この日、「和生菓子詰め合わせ」に "桜餅" が入っていた : 空也

三月初、二週間ぶりの訪問です。

今日の東京は気温が26℃を超え、いよいよ春たけなわ。食いしん坊の私は、 "春の苦味" 天然の山菜が楽しみです。ソメイヨシノの芽も少し膨らんできました。この日、ひと足先に空也の "桜餅" を楽しみました。


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「oggetiさん、花は後から届いた自分より美しい花に嫉妬するのです。」

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皆さんは、思いを寄せている方へバラの切り花を贈ることはありますか？

「いやー、私は花より団子だね。」

と、仰る方が多いこのSNSですが、中にはご主人の海外勤務に同行してイギリスに住まわれ、フランスのレビューを31件も上げていらっしゃるまろんママさんのようにフランス各地を訪れ、クロード・モネが住んでいたノルマンディー地域圏ジヴェルニー(Giverny) まで脚を伸ばして https://www.kjmonet.jp/about/ に咲く花々を愛でるレビュアーもいらっしゃいます。心から花を大切にする方に悪人はいません。 https://media.thisisgallery.com/20225757


「空也」では、松屋の裏にある "野の花 司" ：http://www.nonohana-tsukasa.com の和花を店内に飾っています。この日、店の外には「本日の最中 売り切れです」の貼り紙がありますが、中を窺うと帳場の向かって右横に生菓子の入った紙箱が積まれていました。

　「いらっしゃいませ。」

　「生菓子と最中の詰め合わせを一箱お願いいたします。」

羊の刻に入ったばかりですが、購入することができてとても嬉しいです。

空也の菓子については何度も書いていますので、写真をご覧いただき、おいしさをご理解いただければ嬉しいです。世の中には「甘味は苦手です」と、仰る方が多いですが、甘辛併せ持っての美食だとフランスの法律家、政治家であり、美食批評および『Physiologie du goût 味覚の生理学』の著者として知られているジャン・アンテルム・ブリア＝サヴァラン(仏 Jean Anthelme Brillat-Savarin) も ﾀﾌﾞﾝ 言ったに違いありません。きっと。

参考：「ROSE GALLERY」https://www.rosegallery.co.jp/about-rose-galley

黄色いバラは「友情」「友愛」「愛の告白」といった花言葉を持っていますが、「嫉妬」「薄らぐ愛」「別れ」という意味合いもあります。さて、何方に差し上げたのでしょう。


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いつものルート（空也 → ほかけ）です。

店に入ると女性が花篭に清楚な花を生けているところでした。

　「この花は、何方で仕入れるのでしょうか？」

　「はい、松屋の裏にある "野の花 司" さんです。」：http://www.nonohana-tsukasa.com

偶然にも先日「南禅寺 瓢亭 日比谷店」の掛花に生けられていた花の仕入れ先と同じです。
　　https://tabelog.com/imgview/original?id=r20102152658953


【購入したもの】

・空也最中　　　（十個入り）
・錦玉羹 翡翠
・錦玉羹 琥珀
・水羊羹
・空也双紙
・胡麻求肥
・葛饅頭

お菓子については、添付写真とキャプションをご覧いただけると嬉しいです。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band：
　https://www.youtube.com/watch?v=VtXl8xAPAtA&list=PL3PhWT10BW3VDM5IcVodrdUpVIhU8f7Z-


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和菓子は小さい。その姿と銘と味わいは、食べる者に景色を浮かばせます。

「空也」の生菓子だけでも

・空也双紙
・羊羹
・梅
・うぐいす
・桜餅
・錦玉羹 翡翠
・錦玉羹 琥珀
・葛饅頭
・水羊羹
・胡麻求肥
・笑顔饅頭(薯蕷)
・蕎麦饅頭 (薯蕷)
・抹茶松
・芥子餅　
・栗茶巾
・栗羊羹
・空也餅

そして、
・浮島

二層なった淡い色違いの柔らかい生地に、数粒の小豆が小島のように鏤められている。
香り良く、口に含むと泡立てた卵白由来のシットリと柔らかい食感と上品な甘味によって、ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達します。「洋菓子 代官山小川軒」のスフレケーキ https://tabelog.com/imgview/original?id=r73546149532002 や一般的に作られるシフォンケーキに共通するおいしさです。

