【1050-3】今帰仁アグーのロースとカブリ : レフェルヴェソンス

公式

お店の営業情報は店舗関係者によって公開されています。

レフェルヴェソンス

(L'Effervescence)
2024年Silver受賞店

The Tabelog Award 2024 Silver 受賞店

フレンチTOKYO百名店2023選出店

食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2023 選出店

この口コミは、やっぱりモツが好きさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

4.4

¥10,000~¥14,9991人
  • 料理・味4.4
  • サービス4.7
  • 雰囲気4.5
  • CP4.7
  • 酒・ドリンク4.5
2017/05訪問3回目

4.4

  • 料理・味4.4
  • サービス4.7
  • 雰囲気4.5
  • CP4.7
  • 酒・ドリンク4.5
¥10,000~¥14,9991人

【1050-3】今帰仁アグーのロースとカブリ

2,100文字★

テロワール~ 海と大地が出会う場所で(10,000円、税サ別)

1.ハロー~ 桜鯛、菜の花、ミード、新甘夏
2.アップルパイのように #28~ 蛍烏賊、茴香、虎杖
3.市井の山居~ あいなめの乳清ポシェと山菜たち、山椒ラヴィゴット、マッシュルーム&ブラックオリーブ
4.定点~ 蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
5.温もり~ 新玉葱のスープ、川俣シャモと新筍、発酵クリームと甘海老のカラメル
6.遺産~ 今帰仁アグーを薪火で、蕗の薹とブルーチーズ二世古空、あおさのりと春キャベツ
7.陽だまりの縁側~ "ビワ・マンジェ"と甘酒のムース、抹茶ケック、品川萩の花のアイス
8.ミニャルディーズ・お薄・World peace

定番のエスプーマと液体窒素からスタート。
桜鯛の昆布〆、エスプーマしたオリーブオイル、菜の花のピューレは、
同店にしては塩を少し強めに感じましたが旨味や油脂があって美味しい。
液体窒素で凍結させた甘夏のシャーベットも口直しにピッタリです。

アップルパイ前回の#27は蛤、若布、金柑、トリュフでしたが今回は蛍烏賊、茴香、虎杖。
虎杖(イタドリ)って酸味とえぐみの強い山菜というイメージでしたが、
こちらのパイは各食材が調和しているので虎杖の存在も良いアクセントに。
味は前回の蛤のほうが好きですが今回も面白いです。

一方で乳清(ホエー)でポシェしたアイナメは前回の甘鯛以上の満足度。
甘鯛のときは発酵食品を多用してかなり挑戦的な料理となっていましたが、
今回は万人ウケしそうな味わいでキッチリ美味しいです。

ホエーのおかげか火入れのおかげかアイナメが形を残しながらホロホロやわらか。
上に乗る山三つ葉、甘草、山独活など山形産の山菜は重曹など使わず塩茹でしただけのようですが、
山菜特有の苦味や風味がポシェしたアイナメに合って何とも美味しいです。
ラヴィゴットソースには山椒油も入っていて、山の食材が美味しさを奏でます。

定点の蕪ですが5月は千葉産を使用、甘みと辛味が強く感じられるとのことでした。
4時間も火を入れながらトロトロにはならずナイフを入れるとザクッと歯応えがありながらジューシー。
訪れるたびに蕪の味わいが微妙に変わっていくので面白いです。

スープは新玉葱がトロトロになっています。
具のシャモは火入れ良く、鹿児島産という筍も良い処理しています。
そして「海老の醤」の如き甘海老カラメルと自家製というサワークリーム。
これらをスープに溶け合わせると味が変わっていってスープも完成形となります。

本日のお目当て「今帰仁アグー」。
世に流通するアグー豚が西洋種とのかけ合わせばかりなのに対し、
こちらは在来豚アグーのかけ合わせにこだわる純系島豚。
アミノ酸(旨味)が豊富で脂の融点も高い(口の中で脂が蕩ける)豚とのことです。

