際立つ熟練の　職人の妙技は　実に奥深く : とり喜

料理人の技術の習得。いったい何年かかるのだろうか。数年も前にあの○リエモンが言った。寿司職人の修行は無駄。専門のアカデミーで十分と。事実、即席で技術を覚え。外国で寿司職人になる。そういう御仁も数多い。

しかし、それでは本物の職人には。決してなれない。魚介の目利き、包丁さばきなど。
高いレベルの技術を習得して。はじめて人々に評価され。尊敬される職人に。そしてその店は長く人気を保つ。

よく、うなぎ職人は。串打ち３年、裂き８年、焼き一生。そう言われる。また焼鳥では串打ち３年、焼き一生とも。要は仕込みはなにより重要。それを前提に「焼き」が一生なのだ。なんという気の遠くなる修行人生か。いつも、とり喜を訪問すると。

この隠れた仕込みの大切さと。高い焼きの技術水準を。あらためて再認識させられる。
錦糸町は茅ヶ崎からは遠い。しかし、ミシュランではないが。そのために旅行する価値がある卓越した料理。つまり三つ星に匹敵する実力店だと。確信する。

漬物、鶏肉とアボカドのサラダ
さびやき、すなぎも、小玉ねぎ、かしわ、ちぎも、万願寺、椎茸、かわ、ズッキーニ、つくね、トマト、てばやき、白玉、銀杏、スープ

一白水成　特別純米
醸し人九平次　山田錦
ハイボール

そう言われている。焼きは本当に難しい。他の名職人のｺﾋﾟｰではいけない。クローンは長続きしない。凄いレベルの技術があって。しかもその時の天候。客の体調や食材の質。すべてを織り込んで。最善を尽くす。そしてそれを成し遂げる。

まさに職人芸の極致。焼鳥でそれが出来るのは。この店の主人だろう。もちろん焼くだけではない。その前の下ごしらえ。つまり調理だが。そう簡単ではない。仕入れた食材の確認。店の清掃や道具の手入れ。予約客の好みなどなど。

単なる職人芸では成し遂げない。目の前に客がいるのだ。その反応が直に伝わる。ただ美味しいと言うのと。表情、仕草で感じるのでは。すぐに見破れる。人間は正直だ。誤魔化せない。言葉、表情、笑顔、仕草。とり喜の主人は細かく見ている。

●前菜類
漬けもの
サラダ（トマト、ササミ、レタス）
とり肉とアポガドの和さび和え
●焼鳥
さび焼き、砂肝、小玉葱、かしわ、椎茸、ふりそで、ちぎも、筑前煮、茄子、つくね、うずら、手羽、銀杏、スープ

○飲み物
生ビール
九平次　純米大吟醸
山形正宗　1898

焼鳥の進化が止まらないという。これまでもオシャレでスタイリッシュ。そういう店は数多く登場。しかしそう簡単ではない。焼きの技術が未熟で。その多くが消え去った。しかしその傾向は一向に衰えない。焼鳥ファンを虜にしそうな。ニューウエーブを期待したいが。

焼鳥と他の料理を組み合わせる。たとえば中華で。世界3大珍味とのマリアージュ。まるでコース料理にように。四季折々の食材との組合せ。郷土料理にこだわる。などなど登場。単にオシャレ系ではなく。立派な料理人、実力者が参戦。はたして。

ただフォアグラなど。本牧の「やきとり本牧」や。鎌倉の秀吉など。すでに長く使用している。そして焼きの技術で今なお健在。食材の仕込み、調理。そして焼きの技術。それほど甘くはない。だからニューフェイスは。結局は話題性に頼る（私見）。

当店の訪問は2020年7月の2回目。すでにコロナ以前の盛況。しかし店は対策は入念に。今回もまずは鳥刺しから。今後はこの1皿なしには。これがまた銘酒に良く合う。今回はなんと而今の。純米吟醸朝日火入れ。こんな貴重な名酒で。

