〆は絶品天茶漬けで☆ : 天庄 湯島店 本館

久し振りに天ぷらをいただこうという話になり、事前予約をお願いして三人でお邪魔した天庄さん。

こちらは湯島天神さんに程近い老舗感漂う天ぷら屋さんで、正面に向かって左手が宴会場、右手が別館となっているようで、今回伺ったのはその突き当たり正面にある本館です。

予約名を伝えると和服のお姉さんが、真っ直ぐでない特徴的なカウンターの中央辺りに案内してくれます。

カウンターの中央というと天ぷらを揚げているお鍋の正面、ということは本館の花板さんの真向かいということになります。

ふっと気付くとカウンターは禁煙になった様子で、半年ほど前に伺った時には卓上にあった灰皿がありません。

これは個人的には大歓迎ですが、同行したふたりはたびたび席を外すことになります(笑)

さて、お料理はお勧めの天ぷらコースにお好み天ぷらである小柱磯辺やお芋まるごと、あとはコースに入っているものと別にかき揚げを追加します。

お店の雰囲気と他のお客様への配慮として、大丈夫そうな時だけ撮影させていただきました。

まずは烏賊ゲソと胡瓜を酢味噌でいただく前菜、バランスの良い酸味がさっぱり感を引き立てます。

前菜を食べきる前に到着したお造り5点盛りは、平目に縁側が、そして赤貝にはヒモが付けてあり新鮮な魚介の味が少しずつながらいろいろ楽しめて嬉しいひと品。

既に生ビール2杯を飲み終え、お造りの途中で燗酒へと種目変更します。

あっ、ちなみにこちらの生ビール、スタッフさんが何たらという生ビールを美味しく注げる資格をお持ちということで、言われてみればビールの泡がクリーミーだった気がします。

そして目の前のお鍋で揚げられた、まさに揚げたて熱々の天ぷらがタイミング良く順次目の前の懐紙を敷いたお皿の上に届きます。

この揚げたてこそ、天ぷらの醍醐味というところでしょうか。

大根おろしたっぷり入れた天つゆと、食材によってはお塩やレモンでさっぱりといただきます。


・海老2本　　 天ぷらの王道海老天のプリッとした食感の身の部分の天ぷらとは別に、カラッと揚げた頭もふたつ添えられます。

・紋甲烏賊　　肉厚のもんごうはレモン塩で、食べた断面を見ると中央は半透明なミディアム加減。

・メゴチ　　　　 サクサクのころもにふわふわの身、素材の旨さはキスより一枚うわ手という感じ。

・小柱磯辺　　ふくよかな小柱を海苔で細巻きにした天ぷら、磯の香りが口いっぱいに広がります。

・穴子　　　　　江戸前天ぷらの定番、サイズは中くらいのものを二分割でおろしたっぷりの天つゆで。

・蓮根　　　　　肉厚の蓮根、火を通し過ぎない揚がり具合で、しゃきっとした歯ごたえが楽しめます。

・獅子唐　　　 若干記憶に薄めながら、激辛に当たらずいただけました。

・茄子　　　　　これも天ぷらの定番、程好い揚げ加減でとてもジューシーな印象。

・薩摩芋　　 　普通の薩摩芋と比べ甘みが強く、皮はパリパリで中はほっこり、揚げたミニトマトが添えられます。

・かき揚げ　 　コースとは別にお願いした小海老がたっぷりのかき揚げ、厚みを保ちながらふっくらと揚がっています。

・ご飯　　　　 天ぷらでいただいたものと同じコースに含まれるふっくらかき揚げ。天丼か天茶漬けかを選べるということで、迷わず天茶　　　　　　　　　
でいただきます。香の物が添えられ、山葵とお出しでいただく〆の絶品茶漬け。

・水菓子　　 食べ頃熟し加減のマスクメロン。


今回特に感じたことは、板さんたちってかなり広い視野でお客さんを見ているということ。

単に天ぷらを揚げて、タイミング良く提供するだけでなく、カウンター越しで見えないはずの私たちの飲み物や天つゆに入れる大根おろしの追加を気にしてくれたり、お座敷のお客さんへの料理出しのタイミングをお姉さん方に指示したりと天ぷらを揚げながら良く目が届くものだと感心させられます。

また私たちの会話を邪魔しないよう気遣いしながら話していただいた、天ぷらやその素材にまつわるお話もとても楽しいものでした。

新鮮な魚介や野菜といった素材を最も美味しいかたちにして揚げたて熱々でいただける天ぷら、家庭ではなかなか味わうことのできないプロの技。

個人的には充分人に紹介できるお店という印象です。

外国人客に日本のおもてなしの心を伝えるような場面にもこちらはお勧めという気がします。

とても美味してく楽しい時間、ご馳走さまでした。