今帰仁アグーのロースを塊肉で仕入れてロース(赤身中心)とカブリ(脂身中心)に仕分け。
まずバラ肉のように脂身比率の高いカブリを下味の塩だけで味わってみましたが、
口の中に脂が溢れてカブリ本体も蕩けるやわらかさで何とも強烈な旨味。

高級フレンチやイタリアンのメインに登場する豚って妙に調理法にこだわっていたりしますが、
これだけ脂の美味しい豚ならシンプルに塩で焼き上げるだけで最高です。
もちろん同店の優れた火入れも食材を昇華させるのでしょう。

そして滑らかな肉質のロースはアオサのソース、蕗の薹とブルーチーズのソースで。
低温調理チャーシューのようにピンク色のロース肉はシットリしてパサつきません。
今帰仁アグーで出汁を取ったというアオサソースや乾燥アオサと合わせて旨味をアップさせて良し、
蕗の薹とブルーチーズというクセモノ同士を合わせたソースで味わってもまた良し。

蕗の薹とブルーチーズ(北海道ニセコの空というブランド)。
どちらともクセの強い食材として有名ですがその両者が合わさるとまた新たな味の世界。
同店では色々な食材を組み合わせて新たな味を探求しているそうです(失敗も多いようですが)。
食材と食材の調和によって新たな味を楽しめるのもフレンチの醍醐味の1つでしょう。

過去に三ツ星フレンチや3万フレンチで食べても全く感動しなかったフレンチの豚料理ですが、
レフェルヴェソンスの今帰仁アグーはフレンチならではの特長を上手く出していました。
カブリを敢えてシンプルに塩だけで味付けして添えるというのも心憎い演出。

デザートは一部に京都の富士酢とレモンを使って酸味が強烈な部分があったり、
北海道の品川萩の花のアイスの桜餅のような風味や甘味があったりと挑戦的。
ビワ・マンジェ(ビワとブランマンジェの造語らしい)や抹茶ケックなど、
混ぜ合わせて食べることで真価を発揮していきました。

最後は恒例のピーナッツミルク、焼き菓子、お抹茶。
本日は生江シェフからのご挨拶もあって相変わらず高い満足度でお店を後にします。
お酒を飲むお客様の料理は塩分を強めにするとのことで、
今帰仁アグーと赤ワインを合わせてみたくもなりました。

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 ハロー~ 桜鯛、菜の花、ミード、新甘夏

    2017.5 ハロー~ 桜鯛、菜の花、ミード、新甘夏

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 アップルパイのように #28~ 蛍烏賊、茴香、虎杖

    2017.5 アップルパイのように #28~ 蛍烏賊、茴香、虎杖

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 市井の山居~ あいなめの乳清ポシェと山菜たち、山椒ラヴィゴット、マッシュルーム&ブラックオリーブ

    2017.5 市井の山居~ あいなめの乳清ポシェと山菜たち、山椒ラヴィゴット、マッシュルーム&ブラックオリーブ

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 定点~ 蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ

    2017.5 定点~ 蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 温もり~ 新玉葱のスープ、川俣シャモと新筍、発酵クリームと甘海老のカラメル

    2017.5 温もり~ 新玉葱のスープ、川俣シャモと新筍、発酵クリームと甘海老のカラメル

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 遺産~ 今帰仁アグーを薪火で、蕗の薹とブルーチーズ二世古空、あおさのりと春キャベツ

    2017.5 遺産~ 今帰仁アグーを薪火で、蕗の薹とブルーチーズ二世古空、あおさのりと春キャベツ

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 陽だまりの縁側~ "ビワ・マンジェ"と甘酒のムース、抹茶ケック、品川萩の花のアイス

    2017.5 陽だまりの縁側~ "ビワ・マンジェ"と甘酒のムース、抹茶ケック、品川萩の花のアイス

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 ミニャルディーズ

    2017.5 ミニャルディーズ

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 World peace

    2017.5 World peace

  • レフェルヴェソンス - 2017.5 テロワール~ 海と大地が出会う場所で(10,000円、税サ別)

