再訪：長〜〜いカウンターがお薦め : バル デ エスパーニャ ムイ 東京店

（２０１６年４月）

４月２８日に東京フォーラムでアンドレア・ボチェッリのコンサート
があり〜なんと３年振りのムイ再訪となりました。今回の東京公演は
６年振り〜しかも一回のみで大変な盛況でございました。オープニン
グは歌劇カルメン第一幕への前奏曲で始まりオペラのアリア１０曲、
椿姫の乾盃の歌で幕を閉じ第二部はウエストサイド・ストーリーのマ
リアやゴッドファーザーの愛のテーマなどポピュラーな映画音楽を英
語で歌い、もちろん、アンコールはトゥーランドットでプッチーニが
聴いたら気分を害するのではと思われるほどリフレインを入れてファ
ン・サービス！！ 不思議だったのは彼の口から一言もご挨拶がなかっ
たこと、拍手が鳴り終わってもアンコール３曲が終わっても最初から
最後までハローもサンキューも何も！発せられることなく舞台から消
えて行ったことでした。それなのに T-シャツや CD を売るコーナー
ではトスカーナで彼の兄が経営するワイナリーのワインをヴィノスや
まざきが販売していて歌声は年齢を感じさせないつややかな伸び、且
つ、パワフルで英語で歌う歌詞もリリカルで美しく、本当に素晴らし
いコンサートでしたので〜ちょっとガッカリ・・そう言えば、広尾の
メゾンカイザー未だアップしていませんでした。ヴィノスやまざきで
思い出しました。（明日アップ致します！）というわけでなんとなく
ラストで拍子抜けしてしまい、雨も降っていて・・ TOKIA だったら
９pm 過ぎからでも OK店があるから・・くらいの軽い気持で通りを
渡りましたら〜人人人は道路まで人が溢れる勢い！！ムーチョは廊下
まで行列ができていました。この状況ではムイも絶望的だろうと思い
つつ一応伺ってみますと ”カウンターであれば〜ちょうど今２席空い
たところなのですぐにご案内できます" との朗報〜♬

窓から東京フォーラムが見える吹き抜け側に着席〜祝日の前日という
ことで此方も物凄い賑わいですがワン・フロアー分、天井が高くなっ
ていますので息詰まる感じはありません。タコのガルシア風（￥９５
０）パン・コン・トマテ（￥２５０）ホウレン草とチョリソーのトル
ティージャ（￥９８０）牛テール煮込み（￥２２００）短角ランプの
グリル（￥１８００）ワインはテンプラニーリョ（￥４５００）をお
願い致しました。タコのガルシア風とパン・コン・トマテは前回と変
わることなく、でしたが・・大きく！変わったことがありました！！
それはカウンターでの接客でございます。以前のまともな会話は期待
できないという印象のままでの再訪でしたのでビックリポン〜♬ お
料理が３倍美味しくなりました。ポテトとオニオンが入る牛テールの
煮込みはアンダルシア風でこっくりと美味、短角ランプは８０g〜赤
身の旨味と食感がギュッと詰まっていて重過ぎないティントがピッタ
リ〜♬ デザートは皮付きリンゴのオーヴン焼き・バニラアイス添え
（￥７３０）を・・L.O. は１０pm でしたが１１pm に失礼するまで
静かになった空間で心地よく過ごさせていただきました。昔はオペラ
の帰りはアッピアと決まっていて東京フォーラムで最後にプラシド・
ドミンゴがサラ・ブライトマンをゲストに迎えて歌った時は前列２列
目で私達のすぐ後ろにイタリア大使ご夫妻とスペイン大使ご夫妻がい
らっしゃって〜アンコールの前にドミンゴが投げた赤い薔薇数本の内
の一本が私の上に落ちてきてアッピアでお水のグラスに入れてシャン
パーニュをお願いしたところに赤い薔薇を一本持ったカップルご来店
〜彼女と私は目を合わせてニッコリ〜♬ あの場面が今ふと甦って参
りました。接客・サービスが格段によくなったムイの長い長いカウン
ターお薦めでございます。

（２０１３年３月）

１F の PCMパブ・カーディナルでカヴァのロゼと海老のアヒージョを
いただき・・スペイン・モードでおじゃま致しました。窓に向かって
長いカウンター（なんと３０メートル！！）テーブル席や個室もあり
ますがやはりカウンターが素敵〜♬ 特に美しい夜景が望めるわけで
も眺望が広がるわけでもありませんが、鉄道ファンには堪えられない
カウンター！！ ひっきりなしに JR と新幹線が通り、それも額縁で切
り取ったような目線で見えるのです。撮り鉄には距離がありますが東
京駅の隣に坐っている感覚が楽しめるカウンターでございます。丸ビ
ルも１０周年を迎え新しいファサード（ここからは見えませんが）に
生まれ変わった東京駅に乾杯することに致しましょう〜♬