次々に登場する逸品。どれもまったく素晴らしい。火の通し方が最高。今宵も至福の一時。錦糸町から総武線で大船経由茅ヶ崎へ。心地良い睡眠であっという間に。乗換が簡単で便利なのだ。今年はあと何回と思うと。コロナの早い収束を願う。

●さびやき、かしわ、小玉ねぎ、ちぎも、つくね、ズッキーニ、すなぎも、白玉、ぎんなん、かわ、しいたけ、てばやき　　これにサラダやお新香など
○而今、醸し人九平次、山形正宗1898

最近よく言われる言葉。それが「コロナ後の世界」。いったいどんな世の中になるのか。私はその答えは「本物の時代」だと思う。たとえば食の世界では。某有名焼鳥店がある。本店も予約が超難関。そのクローンのような店も。弟子といわれるが。本店同様超人気。

しかし弟子は実際には。本店で「焼いて」いない。というか。そういう姿を見たことがない。不思議な人気店たち。しかしクローンはクローン。オリジナリティのない店は限界が。コロナ後の時代は厳しい（私見）。本物の職人しか生き残れない。

これから数年の後に明白になるだろう。寿司、蕎麦いや他の業態でも。我々が想像する以上に。時代は激変。私はそう思う。とくに日本は甘い生き方が。まかり通ってきた。これから世界は激烈に変化する。固定観念、先入観は捨て去るべき。

テレワークの時代は。人種、年齢、性別を問わず実力の世界。

そして当店。あいかわらず名人の焼きは。素晴らしい！仕込みはもちろん。焼きは天性の神業とも。とにかく他の有名、実力店にくらべて。一歩も二歩も卓越している。それは繊細な技。微妙なタイミングで。極上の仕上がりに。この日は初めて鳥刺しも。

これはすばらしい。次回はホルモンも。貪欲に楽しみたい。

●お通し、漬物
●鳥刺し
●ささみ、砂肝、レバー、ハツ
●サラダ
●コースメニュー
さびやき、かしわ、小玉ねぎ、ちぎも、つくね、ズッキーニ、白玉、ぎんなん、かしわ、しいたけ、手羽焼き、スープ
○生ビール
○醸し人九平次　純米大吟醸
○澤屋まつもと 守破離
○山形正宗1898

ミシュランガイドでは日本の焼鳥店は。1つ星が現在10店ほど。海外では唯一、NYの鳥心が取得。そしていま鳥心で修行したフランス人が。パリで開いた店が話題になっている。その職人は日本人に負けず情熱を持つ。もはや焼鳥は世界的な和食に。

この錦糸町の、もちろん1つ星の名店。実はすでに台北と上海に進出。さすがと言うか。その先見性は見事だ。ただ焼鳥で「焼き」の技術は。絶対的に重要。台北や上海の職人が。当店の主人のような高度な腕前かどうか。きっと坂井さんが適切に指導するだろう。

それはこちらの坂井さんが誰よりも。心底理解している。しかしこのグローバル化の時代。食文化は海を越えて。世界に広まる。フレンチでもイタリアンでも。どれだけ優秀な。本場、世界で通用する。日本人シェフが登場したことか。

私は「とり喜」はもっとも3つ星に近いと思う。この焼鳥という料理。昔は庶民の好む大衆料理。それを和食にまで引あげた。それには主人の坂井さんが貢献。とにかく焼きがぶれない。そして品性を感じる。他の店との違いがこれ。風味も心地良い。

今回は晩秋の1夜。心行くまでコースを楽しんだ。

コース
さびやき、かしわ、小玉、ちぎも、つくね、小なす、すなぎも、白玉、ぎんなん、かわ、しいたけ、てばやき

久しぶりの名人の焼鳥。あいかわらず団扇で扇ぐ動作は。頼もしい上に名人芸を感じる。その仕事は丁寧、繊細で心地良い。まったく文句のない。芸術的な串の数々だ。私は特に「焼き」については圧倒的に。日本一だと確信する。他の職人をまったく凌駕する。