    2017.5 テロワール~ 海と大地が出会う場所で(10,000円、税サ別)

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2017/02訪問2回目

4.4

  • 料理・味4.4
  • サービス4.7
  • 雰囲気4.5
  • CP4.7
  • 酒・ドリンク4.5
¥10,000~¥14,9991人

【1050-2】2月は蕪が最も甘い時期であり発酵に適した時期でもある

1,999文字★

テロワール~ 海と大地が出会う場所で(10,000円、税サ別)

1.厳冬の候~ ぼたんえび、ビーツ、みかん、にごり酒
2.アップルパイのように #27~ 地蛤、新わかめ、金柑、黒トリュフ
3.白から~ アオリイカの羽衣、酒粕発酵乳と伊予柑、コールラビ、菊の花
4.定点~ 蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
5.雪見~ 甘鯛の乳清ポシェ、根セロリ、オリーブオイル
6.囲炉裏の暖~ 七谷鴨を薪で、ソース・アバ、ホタテと焼き海苔のジュ、椎茸、縮みほうれん草
7.ゆるみ~ とちおとめ、さくらのアフィネのアイスクリーム、小豆、求肥
8.ミニャルディーズ・お薄・World peace

アミューズは構成こそ前回と酷似も使用食材が変わっています。
上の泡はエスプーマしたディル、土台はビーツのジュレ、間にボタン海老が入っていました。
「魚のハーブ」とも言われるディルの泡とボタン海老が合います。
前回のアミューズは生臭いと感じる部分もあったのですが今回はディルの香りが秀逸。

マクドナルドを思い出すようなアップルパイの包装、しかし中身は別次元。
そもそも林檎ではなく金柑を使っているので金柑パイなのですが、
蛤の塩気と強烈な旨味、ワカメの磯の香りと旨味が金柑の仄かな甘さとマッチ。
パイ生地が油をかなり吸っていてオイリーですが美味しいです。

アオリイカは職人の手によって超薄切りとなっていました。
当初このイカの風味を感じる点心のような衣は何だろうかと分からなかったほどです。
冷凍にしてから薄切りにするのではなく生の状態でこの薄さとのこと。
この包丁捌きだけでお金を取る価値があるレベル。

アオリイカの白い衣を切り裂くと中には菊の花や伊予柑の鮮やかな彩り。
コールラビは糠漬けとなっていて、酒粕発酵乳ソースと合わせるとチーズのような味わい。
料理業界では世界的に「発酵」がブームとなっているそうで、その流れに乗っている模様。
今は気温が寒いので発酵させるのに適した時期でもあるようです。

スペシャリテの蕪ですが2月は千葉県の東庄町産(前回は青森県の野辺地町)。
蕪は2月が一番甘くなるそうで、その甘みに合わせてか今回はソースの塩分が強め。
同じ料理でも時期によってマイナーチェンジさせてくるところが流石です。

佐渡島産という甘鯛は鱗を完全に外して一晩ホエーに漬け込んだそうです。
75℃で3分ポシェ(茹でる)して、下に根セロリのピューレ。
甘鯛を口にすると凄く滑らかな食感で何とも食べやすいです。
そしてホエーに漬け込んだ効果なのか仄かに発酵臭とクセを感じます。

根セロリのピューレの中には昆布茶で発酵させた根セロリも入っていて強い酸味。
甘鯛の発酵臭もそうですが、高級フレンチにしてはかなり挑戦的な料理。
人によって好みが分かれそうですが美味しいのは確かでした。

メインの合鴨は手前がムネ肉、奥がモモ肉、ソースには内臓を使用。
某ビストロで食べた合鴨(あいち鴨)と肉質のクオリティにあまり差は感じないですが、
火入れに関しては同店のほうが遥かに上手でした。

ワインレッドな色合いの身は官能的な滑らかさ、そしてパリパリの皮が身を引き立てます。
医療用のメスで皮に細かく切れ目を入れているようで流石の技術力。
食材としては青首(雄の真鴨)ほど良さを感じなかったのですが、
調理技術によって食材を引き上げている点は評価したいところ。