さらに、
・黄身瓢

黄身餡と白餡の妙味。（十一月〜四月までの販売）
イタリアに住む娘に WhatsApp Messenger で画像を送ると「食べた〜い！」と直ぐに返信があります。これを唇で軽く挟んで黄身餡がへこむ触感が何ともSexyです。

和菓子は他にも、

・桃山
・三笠山
・州浜
・落雁
・観世水
・外郎(ういろう)

など、多彩であり、パッコンパッコン食べてしまう豪快な方にとってはどれも同じ糖分補給の食べものでしかありませんが、”一期一会” を大切にする心のゆとりが欲しいです。


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山口 瞳 は、昭和33年(1958)に壽屋(現サントリー)宣伝部に入り、開高 健らと共にPR誌「洋酒天国」の編集、コピーライトを行い、1962年『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞を受賞し、1979年には『血族』で菊池 寛賞を受賞している皆さんご存知の作家・随筆家です。1963年に「週刊新潮」で始まった連載大河小説「男性自身」には、「 "一〇主義" は果して可能であるか」と、いう一貫したテーマがあります。

恋愛でも仕事でも経験(成功・失敗)を積むことによって人は成長するものです。そのスタイルは人それぞれであり、好奇心の強い私は、飲食店に関してもいくつかの気に入った〇が (#だからやめろ ©︎MSSBHINSさん) もとい、気に入った店 があれば 何度も〇⚪︎〇〇で (#いいかげんにしろ、©︎MSSBHINSさん) もとい、何度も訪問して旬を味わい、季節のうつろいを楽しんでいます。
私のあげた店の訪問回数をご覧いただき、「まただよ。」「こーだよ。」と、呆れられることは承知しているのですが、それぞれの店を極めるまで付き合ってこそ真の良さが分かるというものです。ジャコモ・カサノヴァではないので新しい店に足跡を残すように食べ歩くことはしません。

【購入したもの】

・空也最中　十個入り三箱
・空也双紙
・黄身飄
・羊羹
・梅
・笑顔饅頭(薯蕷)

新たな発見は、同じ日に購入した清寿軒の最中を空也最中と一緒に食べた時にありました。

空也最中は、重ねた皮と皮の間に隙間 (添付写真参照) があり、口に入れて歯を当てた時に適度に硬い皮が中に挟まれた餡を押して沈み、最初に餡の存在を感じた後に皮がパリッと割れ、中の餡と渾然一体となり、香りと甘味が口に広がります。この触感・食感が空也最中の真骨頂だったのです。パクパク、むしゃむしゃ食べたら分からない ｷｶﾞｼﾏｽ (©︎KYTさん)。

何事も比較する対象物があって馴染んだ味の素晴らしさが分かるというものですね。
（気付くのが遅いです。と、山口さんに叱られるかなぁ。）


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"真" の江戸前すし屋「ほかけ」で "おこのみ" を摘み、母から頼まれた "ばらすし" をぶら提げながら足は自然と並木通りに向かい、「本日の最中は売り切れでございます」の貼り紙を確認するもガラッと引き戸を開け、帳場の横に生上菓子を確認し、「三箱ください」。


【購入したもの】

・空也双紙
・黄身飄
・大納言入り羊羹
・抹茶松
・笑顔饅頭(薯蕷)


江戸時代に生まれた東京の美意識が、この菓子に表現されています。

甘過ぎず、さらっと口溶けの良い生上菓子は、茶事の季節感を大切にする "主菓子" として使われますが、これをグラッパや白ワインに合わせると「娘家族は元気で過ごしているかな。」と、思いは一気にイタリアへ飛びます。ナターレ (Natale) の休暇に入ったトリノは、今週から再びレッドゾーンに指定され、自由な外出が制限されました。