オレンジのサラダ（￥６５０）マンチェゴ（￥６００）アンディーブ
とヴァルデオンのサラダ（￥９２０）をお願い致しました。ワインは
テンプラニーリョのロカ・イ・モラ・ネグレ（￥３９００）フルーテ
ィーで柔らかな味わい・・マンチェゴは昨年１１月のスペインで恋に
落ちたチーズですが・・濃厚でコクがあり、羊のチーズならではの仄
かな甘味〜♬ セミ・ハードで力強さもある、とても魅力的なチーズ
です。赤ワインとの相性は申し上げるまでもなく！アンディーブとヴ
ァルデオンも大正解！！ヴァルデオンはスペイン産のマイルドな青カ
ビのチーズで微かにブルー・チーズであることがわかるくらい微妙な
ブルー・・アンディーブと胡桃に見事に絡みます。ただ、リンゴが新
鮮でシャキシャキしていなかったことと生温いリンゴのザラ感が舌に
残るようなフィニッシュがちょっと残念。チーズも個人的にはもう少
しインパクトのある青かびのチーズが好みですので少々ものたりなく
感じなかったわけでもありませんが、オレンジのサラダが完璧でした
ので共にいただけて〜タイミング的にはパーフェクトでございました。

小さな残念がもうひとつあったとすれば〜パン・コン・トマテでした。
（１ピース ￥２５０）やはり、昨年１１月バルセロナはグラシア通り、
シトゥルスでいただいたパン・コン・トマテが絶品！！ で３ヶ月後に
東京でガッカリ〜〜はアリかもしれませんが、分析をすれば〜先ず、
パンがトマトでベチャベチャになってしまっていたこと・・パンの美
味しさが全く感じられません。シトゥルスで感激したパン・コン・ト
マテはクラムが密ではない軽くてメの粗いパンで〜♬ オーヴンで焼
かれて熱々になったところにトマトとニンニクを擦り付けてオリーブ
・オイル〜焦げ感のあるパンは軽い食感でサクッとパリッパリ〜〜♬
そこにニンニクとオリーブのインパクトが加わって相乗効果著しく！
トマトの酸味とフレッシュさ、香りが載って〜♬ これぞ逸品！！ ム
イのパン・コン・トマテはトマトがペースト状になっていて、しかも
’ゆるゆる’ でトマトの香りはあっても薄めたトマト・ジャムのような
ボテッとした食感〜イメージ的にはコン・トマテを演出できても完成
まではあと一歩。日本でもパンの種類は選択できますし・・トマトを
粗切りにしてパンに載せる ”ブルスケッタは家で食べるものでリスト
ランテで愉しむ ’料理’ ではない" と口癖のように言っていたイタリア
人ファブリツィオの言葉をふと思い出しながら〜ブルスケッタより美
味しいパン・コン・トマテを作る方が難しいような気が致しました。

海の幸のパエリア（￥５０００）ですが、豪華な具材は文句なし！！
ご飯にはお焦げができていてディナー後半にオーダーすることになっ
て〜そこから３０分かかりましたが全くノー・プロブレム！！ ただ
ご飯にジューシーさがなく、バルセロナの老舗１８３６年創業のセッ
テ・ポルテスでいただいた海の幸のパエリアとは別物の感がありまし
た。セッテ・ポルテスのパエリアは〜お鍋についたお焦げの部分を残
しつつ・・ご飯全体はジューシーに炊かれていてシーフードと絶妙な
ハーモニーを奏で〜♬ パラパラっとした仕上りではありません。こ
の海の幸のパエリアだけに限って言えば、ヒカリエのラ・ボデガと大
差はないのでは、と思いましたが、パエリアの前にいただいたイカの
墨煮（￥１１００）はイカの甘みが充分に引き出されていて柔らかく
大変！結構でございました。”ソースをとっておいて出来上がってき
たパエリアにかけてお召し上がりください〜また違う味で愉しめます
から〜♬” というアドバイスは素晴らしかったと思います（だからパ
ラパラなのかしら？）イカ墨の仄かな甘味に唐辛子の辛みを効かせた
バスク・スタイルの一品をパエリアで〜♬ お言葉どおり二度愉しま
せていただき、パン・コン・トマテは残念でしたがデザートは皮付き
リンゴのオーヴン焼きバニラ・アイスクリーム載せ（￥７３０）で〜
総合的には満足度の高いディナーでございました。

厳しい採点になってしまいましたが、BGM の音量がやや大きめ、プ
ラス！ 音がよくない！！ 接客がいまひとつ・・カウンター・メイン
のお店ですのにカウンターの男の子は全く会話ができず、お皿を上げ
下げする女の子も接客のノウハウ・ゼロ〜電車マニアなら退屈しない
かもしれませんが、せっかく素敵なカウンターがあるのにその点は残
念至極・・結果的に CP は下がり〜カウンター・メインなら新幹線は
見えないけれど地元に白金バルがあったわね、という悲しい側面がな
きにしもあらず・・丸の内 TOKIA ならではの立地を活かしたハード
のみに頼らず！ ソフト面でも！！ もう少し頑張っていただけたらポ
テンシャルはかなり大きいお店なのでは〜♬ と感じました。