シチリアを堂々と謳えるトラットリーア : トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ

思いがけず！平日の６pm に予約が入りました。夕方〜青山にいまして
ふーみんの納豆チャーハンかしら？などと思いながらダメ元でお電話を
入れてみますと・・８：３０pm までなら OK とのこと！２ヶ月先まで
予約がとれないと評判の超人気店は・・昔よく来たポンテ・ヴェッキオ
の少し先にありました。当時はひっそりとした通りでしたが、今は美味
しそうなお店が何軒もできていて・・２０年という時の流れを感じます。

月桂樹に囲まれたテラスのテーブルには黄色いテーブルクロス、その黄
色とエントランスにある柿の木のキャビネットを見ただけで気分はイタ
リア！木の梁の演出も効果絶大で！細かいところまでトラットリーアの
雰囲気を出す為の工夫が凝らされています。什器や調度品だけでなく、
壁面にも表情があり、半個室やカウンターの設えにも奥行きがあります。
イメージカラーを明るい黄色で統一して木の色を活かすなど・・店内は
非常にセンスよく、意外なほど、大人っぽくまとめられていました。

ワインリストはシチリアの赤と白で一部ずつあり、それぞれ３５種類近
いラインナップ。カチョ・カヴァッロがありました。嬉しい〜〜♬ ナス
とトマトのパルミジャーノ焼き・冷製とカチョ・カヴァッロで〜今宵の
ディナーを始めることに致しました。

カチョ・カヴァッロ（馬）は馬の鞍にチーズの袋を左右に下げて熟成さ
せたことから巾着の形をしている牛のチーズで〜ソレント滞在中に店先
に大小たくさん吊るしてあって瓢箪型の可愛らしさに一目惚れ〜♬ した
想い出があります。牛の全乳と塩、レンネットのみで作るチーズで〜カ
チョ・カヴァッロ・シチリアーノとメニューにありましたのでラーツィ
オやアブルッツォで作られるものとは微妙に違いがあるのかもしれませ
ん。今回いただいたチーズは香りが殆んどなく乳白色、外側は固く、ナ
イフを入れるとトロ〜〜ンとチーズが蕩け出します。食感はなめらかで
ルーコラとトマトと共にカプレーゼのような仕立てで〜♬ 愉しませてい
ただきました。パンもフォカッチャも大変に美味！フロアーのスタッフ
がまた素晴らしく！！パンがなくなりそうになると〜お代わりが笑顔と
共に瞬時に運ばれてきます。本当に！遠くから！よく見ていらして〜テ
ーブルにアプローチをかけるタイミングなども絶妙でございました。

ナスとトマトのパルミジャーノ焼き（￥１８００）にどうナイフを入れ
ようか一瞬迷っていましたら〜お切り致しましょうか、とまるで隣で私
の手の動きを見ていらしたかのようなスピードで私達のテーブルへ・・
サービスは限りなく満点に近いものでした。冷製でしたのでカポナータ
のような味わい・・ナスとトマトの冷製はやはり真冬ではなく、夏！テ
ラスで冷えたスプマンテと共に愉しむのがイチバン！と改めて思いまし
たが〜ほぼ満席、賑やかな店内で奇しくもサービスのグレードの高さを
認識させていただくすることとなりました。

続いて〜シチリア名物！！鰯とウイキョウのカサレッチェ（￥１９００）
先月アルチェッポにおじゃました時も鰯のパスタがあったら嬉しいなぁ
〜♬ と思いましたが、アル・チェッポでは鰯は夏限定のプリモ〜ドン・
チッチョではカサレッチェで一年中いただけます。もっちり感を残した
アルデンテ！断面が S字になっている為イワシのソースがよく絡みます。
ボリュームもたっぷり！まさにシチリア漁師のお昼ゴハン！！私はもう
少しウイキョウが強くてもよいかしら、と感じましたが〜シチリアの漁
師料理を松の実入りで少しだけ東京のトラットリーア風にアレンジした
美味しい鰯のカサレッチェ〜♬ お薦めです！！

