濃厚な煮干しスープ : 自家製麺 伊藤 浅草店

２０１５年３月再訪問　写真追加

「私は帰って来た」
長い間東京を離れていた。
真っ暗な長いトンネルをもがくように這い進む。
やっと見えた出口の明かり。
伊藤浅草店。
人によっては塩辛く感じるスープは目覚めの一杯となった。
生きている事を実感する濃厚な煮干しスープで心も体も満たされて行く。
ぱつんぱつんのカタ麺が咀嚼機能を蘇らせる。
「嗚呼 ! なんてうまいんだろう」
生の喜び、食の喜び、長い間忘れていた喜びに打ち震える。
「肉そば　中　スープ増し」は今日も変わることなく
人々を迎える。
そう、遂に私は帰って来たのだ。


2013/08　再訪問。

いつもお世話になっているレビューアーの４門さんから、ここ「伊藤・浅草店」について重大な情報がもたらされた・・・・
なんと、エアコンが設置されたと言うのだ！
驚天動地、まさかと思い、急ぎ食べに出かけた。

ドアを開けて中へ入ると、「す、涼しい」
見上げるとそこには、日立製のエアコンが強烈な冷風を吐き出していたのだ！
なんと言う、あれほどエアコンの設置を抗っていたのに。

ま、今年の夏の猛暑はもはや「心頭滅却」では追いつかなくなったのだろう。
客側も、店側もこの猛暑の中で熱いラーメンをいただくのは命がけだ。
経営者は正しい判断をしたと思いたい。

いつものように「肉そば（中）スープ増し」と「ライス」、それから缶ビールをいただいた。
何も変わらぬ、素晴らしい煮干ラーメンは最高だ。
東京一、いや日本一のラーメンだ。

しかし・・・冷え過ぎる店内。
熱々のスープ、ラーメンをいただいても汗一つ搔かない。
なんとなく、寂しさを感じるのは贅沢だろうか。

ああ、今日も美味しくいただきました。
幸せである。


2013/07　もう何十回目かの訪問。
肉そば(中)スープ増し、ライスを食す。
平日11時5分頃の訪問

出張や旅行から帰って来た時、無性に食べたくなるもの。
それが、ここ「伊藤」のラーメンだ。

うだるような暑さ。
エアコンのない店舗の中。
吹き出る汗をぬぐう。
業務用の扇風機の音に聞き耳を立て、江戸通りを行き交う車と人を眺める。
一瞬、時は止まる。
ぼそぼその麺、そしてシャープで硬い煮干しの強烈な風味のスープ。
砂漠の渇いた砂に水がすーっと滲み込むように、私の胃袋へと浸透していく。
細胞の隅々まで煮干しが行きわたるのを実感する。
そして、その先にほんの僅かの涼を感じる。
今日もまた素晴らしい一杯をいただく幸せ。
あーうまかった　!


2013/03　再訪問　写真追加　評価を上方修正　肉そば中ほか食す。

自宅から近い事もあり、月2～3回のペースで訪問している。
体調が悪い時、胃の調子がイマイチの時、私はここのラーメンを食べて
元気を回復する。

私は「伊藤」のラーメンが好きだ。
いや、ひょっとして愛しているかもしれないとさえ思う。
もし、本当に最後の晩餐と言うものが有るのなら「伊藤」のラーメンは
ぜひとも饗していただきたい逸品だ。
（ああ、もちろん他にもたくさん並べていただくのは言うまでもないことだ）

ソリッド、シャープ、切れ味鋭い日本刀と形容したい強烈な旨味を発する
煮干しスープは唯一無二。
そして、ぽきぽき、ぼそぼその細麺の食感。
ある意味で東京を代表する、東京でしか味わえないラーメンだ。
いや、もちろん、青森や秋田の伝統的なラーメンの味と言うのは知っている。
しかし、少なくとも「伊藤」は東京と埼玉（一軒のみ）しかない。
だからこそ東京でしか味わえない最高のラーメン、だと私は思う。