自家製の求肥に包まれたデセールは「ロッテ雪見だいふく」オマージュでしょうか。
中には、とちおとめ、とちおとめコンフィチュール、さくらのアフィネのアイスクリーム、餡子。
デセールからも発酵臭、例えればゴルゴンゾーラなど青カビチースに近い臭いを感じます。

アフィネとはフランス語で「熟成」の意。
白カビチーズに桜の葉を乗せて長期熟成させたチーズのアイスクリームのようです。
甘鯛より更に好みが分かれそうなスイーツですが、個人的には前回のデセールより好印象。
全体的に「発酵」を強く意識したようなコース構成でした。

前回の鮎とスッポンのような圧倒的な料理が無くて満足度は少し落ちたのですが、
高級フレンチでありながら東南アジアを思わせるような「発酵」を感じたのは新たな発見でした。
この日生江シェフはサンペリグリノ「アジアのベストレストラン50」表彰式のためバンコク。
同店は2017年度のアジア12位に選ばれているのです。

シェフ(ディレクターシェフ)不在でもヘッドシェフ1名とスーシェフ2名、
更に他にも10名ぐらいのシェフが厨房で腕を奮っており生江シェフの料理を再現。
シェフの存在は漫画で言えばもう原作者のようなものでしょうか。
バンコク滞在中はガガンなどの名店を訪れるそうで、原作に更に磨きがかかるのかも知れません。
今後の進化も楽しみなお店です。

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 厳冬の候~ ぼたんえび、ビーツ、みかん、にごり酒

    2017.2 厳冬の候~ ぼたんえび、ビーツ、みかん、にごり酒

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 アップルパイのように #27~ 地蛤、新わかめ、金柑、黒トリュフ

    2017.2 アップルパイのように #27~ 地蛤、新わかめ、金柑、黒トリュフ

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 アップルパイのように #27~ 地蛤、新わかめ、金柑、黒トリュフ

    2017.2 アップルパイのように #27~ 地蛤、新わかめ、金柑、黒トリュフ

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 白から~ アオリイカの羽衣、酒粕発酵乳と伊予柑、コールラビ、菊の花

    2017.2 白から~ アオリイカの羽衣、酒粕発酵乳と伊予柑、コールラビ、菊の花

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 定点~ 蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ

    2017.2 定点~ 蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 雪見~ 甘鯛の乳清ポシェ、根セロリ、オリーブオイル

    2017.2 雪見~ 甘鯛の乳清ポシェ、根セロリ、オリーブオイル

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 囲炉裏の暖~ 七谷鴨を薪で、ソース・アバ、ホタテと焼き海苔のジュ、椎茸、縮みほうれん草

    2017.2 囲炉裏の暖~ 七谷鴨を薪で、ソース・アバ、ホタテと焼き海苔のジュ、椎茸、縮みほうれん草

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 ゆるみ~ とちおとめ、さくらのアフィネのアイスクリーム、小豆、求肥

    2017.2 ゆるみ~ とちおとめ、さくらのアフィネのアイスクリーム、小豆、求肥

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 World peace

    2017.2 World peace

  • レフェルヴェソンス - 2017.2 テロワール~ 海と大地が出会う場所で(10,000円、税サ別)

    2017.2 テロワール~ 海と大地が出会う場所で(10,000円、税サ別)

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2016/07訪問1回目

4.7

  • 料理・味4.7
  • サービス4.7
  • 雰囲気4.5
  • CP4.7
  • 酒・ドリンク4.5
¥10,000~¥14,9991人

【1050】日本の食材がフレンチの技法で昇華する

4,754文字★

食べログのフレンチジャンルで全国2位(4.52)。
全ての飲食店の中でも全国6位の超高評価店レフェルヴェソンス
2010年に開業、2015年にリニューアルして現在の内装に。

