荻窪駅前の裏路地の老舗中華 次回は是非「北京ダック」を事前予約して : 北京遊膳

【夜】[料理・味]4.5*40%+[サービス]5.0*15%+[雰囲気]3.5*10%+[CP]3.5*30%+[酒・ドリンク]2.5*5%=4.08(4.1)


夏の終わりの日曜日、『トマト』(食べログ4.10点)のカレーを食べてみたいと荻窪遠征を敢行。

家族を乗せて19時ジャストに家を出て、首都高速で外苑から高井戸まで疾走。
日曜日なので高速は空いていました。
その先は環八を右折して荻窪方面へ。
地図を確認すると、少し前に行った『潮州』のすぐ傍だったので、その時使った100円パーキングに車を停めました。

中を覗き込みながら『潮州』の前を素通りし、商店街をもう少し駅の方へと進むと「トマトは右→」と書かれた小さな看板が目に入ります。
数十メートル先がお店なのですが、その前に7～8人が並んでいます。
時にして19時半すぎ。
列の後ろに並ぼうとすると、扉に「本日は売切れ。終了しました。」との札が…恐る恐る中に入って、お母さんに確認すると、やはり今並んでいる人で終わりとのこと。
私は、バットで頭を殴られたような衝撃を受けました。
多少覚悟して行きましたが、やはり現実にそうなると中々受け入れがたいものですね(笑)
気付かずにずっと並んでいるよりはマシでしたが…。

しからば、と…
慌ててスマホで食べログのページから「現在地周辺からお店を探す」「日曜営業あり」で検索。
一番にヒットした『北京遊膳』(食べログ4.13点)に早速電話をしてみると、やたら感じのいい、明るくはきはきした中年女性の声で「どうぞ、お待ちしています！」とのこと。
”捨てる神あれば拾う神あり” とはまさにこのことですね(笑)

更に荻窪駅に向かって進み、最後はホント裏路地としか呼べない、ビミョーに怪しげな通りにやっと『北京遊膳』の看板を見つけてホッとしました。
古いビルの真っ直ぐな階段で2階へ。

扉を開けると、お世辞にもお洒落とは言い難いお店ですが、先ほどのマダムが満面の笑みで迎えてくれました。
こちらのマダム、驚くほど丁寧で親切で、堅苦しい畏まったサービスではありませんが、とても気持ちがいいですね。
また料理やその作り方なども、頼みもしないのに色々事細かに教えてくれたので、その会話が楽しくもあり、勉強にもなりました。

店内は4名用テーブル席が4卓と、カウンターが数席。
奥のテーブル席は5～6名の対応も可能な感じでした。
私たちが伺った時は、左奥の1卓のみが空いていて、残り3テーブルとカウンターはお客さんがいました。
即ち、運よく最後の1席に滑り込んだことになりますね。

メニューを広げて、どうしようかと迷いましたが…
娘がフカヒレの姿煮が食べたいというので、「北京遊膳グルメコース」(消費税込み＠10,800円)をお願いしました。
コース内容は下記の通りです。　

　１．三種盛り合わせ冷菜　①シャキシャキ大根とクラゲのさっぱり和え
　　　　　　　　　　　　　②茹でたモヤシとジャガイモとロースハムの中国湯葉巻き 棒棒鶏のタレで
　　　　　　　　　　　　　③自家製チャーシュー

　２．フカヒレ姿煮込み 生姜が効いたスープ仕立て（北京スタイル）

　３．衣付き大正海老の薄塩炒め ダシと塩と酢のさっぱりタレ

　４．白身魚（真鯛）の辛子炒め

　５．（メニューではホタテ貝のクリーム煮でしたが）中国産松茸と鮑の醤油煮

　６．懐かしいシンプルな鶏ガラスープのコーメン

　７．フルーツ（イチジク・梨・キウイ・オレンジ）杏仁豆腐

個別の料理では、

　①前菜の大根とクラゲの和え物が食感とさっぱり感がとてもいいですね。湯葉も具材がモヤシに揃えて下処理され、チョイ辛の棒棒鶏タレとの相性もグッド。

　②真鯛の皮は香ばしいのでそのまま素揚げし、中はしっとり、ふっくら仕上がっており技術が光ります。北京では豆板醤は使わないとのこと、唐辛子と豆鼓で炒めたピリ辛味はコクも深みもあって病み付きですね。

　③ホタテ貝のクリーム煮が何故かランクアップして、松茸と鮑の醤油煮が登場。テンションも上がります。中国産とは言え、夏の終わりにこれだけ沢山の松茸にありつけるとは…香りも十分にいいです。スープはフカヒレと似た感じですね。さっぱり味の醤油ベースに油が浮いていて、コクと旨味がしっかり感じられます。

　④フルーツ杏仁豆腐が美味しい。中華のコースのデザートなんか、基本あまり期待しないんだけど(笑) まがい物が多い中、ほんのり上品な杏仁の香り漂う、本物の杏仁豆腐でした。

オーナーシェフの齋藤永徳さんは、和食と一緒でダシに心血を注いでいるそうです。
ベースは鶏ですが、胴体は使わずに全てモミジで鶏ガラスープをとるとのこと。もちろん野菜は使います。
ダシがしっかりしていれば、塩などの調味料による味付けは必要最小限に抑えられる。これが「味は薄くても旨みがある」料理の数々を生んでいるのでしょう。
ほぼマダムの ”受け売り” ですが(笑)

こちらの名物の北京ダックは3日前には要予約だそうです。
メニューには1週間前とありますが、直接マダムに確認しました。
小さな店なので、専用の窯もないし、予約が入らないとダックそのものを仕入れないとのことでした。
半羽7,000円、一羽14,000円ですが、シェフの自信作でもあり、これ目当てのリピーターも多いので、次回は是非とマダムに勧められました。

荻窪の裏路地で開業24年。
その年月と多くのお客さんに裏付けされた自信みなぎる料理の数々。
そしてホールの一切を取り仕切る素敵なマダム。

たいへん失礼な話ですが ”瓢箪から駒” でありついた『北京遊膳』での晩ご飯。
北京ダックを食べるまで、点数に少しのりしろを残しておきたいと思います。