それでも Buon Natale. (Merry Christmas.)　皆、明るく、元気です。

Claude Debussy Arturo Benedetti Michelangeli / Préludes Volume 1
　https://www.youtube.com/watch?v=mskURYO7DiA
　https://www.youtube.com/watch?v=LLbpQl1cCl8
　https://www.youtube.com/watch?v=ObcIhUHgvLk


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最近は外出しても一箇所で長居せず短時間で済ませるようにしています。電車・地下鉄乗車を避け、専ら車での移動となると外でアルコールを飲むこともなく、偶には「レ セゾン」でティエリー・ヴォアザン氏の料理を三時間掛けてゆっくり食べたいと思うのですが、マスク姿の給仕がサーブするのは興醒めですからもう暫く我慢します。

今回の外出も「紀ノ国屋 インターナショナル」での買い物が第一の目的です。早めに家を出て「ほかけ」での "おこのみ" 十五貫の握りを三十分で切り上げ、車を停めた西銀座駐車場へ戻る途中、「空也」に寄りました。"銀ブラ" と "デパ地下ブラ" はしません。

【購入したもの】

・空也最中　　　（十個入り四箱）
・錦玉羹 翡翠
・錦玉羹 琥珀
・水羊羹
・空也双紙
・胡麻求肥

私は予約するのが好きではなく、その時の天候と気分で食べたいものを選んでいます。「瓢亭」と「レ セゾン」も予約せずにプラっと寄って食べることは可能ですが、事前にアラカルトメニューと季節の食材を確認して席を用意してもらったほうがより良く、一緒に食事する方を誘った場合は予約するようにしています。

コロナ禍以前、「空也」の最中は一ヶ月先ぐらいまで予約で埋まっている為、プラっと寄って購入することができなかったのですが、外出自粛が解除された現在は当日売りで買うことができるようです。予約嫌いの私にとってはこのぐらいが心地良いです。


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羊羹や錦玉羹に使われる寒天は、天草(テングサ)などの海藻を原材料とした日本の伝統的な食品です。

上生菓子は茶の文化と共に生まれたものだと思います。関西にはおいしい和菓子がたくさんあり私もいただく度に "雅の香り" を味わうのですが、東京人ですから「空也」の上生菓子が一番好きです。なぜならば、全ての菓子に通じるのですが、この錦玉羹のシンプルで "粋(いき)" な作りにあるように、江戸時代に生まれた日本の美意識が菓子に表現されているからです。（金魚など浮かんでいない）

「さっぱり」「すっきり」という言葉で表されるかもしれませんが、一定の距離を置いた関係から生まれる心地良い緊張感というのが好きです。


「毎度、ありがとうございます。」

四十五年間、通い続けて山口さんのお嬢さんから "毎度" と言われたのは初めてのような ｷｶﾞｼﾏｽ (©︎KYTさん)｡

いつもは係の女性が、「お待たせいたしました。ありがとうございます。」とお礼言いながら菓子を渡ししてくれますが、どちらもベタベタすることを好まない東京人の "矜持" と "意気地" を感じさせる一定の距離を置いた「粋(いき)」な接客です。
（これは、日本橋、浅草、向島、神田、深川にも共通し、最近の人は "素っ気ない" と文句を言います）


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好きなものがたくさんあって困ってしまうのですが、食べ物以外では「心安らぐ」「優しい」「美しい」"もの"、"こと" が好きです。何故ならば、世の中その逆のことが多過ぎるからです。

「 I Just Called To Say I Love You」　https://www.youtube.com/watch?v=1bGOgY1CmiU
「Can't Take My Eyes Off You」　https://www.youtube.com/watch?v=K_r_2KRUvis

「空也」の菓子が売り切れてしまった時は、 ↑ こんな曲を聴いて心を鎮めましょう。

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たくさんある好きな "もの" の中で "和菓子" でしたら、東京人ですから「空也」の生菓子が一番好きです。