勢いで焼くのではなく。「心」で焼いている。

長く連続してミシュランガイドで１つ星を獲得。個人的にはもう３つ星で良いのでは。そう思うほど。他のカタカナ名の各店は。この店に比べてはるかに劣る。目黒の某店にも優る。焼鳥は当店が牽引して日本全体の水準が。上がっていけば日本の食文化は安泰。

ところで。すっかり国際的に評価された和食の焼鳥。香港、シンガポールどころか。NYやパリなど欧米でも。人気を博している。もともと肉食なので刺身に比べて。違和感は薄い。挙げ句の果てに。フランスでは日本料理の人気1番。あの寿司を凌駕しているそうだ。

今ではフランス流のyakitoriが誕生。boeuf（beef） fromage yakitoriという。チーズに串を通し。薄切りにした牛肉で巻いて。醤油ベースのソースで焼く。食前酒と一緒に楽しみたい料理だそうだ。焼鳥は海外で進化をする。しかし当店の影響も広がる。

それは台北のNEO19で。新しい「とり喜」が誕生した。海外１号店となる「台北鳥喜」は2017年４月にオープン。NEO19の店は台湾資本との協働だが。坂井氏が監修している。ミシュランで7年連続の。星を獲得した名人が腕を振るう時も。

来年、台北を訪問予定。ぜひNE019の店を訪問してみたい。

さびやき、かしわ、小玉ねぎ、ちぎも、つくね、小なす、すなぎも、白玉、ぎんなん、かわ、しいたけの代わりに松茸、てばやき、デザート

焼鳥は大衆の食べ物と言える。しかし、ピンからキリがあるのが焼鳥。たかが、されどの典型的な料理。食材（鶏）の選別、仕入から。仕込み、串打ち、そして最も重要な「焼き」。どれも１つとしておろそかに出来ない。従って実力店は仕込みに5～6時間を費やす。

しかし、ただ時間をかければよいか。それほど単純ではない。もう1つ大切なのが修行（先）。理屈と実際の作業は別物。季節、食材の変化、客の都合など。適切な対応が求められる。この店の主人・坂井氏はかつて。根津の「八まき」で修行。約10年間腕を磨いた。

2002年に独立し「とり喜」を開店。以来誠意を込めて営業。今日の名声を築いた。その特徴はまずは焼きの技術。火持ちに優れた備長炭を使用。団扇で扇ぎ高温を保ち丁寧に焼き上げる。決して焼きすぎない。見事だ。鶏は信玄鶏、東京軍鶏。

焼鳥は決して焼きすぎてはいけない。世の中で勘違いしている店が。なんと多いことか。火入れではなくて、火を「通す」のだ。火入れはあくまで調理の1課程。焼鳥は火を通す。単に焼くのではない。ミシュラン星つきの店でも勘違いをしている。

さて店は錦糸町から徒歩数分。眼前に東京スカイツリーの勇姿を見ながら。路地を入ると大きな提灯が。夜の帳が下りて、輝くように浮かび上がる。私は訪問するたびにワクワクする。つねに上質の串を味わえるから。料理、酒、接客、雰囲気。どれも見事。

これでこのCP！おそらく東京いや全国の焼鳥店では。目黒の鳥しきと並んで。頂点とも言える店だろう。焼鳥は東京、京都、横浜、今治などなど。かなり訪問したが。いまのところこれが結論。将来、これらの名店を超える店が。登場するのが楽しみだ。

さてお決まりのコースの前に「とり肉のわさび和え」と「笹身、トマト、サラダ菜のサラダ」。さらに写真には写っておりませんが刺身盛合せも。

数年前、横浜関内の実力派焼鳥店で。移転前までコースが7本で1500円。そして食材、焼き具合など素晴らしく。感心していたが。移転後は大幅高になってしまった。もちろんスタイリッシュで立派な店構えに。ある程度の値上がりは覚悟したが。正直、やや失望。

