ファミリー向け剛速球ど真ん中ストレート : Italian Kitchen VANSAN 祖師ヶ谷大蔵店

しゃもじ隊は憂いていた。世の中には気心しれた仲間やカップルで訪れる美味しいお店は多いが、ファミリー層が気兼ねなく楽しめる美味しいお店がなさすぎる。

そりゃ街ゆくパパさんやママさんだって子供を連れて美味しい料理に舌つづみを打ち鳴らしたいに決まっている。しゃもじ隊と称してはや4年、まさか今頃こんな大都会東京の盲点に気づくとは己が情けない！しゃもじで自分の頭を「このばかちんがあ！」と武田鉄矢まじりに叩いていたその時だった。

しゃもじ隊にモールス信号が。なになに？オセイボオクリマシタヨ　ハハヨリ。違った、これはこの間届いたお歳暮のうどんのことだ。もとい。小田急線は祖師ヶ谷大蔵駅にファミリー向けイタリアン「VANSAN」がオープンしたという情報をキャッチ。このVANSANは1号店が鷺宮にオープンし、しゃもじ隊ももちろんのように即刻ロックオンして訪問。そして大いに感動したわけだが、その2号店ときたもんだ。あの感動再び。果たして全米が泣くのか。

ということで一瞬にして祖師ヶ谷大蔵駅前に降り立つしゃもじ隊。イザまいらん。

立地はまさしく駅前中の駅前。男の中の男。駅前の商店街のような通りをはいってすぐにお店が登場。外観は、木目調な優しげなこの感じ。まさにファミリーというファミリーが吸い込まれていくダイソン級の吸引力！

外にはテラスもあって、ここでも食べることができるというなんというラグジュアリー感。ちなみに今は冬真っ盛りなのでまさか凍えながらディナーというわけはなく、ビニールで覆われていてストーブも備え付けれています。にくいです。

店内に入ると右手にカウンターキッチンがあり奥行のある細長い店内。キッチン横には2人席テーブルが並んでいてもうカップルとかウハーな感じ。そこを抜けるとフロアになっていて広めの空間が登場。

もちろんしゃもじ隊たるものビシッと最もコンフォタブルだと見積もった右奥のベンチシート風テーブルをチョイス。単にそこに案内されただけなのはナイショだ。

店内は割と大きめのBGMでランプがあたたかみがあって、暗すぎず明るすぎない絶妙な雰囲気。これですよ。もしこれがカップル狙いのお店なら照明はもう少し暗めにして、ムーディーな雰囲気の中で君のことが好きでした、本当に？実は私も！というニクイぜあんちくしょうな展開を想定もするものだが、このお店はファミリーを意識してるのだ。そういう配慮は無用だ。だからこれでいいのだ。

ではメニューを。樽詰めスパークリングなるものがあるようなので、それを頂こうか。ドリンク類はワインが充実していて、ビオワインを多く取り揃えているよう。このVANSANはファミリー重視のコンセプト通りに、安心して食べることのできる無農薬野菜を契約農家さんから仕入れる徹底ぶりとのこと。メモメモ。

なるほど、ちゃんとその辺の想いがあってのコンセプトなわけですね。しゃもじバンザイ。ちなみに子供向けなのかどうかはわからないが、スムージーが結構種類豊富でしかも今巷で流行りのスーパーフードなんかも入っちゃってる逸品。

子供を差し置いてお母さんの美容がぁっ！てなりそうな奪い合い必至！オーガニックジュースなんかもあってお子様パラダイス状態。

さて樽詰めスパークリング登場。これはなんという表面張力な注ぎっぷり。でんじろう先生もびっくり。持ち上げて乾杯するの大変だけどなんだかテンションあがります。

さて食べ物をね。頼みましょう。メニューを吟味しているとフロアのお姉さんが元気に「お通しでーす」と持ってきたのは何と板の上に乗ったたっぷりの生ハム！サラダ風に野菜が下に敷いてあります。