　「本日分の もなか 売切です。」

このご時世、さすがです。

正午前、次から次へと入店する予約客に混じって店に入ると四代目主人 山口元彦氏の座る帳場の脇机に生菓子が六個入った簡素な紙箱がいくつか積まれていました。

　「ふた箱ください。」

・空也双紙
・黄身飄
・芥子餅　　（晒し餡）
・桜餅　　　（晒し餡）　
・蕎麦饅頭　（晒し餡）
・大納言入り羊羹

いずれの生菓子も保存料、添加物等は使用されていませんので、普段から天然素材だけで作った料理を食べている私の舌に馴染み、"あれ" や "それ" の存在を全く感じさせない上品な甘み、すっきりとした舌触り、口溶け、自然な素材そのものの香りによって【ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達する】状態に陥ることになるのでした。おいしい！！！！！

特にこちらの店の特徴である美しい色をした "晒し餡" は、口に含んだ時に舌の上でホロっと崩れる食感が堪らなく官能的であります。食べ物のおいしさというのは、どんなものでも ”ガツガツ” 、 "むしゃむしゃ"、”がぶがぶ” 掻き込むより、少量ずつ食べて味わったほうがより素材の味が分かると思います。蕎麦でも鰻の蒲焼でも生ケーキでも同じです。パッコンパッコンと食べないようにしましょう。

トリノに住む娘の家にとても頭の良いラブラドール・レトリバーが居て「ドアが開いているから閉めておいで。」と、言うと自分で開けたドアを閉めに戻ります。ところが、食事の時だけは「マンジャ (mangia、食べなさい)」と言うまでは涎を垂らしながら待つのですが、その後は「ピアーノ、ピアーノ (piano,piano、ゆっくり)」と指示してもガツガツと犬食いしてしまいます。「おいしいのだからもっとゆっくり味わいなよ。」といつも私は彼女に言います。（犬が一所懸命に食べている姿を見るのは好きです）

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毎年実施していた四月から約三ヶ月間のイタリア/トリノ滞在を秋の白トリュフ(Tartufo Bianco)の旬に合わせて十月から十二月にかけて行こうと計画を変更していた矢先の新型コロナウイルスによるパンデミック騒動です。早期の終息を願わない人はいないと思います。

これを機に1985年に先進諸国が行った "プラザ合意" という世界経済のミスリード(mislead) によって引き起こされたあの国を震源とする急激な地球環境の破壊と強欲(グリード、greed)な人々や国々による富の二極化に対して、指導的立場にある人は私利私欲を排除して猛省し、改善策を示すべきだと考えます。自然は正直です。神が人類に課した試練のような気がします。


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今月初め、七年前にローマで知り合ったイタリア人男性から「アメリカの後に日本へ行くのですが、お会いできますか？」と、E-mail が届きました。

彼は、ローマの Via Francesco Crispi というボルゲーゼ公園、スペイン広場、「Hassler Roma」
https://www.hotelhasslerroma.com などが並ぶローマの一等地に「Bocache&Salvucci：http://bocachesalvucci.com」を構えている若きオーナーです。

約束の時刻は、午後二時。

　『そうかー、「あそこ」ですしを摘むとお腹が膨れて格好悪くなるからやめておこう。』

　『「ここ」で牛タンシチューを食べるには時間が足らないしなぁ。』

と、考えているうちにどこか「静かなところ」でお茶でも飲んで過ごそうということになり、その前に「空也」を覗いてみました。

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・浮島

　　二層なった淡い色違いの柔らかい生地に、数粒の小豆が散りばめられている。
　　香り良く、口に含むとその食感と上品な甘味によって、ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達する。おいしい！！！！！


・黄身瓢

　　黄身餡と白餡の妙味。（十一月〜四月までの販売）
　　イタリアに住む娘に WhatsApp Messenger で画像を送ると「食べた〜い！」と直ぐに返信がある。


・栗羊羹

　　この羊羹は、谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に「玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光を吸い取って
　　夢見る如きのほの明るさを啣(ふく)んでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない。」
　　と、書かれているように栗の甘露煮がたっぷり入った瞑想的な和菓子です。

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エルメスビルの二階でカフェをいただき、東急プラザのRFから "ここでしか見ることのできない" 銀座を見下ろし、約束の場所へ向かいました。

　「Buongiorno. Come stai?」

　「Molto bene, e tu?」

伸び盛りの若き事業者が自らの力で社業を発展させ、成功している様子は自分のことのように誇らしく、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。小一時間ばかり話をして、来年のローマでの再会を約束して別れました。和菓子もおいしいけれど、いいなー、イタリアは。


