付近には卵の販売、各所の調味料なども販売していて実に良くドイツの肉屋の雰囲気を出しています。

色々物色して「コッホヴルスト」(Koch：コッホ=クック：調理・燻製、Wurst：ヴルスト=ソーセージ）から

　・ドイツコンビーフ　1本945円/100g367円
　・シンケンアスピック　100g367円

と切って貰ってる間に惣菜コーナーにて
　・コロッケ　80円　とメンチカツ 130円　も購入。ハムの会計は商品とともにこちらへ回って来て合算の支払い。

「ドイツコンビーフ」はサラミのような色合いですが脂身の固まりはありません。赤身の牛肉で作った高級ドイツ風コンビーフでサンドイッチやサラダ、また野菜との炒めものにも使われます。薄切りのハムからコンビーフの香りがするのは不思議な印象です。1999年シュツットガルトドイツ食肉加工協会主催ズーファにて銀賞受賞しています。ズーファは世界最高峰の食肉加工品のコンクールです。同店の鶏肉ソーセージ「チキンガランデン」が金賞を受賞しています。

「シンケンアスピック」は見た目も透き通ったアスピックゼリーに四角い豚もも肉や赤・緑美しい製品です。オードブル等に合いそうです。1999年ズーファ銀賞受賞及び2005年DLG(ドイツ農業協会)バートザルツウッフレンにて開催された118回で銀賞受賞しています。

これらは夕食にシェフズガーデン テラスのホテルオークラ風自作ライブレッドに乗せその近所の肉屋で購入した埼玉豚コメカミとスペアリブを電子レンジのみで調理する方法をマスターしたので生のほうれん草とともに付け合せにしてみた。ポテトは大阪福島ラトリエ・ドゥ・ニシタニや東京四谷テート・ア・テートで出たポテトグラタンの焼く前の状態と言うのを真似てみてガルニとしてみました。
これらの「コッホヴルスト」はドイツ黒パンにはとても良く合います。

惣菜の「コロッケ」と「メンチカツ」ですが熱いうちに車内で食べました。「コロッケ」は普通かなぁ？旨い店にはかなませんね。ただ「メンチカツ」ですが多少渋味を感じる例のハンバーグに入れるナツメグの強い香りがして不思議な味でした。

従業員数12名ハム・ソーセージが売上げの30％近くのお店では100種も扱っていらっしゃるそうですがそれでも本国の1/4程度だそうです。ドイツの肉屋・ハム・ソーセージについては下記をご参照下さい・
　辻調　独逸見聞録「肉屋 ～食料品の買い物（其の四）～ （2006/03/02）」
　http://www.tsujicho.com/oishii/recipe/letter/doitsu/fshopping04.html