ちょうどスパークリングだし、生ハムとかないかなーとメニューを探していた心を読まれてちょっとしたエスパー状態の驚きと感動。うーん、これはいいわ。美味しいしスパークリングにあうし、上機嫌。

メニューは何とタパス類が300円とか500円のラインナップ。オリーブとかバゲットとかちょっとしたものが300円でオーダーできて、アヒージョなんかもワンコインで頼めるこの価格帯はとても魅力的。気持ちが大きくなってガンガン頼んでしまいそうな自分が降臨。でもいいの。

かといってタパスだけじゃなくて、お肉料理もパスタもしっかりと準備されているのでお腹をしっかり満たすこともできるスキなし状態。

相変わらずメニューに穴が開くほどの眼力で凝視し続けること5分。まばたきすら忘れるトリップ状態からついに開眼！もう第3の眼がオデコに開いてます。多分邪王怨殺拳とか使えそう。

ということで。

エビのアヒージョ・バーニャカウダ・マンガリッツァのベーコン串・シラスのペペロンチーノ

まずはアヒージョ登場。グツグツいってますよー。オーダー時にバゲットをつけるか聞かれるのですが、これだけはお願いしておく。バゲットはつけるんだ。いいから黙ってつけてくれ。あっそうかい！じゃあ聞こうか。バゲットがなかったらどうやってせっかくのアヒージョのオリーブとアンチョビの美味ソースをのこさずに平らげられるというのですか？スプーンですくう？なにそれ？ツマラナイネー。そういうのを日本語でイウと「オトトイ　キヤガレ」なのデショウ？

なぜ勝手にキレてしかもカタコトの外人なのか書いている本人も錯乱してわからなくなってきたが、それくらいの勢いでここは是非バゲット付きで。ここのバゲットは新宿でも有名なパン屋さんらしく、モッチリ感が半端ないっす。そういうこと。

そしてお次はバーニャカウダだ。本当に自分でもしつこいと思うが、しゃもじ隊は、生粋のバーニャカウダラバーであり、バーニャカウダを食べたことがない人が西に居ると聞けば行ってその口に野菜を突っ込んで、アツアツのバーニャカウダソースを流し込むという宮沢賢治もビックリの鉄壁のバーニャーズなのだ。

しかもこちらの野菜たちは契約農家さんたちが丹精込めて作った元気野菜だ。当然そのままかじりたい。そういうことだ。野菜は少しずつが種類たくさん盛られていていい感じ。まずはソースにつけずに頂いてみます。うーん、あまーぁい！

ここで懐かしのスピードワゴンが登場するほどの甘さと歯ごたえ。無農薬野菜や有機野菜はもちろん安全安心を売りにしている部分もあるのだが、当然のことながら美味しくあってほしい。その両立がここにある。これはかなりいい。ソースもスタンダードながら野菜を邪魔しない良いバランス。

さてこの辺からお腹を満たしていきましょうか。ベーコンの串が登場。粒マスタードが乗っていてもう見るからに美味しそう。うん！これは美味！ジューシーさと肉の旨味と外がカリッと感が凝縮された、なんというマンガリッツァ。それってなにガリッツァ？これはかなりお値打ちな逸品で当りチョイスだと思う。

さらに箸休め的に頼んだフレンチフライもホクホクでお皿に敷いてあるペーパーが英字だったりするわけですよ奥さん。そりゃニューヨークじゃ当たり前ってもんよ。たまんないねこりゃ。

さてここからはパスタ。シラスのペペロンチーノが登場だ。

ってオイオイおねえさーん。パスタの上にシラスが乗ってないなんてナイスジョークすぎてサザエさんも裸足で逃げ出すぜ？と肩をすくめてみると「シラスは別にお持ちします」と言って、大量のシラスが入った大きなボールを小脇に抱えて再登場。

