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蓼喰人さんの他のお店の口コミ
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店名 |
閉店
キッチン・ボン(Kitchen BON)
|
---|---|
ジャンル | 洋食、カレー、ステーキ |
住所 | |
交通手段 |
東京メトロ日比谷線【恵比寿駅】徒歩3分 恵比寿駅から302m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算 |
¥1,000~¥1,999 |
予算(口コミ集計) |
|
席数 |
19席 (カウンター7席/テーブル12席) |
---|---|
空間・設備 | カウンター席あり |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
オープン日 |
1955年 |
お店のPR |
伝統を守る、街の洋食
確かな技術に裏打ちされた料理の数々、伝統の洋食は今も健在。 |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
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日曜日の午後、「二子玉川」の駅近くでちょっとしたイベントが有り、友人と出かけた。
夜にどこかで食事をして帰ろうという事になったが、この日は全くのノープラン。
そこで帰りの道すがら、友人がピックアップした店の中から日曜日でもやっている処で選んだのがこちらの店。
(蕎麦屋に特化したレビュアーを標榜しておきながら、それ以外のジャンルの店が続くことをご容赦願いたい)
「代官山」で降りて近辺のショップを冷やかしながら、「恵比寿」の駅近くまでやって来た。
夜の開店時刻は6時過ぎと聞いていたので、ほぼ定時に到着したがこの日は偶々6時15分とのこと。
仕込みの都合で多少遅くなることもあるようだ。
さらにこの辺りをブラブラした後に入店。
店舗は角地のビルの半地下のような部分で、テーブル4卓12席に、カウンター7.8席というこじんまりとした構え。
その昔は往年の大物芸能人に贔屓されていたと聞くが、店内には昭和の香りが漂っている。
内装も少し草臥れているが、所々に置かれた小物や、テーブルに敷かれた赤いチェックのビニールクロスが、温かみのある雰囲気を醸し出している。
結構な年配のご夫妻と思われる2人で営んでおり、主人は寡黙に調理に専念し、マダムが接客全般を担当している。
創業から50年以上は経ている老舗で、現在の主人は2代目とのこと。
ランチタイムには一般的な洋食屋の定番も用意されているようだが、夜には一歩進んだスタイルが見られ、特にロシア風フレンチの色彩が感じられる。
横文字の手書きの他に写真入りのメニューがあり、そこには「ボルシチ」「ハヤシライス」「シャリアピンステーキ」が載っている。
先だって何気なく見たテレビ番組で、こちらが紹介されていたが、その時もこれらが看板料理であった。
まずは「瓶ビール」を一本もらい、喉を潤しながら注文を相談する。
マダムの一押しは「ボルシチ」で、ほとんどの客が注文する自慢料理とのこと。
我々もまずは、これを各自注文。
程無く運ばれた大き目のスープ皿には、トマト色のスープがたっぷりと注がれており、多めに垂らされた生クリームがマーブル模様を描いている。
具はごろんと置かれたポテト1個と、とろとろに煮込まれたビーフの塊、ビーツやオニオン・ガーリックなどの野菜は細かに刻まれている。
毎日少しずつ継ぎ足して作られているとのことで、コクが有りながら意外にさっぱりとしており、歴史の厚みを感じさせる奥深い味わい。
面白いのはレモンの輪切りが一片乗っていることで、これをスプーンでつぶすことで生クリームに酸味が加わり、ボルシチには付き物の「サワークリーム」に似た味わいとなる。
「サワークリーム」がまだ手に入り難かった時代の、苦心のスタイルの名残りと言える。
スープで1,500円はやや高いが、それだけの内容のある逸品だと思う。
「ライ麦パン」をもらって供に味わうが、程良い酸味が良く調和する。
続いて頼んだのは「シャリアピンステーキ」。
8,600円は結構な値段だが'お二人で分けられても良いくらいの量ですよ'というマダムの言葉に従ってシェアする。
なるほど、それほどの厚みは無いが、皿を覆い尽くすように広がった姿は壮観である。
「シャリアピンステーキ」の名前や誕生の経緯については、ご存じの方も多いだろうし、ちょっと長くなるので割愛するが、これを看板料理にしているところに、こちらがきちんとした出自の店であることを物語っている。
2度の玉ねぎの使い方については、最初のマリネ用の摺りおろしにはガーリックも一緒に使われているため、香りが一層良い。
焼く前に叩き延ばす音が聞こえてきたが、もちろん入念にマリネされているため、ナイフを入れると驚くほど柔らかく、ジューシーさも失われていない。
後の玉ねぎは、本来は微塵切りのソテーなのだが、こちらでは大き目の輪切りをフライにして乗せている。
この手法でも、甘さが肉の美味さを引き立てている。
ちなみに肉はA5ランクとのことで、満足度は高い。
添えの野菜類はポテトフライと茹で置きのスパゲッティのソテー、それに人参といんげんのスープ煮という懐かしい組み合わせ。
スープ煮と言っても形や色などの体裁は整っておらず、しっかりと煮込まれたヨーロッパの家庭料理を思わせるもの。
見てくれよりも実質的なスタイルだが、どこか心なごむ温かさが感じられる。
これには当然ながら赤ワインが欲しくなりマダムに尋ねると、ワインリストなどは無く、注文はグラスかボトルのどちらか、それも銘柄は一種類しかないという。
グラス一杯で足りるとは思えないので、やや多いかなと思ったが値段も聴かずボトルで頼む。
出て来たのはボルドーで、ラベルには「BARONS DE ROTHSCHILD(LAFITE)2011」と記されており、5本の矢の図柄からしても、後がちょっと心配になる。
しかしワイングラスで無く小振りのタンブラーが出て来ることから、それほどの高価な品とも思えない。
実際の味については、フルボディの真紅の色合いながら、渋みも少なくなかなか飲みやすい。
結果的にそれほどの高額な支払いにはならず、後で調べてみたら高名な「CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD」などに比べたら、小売り価格は100分の1ほどで、こちらの値付けも4,000円程度のようだった。
しかし決してまがい物では無く、この系統の普及版といったもののようだ。
当初はこの後、ご飯ものかスパゲッティを注文する心積りでいたが、ステーキが結構なボリュームで、パンもかなり食べ応えが有ったため満腹に近い状態。
しかしボトルのワインは、まだ1/4ほど残っている。
マダムに何か摘めるものをと聴いてみたら、「ロシア風の胡瓜の塩漬け」が良いでしょうと、メニューに無いものを出してくれた。
胡瓜の他にニンニクも漬け込まれているが、ハーブ類が効いているせいか臭みも抜けていて、歯触りも塩加減も程良く、なかなか美味しかった。
メニューに並ぶその他の一品料理はほとんどが3,000円以上で、かなり強気な値付け。
しかし他に類を見ないボルシチの味わいや、シャリアピンステーキの出来から推察して、独特のスタイルへの自信とこだわりには、並々ならぬものが感じられる。
その一方、素っ気ないワインの品揃えや提供方法、素朴な盛り付けなどに見られる庶民性との間には、ちょっとちぐはぐさも感じる。
マダムの気さくと言うより、少しおせっかい気味の応対も、記憶の中に留まるもの。
トータルして考えるとなかなか個性的では有るが、味の面ではどっしりと地に足の着いた仕事振りが見られ、名店と呼べる洋食屋の一軒に数えられよう。