フランスやイギリスでの修業経験を持つ生江シェフが腕を奮い、
厨房には研修生を含め13人、パティシエールが3人。
ドイツ、台湾、香港からの研修生もいて国際的。

メニューは2ヶ月ぐらいのスパンで変わるようで日本の四季を意識。
ワイン、トリュフなど輸送しても寝かせられる一部の食材を除き、
肉も魚も野菜も国産にこだわる、和の要素も大きい「和フレンチ」。
今回はワインを飲まなかったこともあって食卓に並んだ全ての食材が国産でした。

エスプーマや液体窒素など最先端の調理法を取り入れ、
フレンチらしくソースや火入れで食材の美味しさを昇華させます。
重厚な古典フレンチというより和寄りのモダンフレンチなのですが、
日本料理で味わう和の食材とはまた違う美味しさを楽しめるお店です。

お店に入ると人数が揃うまでウェイティングルームで待ち合わせ。
壁に半円の穴を開けたような4人用テーブル席に着席。
地下には個室などもあって合わせて50席はあるようです。

ディレクターの青島さんはじめホールスタッフのサービスも抜かりなし。
特に青島さんはお店で扱う食材や調理法について精通しており、
説明が的確でサービス料を取られるだけの価値はあると思いました。

ウェルカムドリンクは日本酒と白ワインのカクテル。
お店に和の要素もフレンチの要素もあるとのアピールでしょうか。
そしてテーブルのお皿を見ると周りが泡模様。
レフェルヴェソンスとはフランス語で「泡」を意味する言葉のようです。

ディナーは「おもいがけない美しい出逢い(18,000円)」だけですが、
ランチは「おでかけ(10,000円)」、「より道(7,000円)」、
「海と大地が出会う場所へ(7,000円)」からメニューを選べます。

ただ1万円のコースはテーブル全員で統一する必要があるようです。
青島さんお勧めの鮎を食べたかったこともあって「おでかけ」を注文。

飲み物はノンアルコールで炭酸水にしたのですがこれが非凡な美味しさ。
会津若松の国産天然炭酸水とのことですが、
ペリエやウィルキンソンより水が美味しいような気がします。

ワインだけでなくジュースと料理のペアリングも可能なようで、
この炭酸水の美味しさから期待を持てます。
お酒を飲めなくても楽しめるフレンチなのかも知れません。

おでかけ(10,000円、税サ別)の内容は以下の通り。

1. アオリイカ、からすみ、紅芯大根、アーモンド / 甘夏、お酒
2. ’16の夏~
生き生きと焼いた鮎をそのコンソメと、自家製うるかとマッシュルーム、とうもろこし、クレソン、山山椒
3. 定点~
蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
4. とある池~
スッポンと葱の冷たいジュ、アーティーチョーク、ジュン菜、枝豆、雲丹、金蓮花
5. 焚き火の香り~
蝦夷鹿の鞍下肉を薪で焼いて、帆立貝のムスリーヌ、赤ピーマンの炭化ピュレ、赤紫蘇、空芯菜
6. 真夏の果実~
梅と桃、夏のハーブのジュレと軽いショコラブランのムース
7. お薄 & World peace

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点。

【3.3】アオリイカ、からすみ、紅芯大根、アーモンド / 甘夏、お酒

グラスにアーモンドをエスプーマしたような泡が入っていて、
底には紅芯大根のピューレ、中間にアオリイカとカラスミ。
日本料理ではカラスミと大根の組み合わせが定番となっていますが、
それをフレンチで再現したような挑戦的料理でしょうか。

アーモンドを強く感じる泡は面白かったのですが、
料理全体としてはイカとカラスミの生臭さが目立っていました。
カラスミはそのまま食べるのが一番なのかも知れません。

添えられていたのは甘夏と日本酒を液体窒素でグラニテにしたもの。
仄かな甘みの中に甘夏の苦味があって大人の味わい。
グラニテの液体窒素ならではの食感も結構好きです。