こちら（とり喜）は店主おまかせの「鶏懐石コース」が。実にリーズナブルだが内容は串（肉）8本、野菜4種、小鉢1品。厳選した国産地鶏と旬の野菜。定評ある絶妙な焼具合で。備長炭火が旨味を存分に引き出した。珠玉の串のオンパレード。

この値段であれば。十二分価値があると思える。以前はさらに凄いCP。串11本ときじ丼のコースがあったが。これにサラダなどを加えても。それほど高くはならない。しかもミシュランの星。正直、私は焼きの絶妙さだけで言えば。日本の焼鳥店の最高峰と思っている。

全体の完成度もかなり高い。印象的なのが。ご主人が大きな団扇を使い。こまめに火の微妙な調整を。かなり神経を集中している。また事前の仕込みが実に丁寧。かつ調理、焼きにも職人芸を存分に発揮。星獲得も当然だろう。

今回は串でさび、かしわ、小玉葱、ちぎも。つくね、小茄子、白玉、砂肝。そして銀杏、手羽、椎茸と。またとり肉のわさび和えと。笹身、トマト、サラダ菜のサラダ。さらに刺身盛合せも。やはり日本の最高峰の水準と実感。

ようやく再訪がかなった。相変わらず焼きは丁寧。どの串も焼きすぎていない。
焼鳥ではこれが一番大切。その点では、とり喜は東京一、もしかしたら日本一だろう。私の知るかぎり。ただ、世の中どこに名人が潜んでいるかわからない。これからも各地の名店を訪ねたい。

少なくとも目黒の人気店よりは好みだ。あちらはとり喜よりやや大ぶり、風味も優る。しかしそれ故、串によってはやや焼きすぎも感じる。人それぞれだが肝心なのは適度な風味と旨み。これからも未訪問の店を訪問し続けたい。その際にもとり喜の焼きが判断基準となることは間違えない。

お通し（漬物）、さびやき、かしわ、小たまねぎ、そらまめ、ちぎも、つくね、小なす、すなぎも、白玉、ぎんなん、かわ、しいたけ、てばやきのコース。これにおろし、きぬさや、トマトが加わる。追加でまるはつを。

酒は而今、醸し人九平次、ロ万、不動などたっぷり飲んで1人8000円程度。CPも悪くない。

＊今回の写真は最初の12枚

2012.9.7
現在、東京で一番美味しい焼鳥屋はどこだろう。鳥しきが有名だが、焼き方にムラがあってどうしても1位には押せない。鳥重はやや豪快な焼き加減で繊細さに欠けるが身質の良さでは素晴らしい。神田の鳥冨久は先代が絶妙な焼き加減で素晴らしかったが引退してしまった。

昔のこと。麻布十番に門扇というコース1万円の超強気の店があった。食通が激賞するので訪問してみたが、これも当たり外れが多くて感心しなかった。あの数寄屋橋の高名な寿司屋の隣にある店。焼きがいい加減で大失望したものだ。とにかく焼鳥は簡単な料理ではない。たとえ良質の部位でも焼き加減、火の通　し方でまるで旨さが変る。

久しぶりのとり喜。もしかしたらこの店が今の東京を代表する店かもしれない。火の通し方が丁寧で繊細なタイプの焼鳥であるが。非常に完成度の高い焼鳥だと思う。焼鳥通に人気のある所以だろう。焼鳥にはこの対極として少し焦げ目が残るくらいの風味を味わうタイプがある。鳥冨久がその例。

さて頂いたのは下記の串。それぞれ実に上手く火を入れている。大きな内輪を駆使し火の調整をするので仕上げはまったく文句ない。焼鳥の評価は塩の振り方。またさび焼き、つくね、皮なので決まると思うがさび焼きなどこの店が群を抜いているのではないか。レアの具合が見事である。

