【神田 小川町】 この店に低評価する人は、一体何を求めているのか？ : ポンチ軒

と思えるほどこの店は素晴らしかった。
これ以上のトンカツ屋ってあるの？
トンカツの有名店は数多ある。
でも、どこかが、何かが抜けている店が殆どだ。
例えば、トンカツは旨いんだけどご飯がダメだったり漬物がダメだったり店が汚かったり接客が雑だったり。
しかし、僕はこの店に隙は見つけられなかった。
あくまで僕個人の好みで言えば、僕はこの店のトン汁は気に入らない。
トン汁自体は旨かったのだが、そもそもトンカツにトン汁を出されるのが嫌いなだけだ。
ブタがダブってクドいだけ、だからトンカツ屋にはサッパリした味噌汁を出してもらいたいといつも思ってる。
しかし、それはあくまで僕個人の好みの問題で、決してこのトン汁がマズい訳ではなく、例えば梅干しのオニギリと一緒に食べるのならこういうトン汁が好ましいと思う。
トンカツ以外の脇役、漬物は美味しいし、ご飯などは羽釜の炊き立てでフワっとした美味しいご飯で、しっかりと蓋に圧をかけて炊いていると思われる。個人的には土鍋や鉄鍋で炊いたしっとり系のご飯の方が好きだが、多くの人に時間をずらして提供せねばならないこういった店ではこれがベストなのではと思う。
別盛りのキャベツも旨かった。よくトンカツ屋で出される、水にさらし過ぎて味が抜けたキャベツなんかじゃない、しっかりと旨味のあるキャベツだった。僕はトンカツ屋のキャベツにはソースもドレッシングもマヨも使わず塩だけで食べるタチなので、こういうキャベツはとても嬉しい。
ソースはトンカツソースとウスター系の2種類、その他塩と言えば醤油も出してくれたしカラシも新鮮。
接客もキチンとしてるし清潔感はあるし脇役にも隙がない、これで悪い店で有ろう筈は無いのだがね。

いつも拝読させて頂いているトンカツをこよなく愛する『ドレッドノート』様と先日お会いした時に「イチオシのトンカツ屋は？」の僕の問いに氏が間髪入れず答えてくれたのがこの店だった。
なので相方と神田の山ショップで山用品の買い出しに行った帰りに寄ってみた。
店に着いたのが17時20分頃だったが、店の前に5〜6人が並んでいた。
「ありゃ〜、すでに行列になってんの？」って思ったが、まだ営業前で開店待ちの列だと知って安心した。
並んでる最後尾の人に「何時開店なの？」と聞いたら「もうすぐ開店です。あと7分45秒です」との彼の返事にちょっとヒルんだ。秒数まで言うとは、こりゃ重症だな。彼の目にはとんかつ魂の炎が燃えていた。
「なんだ、少し早く来すぎたかな」と僕は思ったが、実は予約の客も他にいて、僕達以降のフリー客は断られていたので、早いどころかギリギリだった事が判明した。コレはラッキー。相方がアークテリクスのショップであと1着何かを試着していたら僕らが断られる立場になっていたのだ。あ〜、良かった。

席に着くと先ずはビールでカンパイ。
ダイエットを始めてから「とりあえずビール」の習慣は止めたのだが、トンカツ屋だけは別。
トンカツ屋に来ると何故かやたらビールが旨そうに感じる。
すると出されたビールは『サッポロ 赤星』、へぇ〜拘ってんね〜。
ならばコッチも「トンカツ前」と行かなくっちゃ。
そこで頼んだのが『ポテトサラダ』と『昆布めんたいこ』。
昆布めんたいこ、コレ旨い。
旨いんだけど、コレはビールじゃないね〜。
「冷酒はあるの？」って女将さんに聞いたら、女将さんはニヤっと笑ってブルースシンガー張りのハスキーボイスで「有ります」と答えると、僕の前に冷蔵庫から出したての一升瓶を3本並べてくれた。
『辛口、辛口、超辛口』の品揃え、こりゃ気合が入ってるね〜。
僕はその中で『日本刀』と書いて「カタナ」と読ませる超辛口を注文した。
もちろん名前が面白かったから。
コレがまためんたいこにも揚げ物にも合うんだな〜。
なので以降4杯飲んじゃった。
そして「トンカツ前」最後の一品は『メンチカツ』だ。
このメンチカツ、すごく旨かった。
サックサクの衣、中は少しレアなんだけどちゃんと火は通ってる絶妙な具合、コリャ旨いよ。
塩で食べても良いし「ポンチ軒」と書いてある柚子風味のドレッシングみたいなヤツをちょっとかけても旨い。
酒が進むね〜。

さてと、それじゃあそろそろとんかつにするか。
この店のとんかつはロースにしろヒレにしろ「普通」と「特選」とがあって、特選だと沖縄産の銘柄豚で作られるとの事。
脂身を落とした『芯ロース』とか『ロース一本揚げ』なんて恐ろしいのもあったが、ここはオーソドックスに僕が『厚切りロース特選定食』、相方が『ヒレ特選定食』を注文してシェアして食べる事にした。
しっかし旨い、とても旨かったよ。
メンチ同様サックサクの衣、旨味が凝縮された肉、厚切りなのに柔らかいし脂身も軽くて甘い。
コレは最高のとんかつだね〜。
レモンを絞って塩をパラリ、次は塩とカラシ、次は醤油、もう「クゥ〜」ってカンジの旨さだ。益々酒が進んじゃうよ。
ご飯を始めとする脇役達の出来の良さは前記の通り、すっかり満足、大満足だった。
この店、定食の他にも単品の揚げ物メニューもとても豊富だ。
今度は定食を止めにしていろんな揚げ物を肴に飲むってのも悪くないな〜。
この衣なら何食ってもマズいワケないしね。
アジフライやエビふりゃなんてのも捨て難いし、次は是非そうしよう。
コレは良い店を教えてもらえた。
ドレッドノート様、ありがとうございました。