【4.0】パンとディップ

ル シュクレ クールのパンを大阪から直送。
ディップは豆腐、サワークリーム、オリーブオイルを合わせたもの。
豆腐は千葉県の「月のとうふ」の豆腐を使用しているそうです。

オイリーさとクリーミーさがありながら豆腐の効果かアッサリ。
パンを食べるのがついつい進んでしまいます。
もちろんパンもディップもおかわり自由。

【5.0】’16の夏~

築地の女性仲買人から仕入れているという和歌山の鮎。
川を堰き止めて人間が管理する半養殖の鮎を15cmぐらいまで育成。
育った場所が川なので稚魚放流の「天然鮎」に近い存在でしょうか。

しかし一流と言われる日本料理店では鮎は築地を通さず産直仕入れ。
繊細な鮎は市場を通す間に弱ってしまうのか。
築地経由の鮎は天然養殖に限らず美味しいと思えなかったのですが、
同店の鮎はフレンチの技法で極限まで美味しさが昇華。
松川京味系のお店で食べた産直の天然鮎を超える美味しさでした。

まずは鮎の冷製コンソメが小さなグラスで登場。
鮎と野菜の出汁を凍らせてザルの上に置き、冷蔵庫の中で抽出。
アイスフィルトレーションという技法だそうです。
何とこの僅かな量に1匹分の鮎を使用。
もう少し塩分があったほうが好みですがコクがあって旨味濃厚。

メインの鮎は3つのパーツに分けてそれぞれ別々に調理。
まず頭は1日半干してから油で揚げているので骨ごとカリッと。
稚鮎や小さいサイズの鮎は頭ごと骨ごと楽しめますが、
このサイズの鮎でも頭を骨の障りなく味わえるのは技術を感じます。

身は骨無しのフィレと骨付きの半身に分けているようで、
骨付きは骨側だけを油で「骨煎餅」のようにカリッとなるまで火入れ。
皮側には「うるか」のソースをナッペしてバーナーで火入れ。
これで骨ごと容易に食べられてしまって、しかも凄く美味しいです。

お店によってはクセや臭みのある鮎のうるかですが、
こちらのソースはうるかの濃厚な旨味がありながらマイルド。
バター不使用とのことで古典フレンチのような重たさは無し。
ソースの美味しさだけでもお店の実力が分かります。

お皿の奥にあるフィレは笹の葉と蒸籠蒸しにしてプリプリ食感を演出。
骨は付いておらず身と皮だけなので口当たりが滑らか。
料理全体から山椒の香りが漂って、付け合わせも美味しく、
そういう脇役の存在も主役の鮎を引き立てていました。

鮎料理は毎年進化しているとの青島さんの説明でしたが、
2016年のこの時点でもう5.0満点と思う素晴らしい美味しさでした。
築地経由の鮎が産直の鮎を超越したのにも驚愕です。

【4.5】定点~

レフェルヴェソンスの定番、スペシャリテとも呼べるでしょう。
1年中出る料理ですが季節によって蕪の産地は変わるそうで、
今回は青森県野辺地町の蕪でした。
蕪の瑞々しさを最大限に引き出すために真夜中に収穫。

夏の蕪は辛味があるそうで確かに少しピリッと辛いのですが、
ジューシーに火入れした蕪はシンプルながら恐ろしいほど美味しい。
某鮨屋で食べた出汁漬けの聖護院蕪も凄かったですが、
フレンチの火入れで昇華する野菜もまた素晴らしいです。

蕪の下にはベーコンのようにカリカリとしたキントアハムと、
クルトンのようになったブリオッシュ。
これらのカリカリ食感も、ジューシーでやわらかい蕪と合います。

そしてイタリアンパセリのソースもまた非凡。
ブリオッシュクルトンとソースだけ食べても4.0級の美味しさ。
うるかソースに続いてのパセリソースの美味しさに、
レフェルヴェソンスの実力の高さを確信しました。

【4.9】とある池~

ウニとコンソメジュレの組み合わせはフレンチの定番ですが、
レフェルヴェソンスはお皿で池の演出まで施します。
ナスタチウム(金蓮花)の茎葉がまさに池に浮かぶ蓮の花。