あとは品川の鳥てるか。いつか再訪して比べてみたいものだ。青木さん元気かな。

さび焼き、つくね、ハツ、合鴨、白玉、アスパラ、きじ、銀杏、小玉葱、ぼんぼち、なす

＊最初の10枚が今回の写真です

2012.2.21
透明な冬、空気は冷たく清んでいる。夕闇の先、高くそびえるスカイツリー。今年のオープンを控えてわくわくします。東京の広さ、日本の美しさを実感したいと。そんなスカイツリーを真近に仰ぎ見る錦糸町。未来への希望。

今年は何度この風景を見るでしょうか。予約の難しいとり喜。幸運にも週末のゴールデンタイムに。 その壮大な姿を横目に眺めながら店へと急ぎます。そういう気持ちが楽しい。それに今回も美女2名！

いつものコースに加えてまずはサラダとキジ焼きで乾杯。コースはさび、かしわ、小玉葱、ちぎも、つくね、小茄子、砂肝、白玉、ぎんなん、手羽、椎茸。相変わらず焼きには細心の注意。上品ながら美味しい。

酒はあの醸し人九平次。素晴らしい吟醸香。旨み、まりやかな甘さとバランスがとれ、パリの三つ星シェフに絶賛されたとか。極上の串と銘酒。大満足です。

話題はめまぐるしく駆け巡ります。アメリカのロックから上野のガード下まで。酒を、料理を、会話をと楽しく過ごすのは大変ハッピーです。もしこの近所に気のきいたバーでもあれば朝まで語り合ったかもしれません。今宵もまた幸せな一時を過ごしました。スカイツリーを眺めながら帰宅の途に。

＊今回の写真は最初の12枚です。

2010.10.26
3回目の訪問です。この前の大塚の某店で何か消化不良だったので久しぶりにこちらの完成度の高い焼鳥を食べたくて。

錦糸町駅から歩いているとはるかに東京スカイツリーを望みます。そういえば錦糸町は浅草からはあまり遠くない距離でした。それにしてもこれからスカイツリーを見る景色も様々に取り上げられるでしょう。富士山に百景があるようにスカイツリーにも百様の景色がありますから。

さてお決まりのコースの前に「とり肉のわさび和え」と「笹身、トマト、サラダ菜のサラダ」。さらに写真には写っておりませんが刺身盛合せも。

コースはCPが素晴らしく2700円でさび、かしわ、小玉葱、ちぎも、つくね、小茄子、白玉、砂肝、銀杏、手羽、椎茸です。〆はきじ丼で。

ご主人は大きな団扇を使いこまめに火の微妙な調整に神経を集中しています。事前の仕込みが実に丁寧でかつ調理、焼きにも職人芸を存分に発揮していますからこの辺りが星獲得の理由でしょう。他の焼鳥店と比較するとその差は歴然としています。

今回もワインと日本酒ですっかり出来あがりご満悦で錦糸町から茅ケ崎へと帰宅しました。電車の中は夢の中です。先日の中央アルプスの星空が出て来ました。幸せな日々です。

＊最初の13枚が今回の写真です。

2010.5.15
今回は刺身と鍋です！しかも鴨鍋。

まずは焼そらまめで一杯。

刺身はレバーと笹身で実にふくよかな味わい。口当たりがソフトですが、しかし口の中で蕩けるような脂の旨味が炸裂します。

鍋は合鴨のもも肉、ローストをシャブシャブで頂き団子は野菜とともにぐつぐつと煮込んで。この合鴨が実に旨味に満ちておりややしっかりとしたもちもち感のある食感ながら深い滋味を感じるのです。

