美術館の見学方法は人それぞれ。
自分の好きなように見ればよいわけですが・・・・
当日、いらしていた建築家、照明デザイナーの方のお話を受けて、
主催者のTakさんより、次のような見学方法をご提案されました。
まず最初は・・・・ 絵を見て
次に・・・・・・・ 照明を見て
3回目に・・・・・ ブース割を見る
やっぱりそうなんだ・・・・
モネ展で、
「ブース割」という新たな着眼点を見つけた
と思っていたのですが、愛好家の方たちは、
そういう見方は、定番というか、当たり前にされているということだったのですね。
そして、照明を担当された尾崎さんとお話をしていて、
4回見るといいと教えていただきました。
1回目・・・・絵だけを見る
2回目・・・・照明を見る
3回目・・・・解説を見る
4回目・・・・ブース割を見る
照明のプロは、「絵」と「ライティング」は同時に
ご覧になっていらっしゃるのかなと思っていたのですが、
同時に見ると散漫になるので、分けて見ているとおっしゃっていました。
私は、一つの絵を見て、自分で解説を考えてみる。
そして、解説を見て、「やった~ あってる!」 とか、
「やだ~、全然、違うじゃない・・・・」とか思いながら(笑)
そのあと、音声ガイドを聞く。
そんな感じで見るのを基本にしていました。
しかし、一つ一つの絵に、自分で解説をつけられるほど、
絵のことがわかってるわけではないので、
なんとなく、絵を見ながら、解説は目にしていることも多く・・・・
「解説」と「絵」完全に分けてみるというのは、斬新でした。
「絵」見て、「解説」を見て、「照明」・・・・という順番になりそうですが、
照明の専門家は、解説の前に、「照明」をチェックされているのですね。
■ざっと見るただ、最近、デパート内の美術館のパスポートを購入したので、
それに近い見方をしています。
最初は、ざっと中を歩いて雰囲気を見てくるだけ。
興味のない画家でも、ショッピングのついでに、
美術館に立ち寄ってそれを繰り返していると何がしか興味が出てきたり、
ひっかかりができます。
「明治有田 超絶の美-万国博覧会の時代-」の時は、
作品のすばらしさは理解できたのですが、
解説がどうにもこうにも、頭に入ってこなくて、読むと頭痛を起こしそうでした。
ところが、数回足を運ぶと、ある時から、
すっと頭に入ってきたのが不思議でした。
いろんな見方があっていい・・・・・
■ちょっとおもしろいと思った絵の見方○
絵の展覧会に行ってきました より
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絵は解説文を読まない。
じっくり見ない。
一瞬の印象が大事。
ぱっと見て
気持ちがいいかそうでないか。
じっくり見るのはそのあと。
勉強はした方がいいが、絵を見ることが最優先。
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○
展覧会に行ったら・・・ より
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一枚の絵につき1秒くらいです。そんな感じで会場全部をスタスタ歩き回ってみましょう。
一周したら、もうこれで終わりです。これで展覧会は終了。
絵を一個一個見るのは帰ってから図録かなにかで見ましょう。どうしても別れが惜しい絵があったら、戻って挨拶してきましょう。
(略)
一瞬のうちに絵を見て内容を把握している。本当に
一瞬で勝負が決まるのです。見た瞬間、良いか悪いかがわかる。
わかるというのは頭ではなく目でわかるという意味です。
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じっくり見たいと思っても、それはする必要がないと。
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一秒の出会い、を忘れてしまう。身体が思い出せなくなってしまう。思い出せないから、目の前の絵を見ているつもりが絵ではなく見ている自分そのものを見てしまっている。
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そういう見方もあるのか・・・・
確かに最初の印象というのは、どんどん、変わって行きます。
知識が入ってくると、その印象は、忘れてしまいます。
昨年出会った「琳派」がそうでした。
知識が入るたびに、自分のお馬鹿さ加減がわかって愕然とさせられます。
自転車は一度、乗れるようになると、乗れなかった時の、
感覚には戻れません。
スキーも滑ることができるようになると、滑ることができない
身体感覚にはもどれません。
それと同じで、美術も何も知らない時に感じていたことなど、
すっかり忘れてしまうのです。
尾形光琳の《紅白梅図屏風》を版画だと思ったなんてこと・・・(笑)
《紅白梅図屏風》のどこがすごいのか、ずっとわからなかったこと・・・・
そういう感覚って絶対に忘れてしまうから、
ちゃんと記録しておこうと思いました。
⇒○
燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密 根津美術館 (2015/05/13)
⇒○
尾形光琳 『紅白梅図屏風』って何がすごいの? (2015/05/22)
そしたらいつの間にか食べログ日記が、
アートブログ状態になってしまったのですが(笑)
そういう変化をあとからでも追えるのが、こういう記録の面白いところ。
そんなわけで、ファーストインプレッションは大事・・・と思っているので、
忘れないうちに、留めておこうと思うのですが、
その感じただけで、終わりにしていいのかな?