以前感じた数少ない不満だったライスもかなり改善された。

このまま、何一つ変える事なく我が道を突き進んでほしいと願っている。


2012/09　再訪問　写真追加。

９月上旬、平日の午後１２時５０分頃に訪問。
以前は店の近くまで来ると煮干し特有の強烈な匂いを放っていたが、
暑さのせいかその匂いを感じることはできなかった。

先客は１名、私の後に１名だった。
全く余計なお世話であるが、こんな昼時にこの客数では経営は
大丈夫なのかと訝るが、まぁ素人の戯言だと思いたい。

いつものように店内入って左手の食券販売機で
「肉そば　中」８５０円、「スープ増し」１００円、「ライス」１００円を購入し店員さんに
手渡す。

しばし待つ。
先客のスープをすする音。
そして入口付近に置かれた業務用扇風機の騒々しい音を聞く。
喧騒の中にも一瞬の静寂がある。
出来上がりを待つ。
汗が噴き出す。
９月の残暑も厳しい。
この日も都内は気温３０℃を超えていた。
エアコンがないことを覚悟して入店すれば、
後は心頭滅却、気合いで乗り切ればなんとかなるかもしれない。

そうこうしているうちに提供された。
相変わらず、茶色の濁ったスープにこんもりした白い麺が覗く。
とてもあっさりしたビジュアル。
だが、煮干し特有の香ばしい匂いが食欲をそそる。
人によってはややしょっぱいと感じるスープだが、
この暑さの中、噴き出す汗と格闘しながら
頂くこのスープなら何も問題はない。
むしろ滋味あふれるスープだ。

麺は噛みごたえのある、固め、しこしこの触感がスープに良く合いうまい。


ライス・・・・ああライス。

こんなに素晴らしいラーメンを提供しているのだ、
ラーメンにかける愛情やコストのほんのわずかでいい、
ライスにもかけてやってほしい。
と切に願うのだが、難しいか・・・・

なんだか、なぜか癖になるラーメン。
ぜひこれからも頑張ってほしい。


以下、2012/07時のレビュー

癖になる濃厚煮干しスープのラーメン。

強烈な暑さとなった祭日の月曜日、11時１０分頃に訪問。
都営・メトロ浅草駅出口からは約１分ほど、蔵前駅からでも５分ほどの距離。
気にしていないと通り過ぎてしまうような街角の一角に店はある。
店の近くまで来ると煮干しの強い匂いがする。

２回目の訪問。

店の入り口左手の食券機で「肉そば　中　」８５０円と「スープ増し」１００円、「ライス」１００円を
購入して、店員さんに渡す。

店内はいたって質素な造り、簡素というべきか。
両側の壁に向かってカウンター席のみ、１０人も入れば満席だ。
お冷はセルフ。
感心すべきことに、使い捨ての安っぽい割り箸ではないところにこだわりを感じる。

窓という窓、入口はすべて開け放たれていた。
店の奥から業務用の大型扇風機が、風を送っていたが、
暑すぎる空気をかきまぜるだけの効果しかないようだ。

そう、この店は暑い・・・・
エアコンはないのかもしれない。

そんなことを考え、吹き出る汗をハンカチでぬぐいながら
待つこと少々。

煮干しの強い匂いが食欲をそそる。
麺の量は、中だがまずまずか。
具は、シンプルにチャーシューが４枚、刻み葱が少々。
ビジュアル的には少々さみしい。
食べてみよう。
麺は、細麺でゆで加減は私好みの固め。
おおっ、うまい。
煮干しのスープとうまくからんで、後を引く。
大量の汗をかいているせいもあって、
煮干しのうまみと塩気が体にいいような錯覚を覚える。
チャーシューは悪くはないのだが、さほど記憶に残らない味だ。
少し残念。
ただ、考えてみるとチャーシューが主張しすぎると、ここのラーメンのいいところが
ぼやけるかもしれない。
スープを飲み干し完食。

さて、ごはんだ。
これは、もうはっきり言って落第点。
ごわごわ、ぱさぱさ。
昨日のご飯かと思うような美味しくないごはんだった。
小さいなお店なので、ごはんまで気が回らない、コストも掛けれないかもしれないが
ぜひ、改善を希望したい点だ。


前回訪問した時よりも数段美味しく感じたのは、この暑さのせいだろうか。
いや、そうではなくこちらのお店の方たちが不断の努力によって
美味しさをアップさせたものだと思いたい。
浅草のメインストリートからは、少し外れてしまうが、
ほんの少し足を延ばして訪ねてみてほしいラーメン屋だ。