北海道根室のバフンウニは少しミョウバンを感じるも、
旨味濃厚で高級鮨店で出てもおかしくないレベルの高さ。
そのウニをスッポンの旨味や秋田のジュン菜の食感が引き立て、
日本の高知産というアーティーチョークとも合います。
青島さんによればこの料理の主役はアーティーチョーク。

全てを口の中に含めると味の調和を感じられて美味しさ爆発。
こういう食材同士が調和して生まれる美味しさはフレンチの真骨頂。
塩水ウニであれば5.0満点評価になったであろう逸品。
北島亭のスペシャリテ「生ウニのコンソメゼリー寄せ」を遥かに超えます。

【4.6】焚き火の香り~

北海道の肉卸から仕入れたという夏鹿(蝦夷鹿)。
ハンターと加工場との連携が取れている肉卸だそうで、
生江シェフも信頼してジビエ食材を仕入れているとのこと。

その鹿の鞍下肉、牛で言えばサーロインの部位の、
スジや脂を丁寧に取り除いて滑らかな赤身肉だけを提供。
ロゼ色の鹿肉は見るだけで火入れ絶妙なのが分かります。

スッとナイフが入る、きめ細やかでやわらかい肉質。
鹿ということで家畜には無い野趣のようなクセはあるのですが、
牛や豚には無い独特な旨味もあって何とも美味しい。
3種類ぐらいのソースを全て混ぜ合わせて食べてもまた良し。

エクアトゥールでも豚の肩ロース肉から大胆に脂をトリミング。
似たような方向性のメインを出していましたが、
赤身肉の美味しさという点では蝦夷鹿に軍配と思いました。

しかし鹿の赤身肉がここまで美味しくなるとは驚き。
岐阜県の柳家で鹿を食べたときも美味しいのはロースの脂身で、
赤身の肉のほうはそこまで美味しいと思っていなかった鹿肉。
都内のフレンチで何回か食べた鹿も同じような感想だったのですが、
そんな既成概念を打ち砕くレフェルヴェソンス恐るべし。

【3.4】真夏の果実~

お皿の手前から食べることを推奨されました。
食べていくごとに調和を感じられると同席者たちは絶賛。
フレンチのスイーツとしてかなりレベルの高い1皿なのでしょう。

しかし個人的な好みとしては日本料理の水菓子のように、
素材自体のシンプルな美味しさに感動を受けるようです。
梅の酸味の強さや桃の甘みの弱さがどうも気になって、
ジェラートの下に敷かれた梅ケーキの半生食感も好みと合わず。

【3.5】お薄 & World peace

席の目の前で青島さんが抹茶を点ててくれます。
濃厚なピーナッツミルクと抹茶を楽しんだ後はプティフール4種類。
すももの葛餅、柚子シュー、エアロマイクロコリアンダー、
そしてチュッパチャプスのようなチョコ。
チョコの中にはパッションフルーツ、生姜、駄菓子のパチパチ。

フワッと崩れるエアロの食感など面白い部分もあったのですが、
プティフールに関しては北島亭のほうが感動を受けました。
お土産の蕪の葉のクッキーも蕪の葉のプラス効果までは感じられず。

結果として全7品のうち前菜とスイーツ2品はイマイチだったのですが、
それ以外の4品に関しては超感動級の逸品と思いました。
レフェルヴェソンスが名店と称されるのも納得。

オープンしてまだ6年の新しいお店で成長余地もありそうです。
これより先に更なる進化を遂げてどのような料理が出てくるのか。
今後も定期的に訪れて試したくなるお店です。