じっくり見たいという欲求がその場でおきたなら、
私は見た方がいい、いや、見るべきではと思うのです。
「0」から「1」に変化する時の、変化曲線って、
すごい緩やかで緩慢なこともあれば、
急激なカーブを描くこともあります。
急激がカーブを描こうとしているのに、それをあえておさえてしまうのは、
どうなんでしょう・・・・
■入館料のジレンマ ポイントがわからないジレンマ1秒見るだけに留め、そのあとは、図録。
「そんなの入館料がもったいないじゃない・・・」って真っ先に(笑)
それに、図録を毎回、購入する習慣もありません。
図録を「購入する」「しない」 美術館の入館料を厭わない。
そのあたりが、愛好家の方との違いを感じるところです。
または、個々の文化レベルのものさしであるとも思っています。
愛好家の方たちは、購入することが基本になっている気がします。
美術を鑑賞することに関する出費は、ある意味、
生活における必要経費的存在になっているような・・・
しかし、たまに出かける者にとっては、入館料も大きな負担になります。
まして、図録なんて・・・・
そのため、気になるところだけ、書き写してきてしまいます。
以前は、元を取らなくちゃ・・・・意識がとっても大きくて、
最初から最後まで全部の作品を見て読んで・・・・をしていた気がします。
次第にそれはナンセンスと気づき、ポイントを絞るようになりました。
というより、ポイントを
「絞れるようになった」のだと思います。
おそらく、最初からポイントを絞るなんてできません。
何を絞ったらいいのかもわからないのです。
何回か繰り返し見ていく中で、自分のテーマが出てきたり、
ポイントとなるものを見つけたりして、
絞れるようになってきたのだと思います。
一枚、1秒で見て、あとは図録で・・・・・
それは、あまりにももったいなすぎると思いますし、
じっくり見ることで、得られる気づきを逃してしまうと思うのでした。
本物を目の前にできる時間は、やはり貴重だと思うのです。
■いろいろな見方を試してみる絵画の見方も、こうあるべきではなく、
その時、その時でも変わります。
視点を変えて何度も見る。
それを、美術館全体でなく、一つの作品でしたことがありました。
最初に「A」に注目、次に「B」に注目。
次は、「AとB」両方を一緒に・・・・
ところが、的を絞っていても、人の目は、それだけに集中できないのです。
何か別のものに気がとられて、目的を見失ってしまいます。
その一方で、今度は、新たな見方。
とにかく、全体を見通す。
というテクニックを身につけたいと思っていて、
何度かチャレンジもしていました。
でも、できないのです。
■全体を見ようと思っても見れないジレンマ今回の山種美術館では、「作品一つを1秒で、全体を見る」
ことを実践しようと思っていました。
ところが会場に入ったら、いきなり撮影大会。
「作品全体を見る」という自分の課題は、すっとんでしまい、
一気に写真撮影モードに突入してしまったのでした。
館長の挨拶、Takさんのトーク。
そして、館長の作品説明がされているにもかかわらず、
この解説が終わったら、人がなだれ込んで、撮影がままならなくなるはず。
みんなが話を聞いているうちに撮影を終えてしまおう・・・って(笑)
当初の目的は、目の前にぶら下げられた人参で、
簡単にチェンジさせられてしまうのでした。
■撮影は一点集中 と思っても・・・
実は、写真撮影をしたところで、パソコン内のゴミになるのがオチ。