「これからシラスをパスタに乗せていきますのでもういいというところでストップして下さい」

というではないか。えっ、それってつまりはシラスかけ放題？そんなバカな。もしかして小さじスプーンでチビリチビリとシラスを乗せてこちらがしびれを切らすのを待とうという作戦とか？と何かと疑いがちなしゃもじ隊の良くないところを出しつつ、よく見るとおねえさんはフツ―にトング持ってるし。どうやらこれは事実らしい。

そうとなればもちろん選択肢は１つ。

「ストップとか言わない。ゼッタイ。」

と思ったが、さすがに営業妨害全開すぎて良い子の読者が真似してしまいそうなので断念。それでもシラス大好きなので、結局チョモランマ級に盛ってもらってしまう。これすごい。もう食べる前にノックダウン。見た目で満足。でも食べよう。

んっ！このパスタ。もっちり生パスタか。なんだこりゃ。この食感はモチモチというよりモッチリンコって感じ？我ながら己の表現のひどさに腰が抜けそうになったが、これはいい。シラスにはサラッと細めのパスタが合うかなーという先入観を見事に壊されました。シラスともっちりパスタとオリーブオイルがこりゃ見事に絡み合って見事な味わい。うますぎる。

お次はアマトリチャーナ。おほぉ。こっちもモッチリ。ソースがこれまた濃厚でパスタに良く合うね。いやーパスタは全部制覇したい。

ということでいつの間にかデザートタイム。オーダーはもちろん！クリミアソフトクリーム。これがウワサのソフトクリームかー。どれどれ。

(@￣ρ￣@)おほぉぉぉ

まずこの濃厚さ！世の中にはかなりの数の「濃厚なんとか」が存在しているが、その濃厚ほにゃらら達が土下座してひたいが地面にめり込んでいるレベルの濃厚さ！

なんだろコレ。普通のソフトクリーム100個分をギューーーー！！！って1つのソフトクリームにした感じ？ホントに一口目で絶句します。そういえば最近はどこの家庭も鯉のぼりあげなくなったなぁ。それは節句だよ！季節感ゼロだなオイ。こどもの日じゃねえよ！しっかりしろよ！

とボケてるうちにクレミアソフトはコーンの部分に。とまたこれが！何このコーン部分！例えるなら白い恋人を身にまとったフェアリーテイル。似つかわしくないメルヘン調で表現してしまうほどのこの驚き。まさに1粒で2度美味しいとはこのことだねぇ。しゃもじ隊感激。

しゃもじ隊はあまりデザートには興味のないペンギンなのはご存じのとおりだが、これだけは別格といってよい。家の冷蔵庫にこのソフトクリームが常備されていたらエブリデイ幸せ確定。

とここまで結構一気に食べまくってきたが、ワインもグラスで豊富だし、ビオワインというと好みがわかれるところだがどれもかなり美味しい。ワイングラスが足のないリーデルっぽいグラスなのがまたグッド。

やはりメニューは大人向けのものももちろんあるが、子供が好きそうなベーコンとか卵とかそういったシンプルな料理も多くて懐が広い。スムージーにはバナナとかマンゴーとか入ってて夢がある感じ。

さらにさらに。トイレは調査した結果、女子トイレにはオムツ替えシートが完備されているというではないですか。トイレまでがファミリー向けの看板に偽り無し！

つまりレストランとしては、食材・調理方法・サービス・設備全てにおいてファミリーをトリコにする全方位ハイレベル状態。小田急線沿線ファミリーがこぞって来店する姿がしゃもじ隊にはクッキリハッキリ見えたまだ寒い冬の日。いつも書いているので恐縮ではあるが、ここには絶対に必ず間違いなく再訪すること確実。ファミリーの皆さまもカップルの皆さまもおじいちゃんおばあちゃんもこぞって来店してみてはいかがでしょうか。

ってお店の人間かい！いや、でもそれくらいオススメ。ホントに。

ごちそうさまでしたー！