７pm 前に厨房の様子が見えるカウンターの左端から順番にカップルで
満席になり〜奥の半個室には５０代〜６０代男性のみのグループ６名、
私達の隣のテーブルも男性のみ４０代〜５０代の６名、窓際に作られた
１０名のテーブルもお客様が全員揃って８pm・・店内は満席でフロアー
中央のテーブルも含めて殆んどの皆様がお勤め帰りのご様子〜年齢層が
高いです。スタッフが全員若者でしたので、大人がゆっくりディナーを
愉しめるお店でもあったとは〜〜♬ 嬉しい驚きでした。

更なる嬉しいサプライズは〜カジキマグロの ’パレルモ風’ 炭火焼き！！
（￥２６００）どこが ’パレルモ風’ なのか〜本日のスペシャルの説明を
された早口の方に伺いたかったのですが、そのような余裕は与えられな
かったと申しますか・・彼はあくまでもご自分のペースで諳んじた部分
を一本調子でダーーッと述べ終えた後さっとお下がりになり、あまりに
も早口でしたので私達は呆気にとられて終始彼を見上げていまして・・
彼の口上からは〜お料理の美味しさが伝わってくる時間も余韻もありま
せんでした。もう少し心を込めて一品一品〜説明をなさった方がお料理
の魅力が伝わるのではないかしらと思いました。ここで接客のポイント
が下がってしまいましたが、１時間後テーブルに載ったカジキマグロを
見た瞬間！私達の選択は間違っていなかったことを確信致しました。

まず！カジキの厚さに感動〜〜♬ ひと口いただけば〜至福の喜びが全身
を駆け抜けます！！よくあるカジキマグロの炭火焼きは〜もっと切り身
が薄くてパサパサしたものが多く、あまり ’あの大きなカジキマグロ‘ の
ダイナミズムや躍動感、生気を感じることはありませんが、ドン・チッ
チョのカジキは違います！！分厚い切り身は気がつくかつかないほどの
薄い粉（隠し味的なペコリーノ入り）に守られて・・カジキの水分がし
っかり守られ、ふっくらジューシー！！レモンとオレンジが添えられて
いましたが何も必要ないほど完璧で！火入れも完璧！！切り身の真ん中
はほんのりピンクで例えようもない美しさです。ひと手間もふた手間も
かけた炭火焼き！ 力強くシンプル、一見〜単純明快で豪快なオトコ料理
に見えますが、実は緻密な下準備が施されています。石川勉シェフはビ
スボッチャにいらしたとか・・なるほど、と思いました。決して大味に
なることなくドーーンと一品。このカジキマグロを鮨でですけの魚のプ
ロ・親爺さんに食べさせた〜い！！きっと "旨い" と唸ることでしょう。

セミフレッドは大きな丸いボールで〜これもドーーンとひとつ！ナッツ
がたくさん入っています。ほどよい甘さの食後のドルチェ〜♬ ドン・
チッチョはやはり噂に違わぬ名店でした。あのカジキマグロの脂が滴る
甘さは忘れることができません。次回は白魚とカラスミのパスタ＆また
カジキの炭火焼きを楽しみにおじゃまさせていただきたいと思います。

お化粧室を出たところの壁にパレルモのマッシモ劇場初来日公演のポス
ターが貼られていました。懐かしい〜〜♬ ２００１年にマッシモ劇場
でチェネレントラを観まして〜２００７年初来日の時の演目はカヴァレ
リーア・ルスティカーナでした。観劇後グスタヴィーノをオープンされ
た松川シェフが当時いらした恵比寿のイタリアンにシチリアの老舗チョ
ッコラート・ディ・モディカをお届けしたことがありました。マッシモ
劇場の２度目の来日オペラは実現することはないかもしれませんが・・
美味しいシチリアのお料理はドン・チッチョに行けばいただけます！！
東京って〜やっぱり素敵な街ですネッ！