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都営地下鉄丸ノ内線「銀座駅」で降りて「ほかけ」https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B32042677/?scrollTo=104165612 へ向かうも大雑把な到着時刻を告げただけでしたので、地下道からエルメスに通じるエスカレーターで地上に上がり、裏の路地を抜け、並木通りに出て "寄り道" をしました。

当日購入の "空也もなか" が買えないことを承知で引き戸を開けました。

「こんにちは。」

「いらしゃいませ。」帳場のご主人と係りの女性(お嬢さんではない方)が応えてくれました。

ご主人の脇にある小机に "和生菓子詰め合わせ" が六箱、その横に蓋の開いた箱と閉じた箱を一個ずつを見つけ、

「和生菓子詰め合わせをふた箱ください。」

小雨が降っていましたので、来客はなく、「もう一ついただいてもよろしいでしょうか？」

「どうぞ。」と、ご主人。

母に一箱、姉に一箱、そして息子家族にも "銀座土産" ができました。

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帰国してから初めて味わう "煎茶で食べる生菓子の味" は、身体に染み入るようにおいしい！！！！！

錦玉羹も葛饅頭も「日本の梅雨、空也の梅雨」しっとりとした肌が舌に滑らかであり、このおいしいものをいただいた時に起こる予期せぬ身体の反応は、口に含む前からその香りによって引き起こされ、味蕾を刺激した後、ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達し、それは余韻を楽しむまでの数十秒間続きます。


ここ数年間、日本とイタリアでの生活を繰り返していますが、次第に自身の味覚が磨かれているような ｷｶﾞｼﾏｽ (©︎KYT氏)。どの食材がおいしいのか、それはどうしておいしいのか、ルネサンス人のように「見たい、知りたい、分かりたい」を真剣に繰り返すと少しずつ身に備わってくるのではないかと考えています。内からだけでなく、外から見ないと気付かないことはこの歳になってもたくさんあります。


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「ご主人、搬入路と設置場所の養生は行いましたので、床、壁、天井への疵は発生していないと思います。お手数ですが、私と一緒にご確認いただけますでしょうか？」

「はい、何処にも疵、汚れはありません。大変お世話になりました。ありがとうございます。」

作業は、午前8時半から開始され、午後3時半に ”使用済み資材回収のご案内” が渡され、一切が終了しました。前日に行われた食器類と玄関周りの梱包手伝いを含め、NITTSU の引越し作業は、手際良く、丁寧に、滞りなく行われました。良い会社です。

それにしても33年振りの引越しは、”断捨離” を含め、結構な作業量があります。
母 (91歳) は頭も身体も元気なのですが、足腰が弱くなりバリアフリーのAppartamento (日本で言うところのマンション) であれば、車椅子生活になっても安全であろうと考え、引越しました。

初めての集合住宅は、一戸建に無い良さがあり、セキュリティーも盤石であり、快適なのですが、自分で建築設計に関わった住宅ではないので気になる箇所はたくさんあります。いつの日か、ル・コルビュジエ (Le Corbusier) の建てた "母の家" のような小さな終の住処を建てることができれば嬉しいのですが、いつのことになるやら。慌てないことが大切です。
　　https://blog.vogue.co.jp/posts/1369915


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江戸時代、長屋 (集合住宅) に引越した家族は、筋向かいの三軒と両隣の二軒、合わせて五軒へ "引越し蕎麦" もしくは "小豆粥" を持って転居挨拶をしたとのことですが、現在は、一般的にタオル、洗剤、菓子などを持って行くとのことです。

『さて、どうしようかなぁ。』と、いうことで選んだのは「空也」の最中です。

　「長い間お世話になりました。明日、引っ越すことになりました。」

　「隣に引っ越してきた oggeti です。よろしくお願い申し上げます。」

転出するご近所、転入するご近所、どちらのお付き合いも大切です。

　「まぁ、空也の最中。ご丁寧にありがとうございます。」

挨拶した方々の半分が、「空也」をご存知でした。
初めて召上がる方々にも「いただいた最中、なんておいしいのでしょうか。」と喜んでいただきました。


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引越し当日の夜は、近くのホテルで中華料理を食べましたが、翌日から私は調理を始めました。

・真昆布と いりこ で引いた出汁を使った味噌汁と母の漬けた白菜で簡単な朝食
・湯豆腐
・牛スネ肉を使ったポトフ
・アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ(Pasta aglio, olio e peperoncino)
・真昆布と鰹節削り節で引いた出汁を使った豆腐、油揚げ、野菜の鍋仕立て
・etc.