野菜は赤も艶やかな京人参それにえのき、湯葉、下仁田葱、白菜などで瑞々しい食感が鍋のエキスを吸い込んで旨味も一杯に膨らんでいます。よほど質の良い食材なのでしょう。

刺身と豪華な鴨鍋があれば満足感もいっそう高まりもう言うこともありません。ワインは珍しいがありました。サッポロワインが世界に誇れる質を追求したグランポレール！

丹精込めて育てたぶどうの力を活かし丁寧にワインに仕込んだ。日本でしか、つくれない世界クラスのワイン。日本のワインもずいぶん水準が高くなったものです。

＊最初の11枚が今回の写真です。

2010.2.27
小雪も寒々しい2月の中旬。茅ヶ崎からは遠い錦糸町ですがどうしてもこの店を訪問したくて2か月前から予約しておりました。どうも最近はミシュランの★故にさらに超人気となったようで予約も熾烈な状態の様です。

ミシュランが何故焼鳥のジャンルにまで★を付けるのか私にはまったく理解出来ません。しかも長年焼鳥屋を訪問してきた経験ではこの店以外の、その対象となった店のすべてに疑問を持ちます。恐らく特定の人物（グルメ評論家）が関与（推薦）したと思える共通点もあるのですが。

さて当店ですが評判では焼鳥の名店に相応しい条件をすべて備えております。まず主人が自ら焼くこと。次に焼き方に絶対の技術を身につけていること。さらに鶏肉が中心でありあまり余計な品揃えをしないこと。また食材の身質が優れていること。加えてお値段も手ごろである事。

その昔、麻布に「門扇」というコースで1万円という法外な値段の焼鳥屋あり高名なグルメ評論家が絶賛しておりました。私も一度くらいと訪問しましたが結果は確かに半分が美味しいと思いましたが残りは首をかしげるばかり。あのような店は贔屓の客とか評論家が持ち上げるので評価は一方的になってしまいます。

従って焼鳥店は値段が高ければ必ず美味しいとは限りません。値段とは釣り合いがとれない店が数多くあるのが実態です。その点この店は期待を裏切らないことは今回確認出来ました。

店内は広めのカウンターと適度な明るさの照明が落着いた雰囲気を造りだしています。満席でも隣の会話がまったく気にならないなどよく配慮されています。

それにご主人以外に4名のスタッフがおりますので注文もすばやいし、使い終わった小皿も迅速に片付けてくれます。

この日は今年一番の寒さでとにかく暖をとまず熱燗を頂きました。

しばらく一緒した美女たちと会話をしておりました。すると大きな内輪で扇ぐ小気味良いパタパタとした音が聞こえてきました。主人が真剣なまなざしで焼きの調整をしているのです。これこそが焼鳥の命とも言うべき「焼き」の妙技。

さてこの日はコースに加えて「鶏肉の山葵和え」を頂きました。また〆の雉丼も追加で。酒はワイン白、赤と熱燗、貴（冷酒）を。ワインは良心的なお値段に設定されています。

コースは
さび、かしわ、小玉葱、ちぎも、つくね、小茄子、砂肝、白玉、ぎんなん、手羽、椎茸

個別のコメントは避けますがさび焼きは半なまの適度にソフトなタタキ状態で火加減が絶妙素晴らしい。全体にこの火の調整が繊細な味わいを醸し出しており、また食材が素晴らしいのでいっそう優雅な味わいを感じます。

ただ、椎茸は水の使い方が弱くあまり感心しない味になっていました。あの渋谷の葉隠のまるでステーキを食べているような弾力性は感じません。またつくねも今一つのように思えます。食感の問題ですが。

しかし2，3の例外を除いて殆どが食べごろを意識した抜群の火加減ですべての客が大いなる満足感を味わえるのも頷けます。総合的に、現在の日本の焼鳥店の最高峰の1つである事は間違いないでしょう。

ただし、焼鳥も奥が深くてより野性味を味わえる焼鳥屋もありそちらの風味を楽しみたい方はまた別の意見もあるかもしれません。要はこちらは野性味よりも食べごろの妙を意識した芸術的な焼鳥のタイプといえます。
２０１０