と思っていました。
通常は、撮影できないものが撮影できる。
となると、ここぞとばかり、撮影してしまいます。
しかし、それらの写真は、多くの場合が、そのまま放置されるだけ。
そんなことを思っていたので、
私は、
「この一枚」を決めて、その絵だけを
いろいろな角度から撮影をしよう。
それは、
屏風と決めていました。
ところが、会場に入ったとたん、そんなことは忘れ、
その場の空気に飲まれました(笑)
そして、記事にしながら、あの写真を撮影しておけばよかった。
と思っていました。
写真に映り込みが入ってしまったので、いいか・・・と
やめたところがありました。
その映り込む写真というのも、照明を比較する上で、
意味があったなぁ・・・・と。
■SNSの拡散昨今の話題作りには、facebookやtwitter、ブログの力は不可欠。
先日のテレビでも、仕掛け人がいかにブログなどで話題にしてもらうか。
ということをしかけて取り込んでいました。
美術、アートの世界で、作品がネット上に氾濫することについて、
いろいろ考えさせられます。
⇒○
天空の美、地上の美 (2015/08/14)素人写真をアップすることは、作品の質を貶めることになりはしないか。
という思いも強くありました。
その一方で、撮影させていただいた写真を見ながら振り返っていると、
いろいろな見方が自分の中に生まれたことことを感じています。
その中で一番、撮影の恩恵を感じたのは、
横山大観の「竹」という作品でした。
屏風の場合、図録を持ち帰っても、屏風を立てた状態を再現ができません。
屏風を立てた状態で、いろいろな角度から撮影できるというのは、
貴重なことです。
帰ってから、それを見ながら、余韻に浸っていると、
新たに理解を深めることができました。
素人が写真を撮影したところで、電子の藻屑を増やして、
作品の価値を落とすことにならない? という気持ちがありました。
でも、こうして、何かをつかめるきっかけをいただけ、
良い機会を与えていただけたと感謝しています。
動画もブレブレ動画を載せるのは、せっかくの作品のイメージを損なうと思い、
撮影はしませんでした。
インターネットミュージアムに見やすい動画がありました。
■山種美術館:「ゆかいな若冲・めでたい大観」ブロガー内覧会 レポート
①
若冲生誕300年記念:「ゆかいな若冲・めでたい大観」山種美術館 (2016/01/12)
②
「めでたい大観」が描いた「竹」の屏風・・・・竹林に迷い混む (2016/01/14)
③
めでたい大観:「竹」 屏風という特徴が生かされた構図の妙 (2016/01/15)
④
ゆかいな若冲:「群鶏図」・・・左右の印象が違う? 踏ん張るニワトリ? (2016/01/16)
⑤
山種美術館:照明の秘密 (2016/01/17)
⑥
山種美術館:照明の秘密 からのつながり (2016/01/19) →前
⑦
山種美術館:ブロガー内覧会で学んだ美術館見学のポイント (2016/01/20) ←ここ
【関連】美術館の見方
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⑦
山種美術館:ブロガー内覧会で学んだ美術館見学のポイント (2016/01/20)
○
モネ展:(1)夜間展示を狙って再訪 美術館利用のコツの備忘録 (2015/12/12)
○
琳派 京を彩る・・・・ 予備知識は必要? (2015/11/18)