母と妻と私の三人で引越し荷解きをしながらの調理です。100％とはいきませんが、そこそこの味に仕上がりました。気になることは、水の違いによる出汁の出方です。微妙ですね。

引越し荷物の中に「おだしは日本人の心」という日本経済新聞が、武者小路家ご出身の料理家である後藤加寿子さんを取材した切り抜きがありました。文字が小さいですが、拡大してアンダーライン部だけでもお読みになっていただけると嬉しいです。


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隠居の特権を得て三年、一切のしがらみを廃して後進に譲り、気儘な生活をしていると結婚式に呼ばれるのは親族から招待状をもらった時ぐらいとなり、「めでたい」「めでたい」とニコニコしていればよく、枯れ木も山の賑わいだからと少しはお洒落をして出掛けるようにしています。

都内某ホテルでの挙式と披露宴は夕刻から始まり、久し振りにハンガーから燕尾服の略装であるタキシードを外して吊りベルト、ショール・カラーのシャツ、蝶ネクタイ、スタッズボタン、カフスボタン、カマーバンド、エナメルのパンプスなどを揃え、身に着けると小一時間も掛かってしまいます。

和装の似合わない妻は、イブニングドレスに合わせた髪結いと化粧をしなければならず、私より三時間も早く家を出ました。その点、男性の方が楽であり、一度揃えてしまえば費用も掛かりません。私の好きな「名探偵ポアロ」のディナーシーンでポアロたち男性が着ているのはタキシードです。1930年代の社交界というのはこれが普通の文化でした。今の時代、この格好で街を歩けば奇異に見られてしまうのでコートを羽織って銀座の「空也」を目指して歩きました。

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・空也双紙
・黄身瓢
・蕎麦饅頭
・栗茶巾
・栗羊羹
・胡麻求肥

私は、この上品な "晒し餡" が大好きです。

遅い帰宅にも関わらず、カフェインの少ない焙じ茶を淹れて結婚式での様子を母に伝えながら「栗茶巾」をいただきました。優しい甘みとサラッと崩れる "晒し餡" の上質な甘みが、長かったこの日の疲れを癒してくれました。


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「東京に文明はあっても、文化はありません。」と、三十年前に仰った四条大橋脇の料亭の大女将がいらっしゃいました。

私もその通りだと心得ています。

馬の目を抜くほどの街に文化など定着しないことは明らかなのですが、東京に住んでいる者にとっては、「空也」の菓子が比較的楽に買うことができるという利点があります。それは、単に購入日を気にせずに予約するだけのことなのですが、東京での滞在期間が決まっている方にとっては、京都に短期滞在する私と同じ状況が生まれ、美味しいものを食べるには、かなり前から予約をしなくてはならなくなります。

ところが、上生菓子は、運が良ければ予約せずに買うことができます。

進物の季節や旅行客が銀座に訪れる時間帯を外すことが購入のコツです。

購入しても毎回アップしないのですが、去年12月に下書きにしたままの写真を追加いたします。

この「食べログ」は食文化に関するSNSであり、「〇〇〇カメラ」のように写真の撮影技術の情報交換をする場ではないのですが、私のフォローしているレビュアーの皆さんは女性男性に限らず、どなたも撮影がとても上手であり、いつも見習いたいと願っています。