  • レフェルヴェソンス - 2016.7 店舗外観

    2016.7 店舗外観

  • レフェルヴェソンス - 2016.7 テーブルセット

    2016.7 テーブルセット

  • レフェルヴェソンス - 2016.7 アオリイカ、からすみ、紅芯大根、アーモンド / 甘夏、お酒

    2016.7 アオリイカ、からすみ、紅芯大根、アーモンド / 甘夏、お酒

  • レフェルヴェソンス - 2016.7 鮎のコンソメ

    2016.7 鮎のコンソメ

  • レフェルヴェソンス - 2016.7  ’16の夏~生き生きと焼いた鮎をそのコンソメと、自家製うるかとマッシュルーム、とうもろこし、クレソン、山山椒

    2016.7 ’16の夏~生き生きと焼いた鮎をそのコンソメと、自家製うるかとマッシュルーム、とうもろこし、クレソン、山山椒

  • レフェルヴェソンス - 2016.7 定点~蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ

    2016.7 定点~蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ

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やっぱりモツが好き

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
レフェルヴェソンス(L'Effervescence)
受賞・選出歴
2024年Silver受賞店

The Tabelog Award 2024 Silver 受賞店

2023年Silver受賞店

The Tabelog Award 2023 Silver 受賞店

2022年Silver受賞店

The Tabelog Award 2022 Silver 受賞店

2021年Silver受賞店

The Tabelog Award 2021 Silver 受賞店

2020年Gold受賞店

The Tabelog Award 2020 Gold 受賞店

2019年Gold受賞店

The Tabelog Award 2019 Gold 受賞店

2018年Gold受賞店

The Tabelog Award 2018 Gold 受賞店

2017年Gold受賞店

The Tabelog Award 2017 Gold 受賞店

フレンチ 百名店 2023 選出店

食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2023 選出店

フレンチ 百名店 2021 選出店

食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2021 選出店

ジャンル フレンチ
予約・
お問い合わせ

03-5766-9500

予約可否

予約可

※ご予約日の3日前までにお電話やメールにて確認が取れない場合、キャンセルのお手続きをさせて頂きます。
※人数のご変更・日程のご変更・キャンセルなど、恐れ入りますが4日前までにお知らせ下さいますようお願い致します。
※5名様以上の人数のご変更・日程のご変更・キャンセルなどは1週間前までにお知らせくださいますようお願い致します。 

住所

東京都港区西麻布2-26-4

交通手段

地下鉄表参道駅から12分

表参道駅から832m

営業時間
  • 火・水

    • 17:30 - 23:30
  • 木・金・土

    • 11:30 - 15:30
    • 17:30 - 23:30
  • 月・日

    • 定休日
  • ■ 定休日
    ※火曜日、水曜日はディナーのみの営業となります
予算

¥50,000~¥59,999

¥50,000~¥59,999

予算(口コミ集計)
¥50,000~¥59,999 ¥40,000~¥49,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)

電子マネー不可

QRコード決済不可

領収書(適格簡易請求書) 適格請求書(インボイス)対応の領収書発行が可能
登録番号:T9010401089202

※最新の登録状況は国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトをご確認いただくか、店舗にお問い合わせください。

サービス料・
チャージ

15%

席・設備

席数

36席

(ダイニング28席、個室1室(4~8名))

個室

(4人可、6人可、8人可)

貸切

(20人~50人可)

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

空間・設備

オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カップルシートあり、ソファー席あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、ワインあり、カクテルあり、日本酒にこだわる、ワインにこだわる

料理

野菜料理にこだわる、英語メニューあり

特徴・関連情報

利用シーン

知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

隠れ家レストラン

サービス

お祝い・サプライズ可、ソムリエがいる

ドレスコード

男性のお客様はジャケットの着用をおすすめいたします。
スポーツウェア、ショートパンツ、サンダルでの入店はお断りしております。強い香水をつけてのご来店はご遠慮いただけますようお願いいたします。

ホームページ

http://www.leffervescence.jp/

公式アカウント
オープン日

2010年9月14日

備考

【ランチ・ディナー共通】  36,300円(税・サ別)
※インターネットからご予約をなさったお客様につきましては
3日前までにお電話またはメールでご予約確認が出来ない場合、
お取り消しのお手続きをさせて頂く場合がございます。

初投稿者

paradocparadoc(6)

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