「食べログ」のプロフィール詳細には、「使っているカメラ」を設定するコーナーもあり、良い撮影をしているレビュアーについては、必ずここをチェックします。

今でも新聞や文庫本は裸眼でも読めるのですが、60歳を超えたあたりから商品の細かい文字で書かれたイジワルそうな説明書き、MacBookのシリアル番号(serial number)などが読めなくなり、液晶表示カメラのピント合わせも正確でなくなりました。眼鏡を掛ければ良いのでしょうが、いちいち面倒でありテキトーにシャッターを押して失敗することが多くなり、レンジファインダーや一眼レフカメラを使えば済むのでしょうが、サイズが大きく持ち歩きに不便なのでこれも購入する決断が下せないままになっています

私は、「オートマチック」より「マニュアル」が好きなので、車も M/T、ナビゲーション無し、という構成です。どうも”機械任せ”を信用しない性格のようです。自動運転の時代が来る頃には、きっと、間違いなく、生きていないので、これらの技術に興味はありません。


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今回買った上生菓子をふたつのカメラで撮って比較しました。
結論から申し上げると、「食べログ」でお知らせする程度の画像であれば、”Apple iPhone SE”で充分であるということです。


「Canon Power Shot G7X」 → C
「Apple iPhone SE」　　　 → A

このように略号を写真に加えましたので、ご面倒でも”オリジナル写真”をご覧いただけると嬉しいです。　（写真修正ソフトは使っていません）

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空也最中は買えなくともタイミングが良ければ、訪問時に上生菓子を入手することは可能です。
東京で一番好きなお菓子です。

東京は、「長命寺」。
大阪は、「道明寺」。　（参考として鶴屋八幡の道明寺粉を使った桜餅の写真も載せました）

長命寺（ちょうめいじ）は、東京都墨田区にある天台宗の寺。
道明寺（どうみょうじ）は、大阪府藤井寺市道明寺にある真言宗御室派の尼寺。

この日、空也の「もなか」五箱（20個入り）を進物として用意してもらいました。

自宅用として、上生菓子も二箱いただきました。

（二回目のコメント）

朝十時に電話を入れましたがなかなか繋がりません。
暫くして架け直したら、とても爽やかな声で応対してくれました。同時にそれは老舗の持つ優雅さを感じさせる落ち着きに満ちた声です。いつも通りの手順で注文を伝え、内容の確認をいただき、その日が来るのを楽しみにしました。

凡そ四十年前まで東京の和菓子は、関西のそれに敵う訳が無いと高を括っていましたが、この空也最中を食べてそれは覆されました。以来、気が向けば電話予約して買っていますが、店の前を覗きながら歩いて生菓子が帳場に置いてあるのを見つけると引き戸を開けて一箱二箱いただくことにしています。生菓子に使われる小豆餡は漉し餡ですが、本来の小豆色をしています。黒褐色ではないのです。水羊羹も薯蕷饅頭も黄身瓢も煉切りも上質な味わいでお薄や煎茶との相性が良いです。

四月初旬でしたので、桜餅が一つ入っていました。


（一回目のコメント）

ボランティアで陶芸を教えています。

毎年、テーマを定めて活動していますが、数年前は、”抹茶茶碗”でした。
まず、皆さんを国立博物館、根津美術館、松岡美術館、出光美術館などへお連れして”本物”を見てもらいました。
一年間をかけて出来上がった茶碗を持ち寄り、六義園の和室を借りて大勢で茶会を催しましたが、この時、用意したお菓子は、”空也”の生和菓子です。年配の生徒さんの中には、お茶のたしなみを心得ている方がいて、「先生。空也の和菓子をご用意していただいたのですね。嬉しいです。」と言ってくれました。
楽、唐津、白萩、織部などそれらしく仕上がった器は、美術館のそれとは比べることができませんが、皆、一所懸命作った作品ですので、個性が出ていました。

京都には、茶室がたくさんあるので、いくらでも美味しい和菓子があり、東京のデパートでも購入することができます。チョット大振りですが、”仙太郎”のご存知最中も大納言小豆を使った上品な甘さがあります。比べて、東京の最中は、どうしても田舎臭くなりますが、ここ空也の最中だけは雅の香りがします。
生和菓子の中では、”黄身瓢”が好きですが、季節限定ですので、発売される時を楽しみにしています。