『モネ展:(7)晩年の「日本の橋」色調の違い 』コロコロさんの日記

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■モンマッタン美術館所蔵 4枚の《日本の橋》
最終章 の最晩年の作品のコーナーの一番奥の壁面には、
左から順に次の作品が飾られています。

   [作品No](図録)           【勝手に副題】
  ⇒①[82](p129)日本の橋(1918-24) 【桜舞う太鼓橋】
  ⇒②[78](p124)日本の橋(1918-24) 【夜明け前の静寂】  
  ⇒③[80](p126)日本の橋(1918-24) 【夕日と太鼓橋】
  ⇒④[79](p125)日本の橋(1918-24) 【白・紫・黄 藤の共演】


モネの絵は、《睡蓮》をはじめとして、
《日本の橋》もタイトルが同じ絵がいっぱい。
同じ題名だと、どれがどれなのか見分けがつきません。
副題をつけたりしなかったのでしょうか

音楽などは、練習曲○番というタイトルなど、
のちに通称の名前をあとからつけたりしますが、
美術ではそういう習慣はないのでしょうか?

しかも、制作年も同じだと、どの絵なのか判別ができます。
上記の「日本の橋」4点も 制作年が 1918-24で同じです。




■副題をつけてみた
この絵を見て、私の感じた情景を勝手に副題として併記しました(笑)
今回のモネ展で最初にこの絵を見ていたときは、
4枚を6年かけて、どうやって描いたのか・・・・
ということにすごく興味を持ちました。
また、どんな瞬間を捉えて描いたのか想像していました。

モネは、時間を変えて「朝」「昼」「夕」の光を描き分けていたので、
どの時間帯なのか・・・とまず考えました。。

最初は近くに寄ってどんな色を使っているかで判断をしていたのですが、
よくわかりません。
途中、休憩も兼ねて椅子に座ってちょっと遠くから
見るでもなくぼんやり眺めていました。
すると、わかった気がしました。

ずっと、一日の時間の変化を描いたものだと思っていて、
どの時間帯なんだろう・・・
って考えていたのですが、これは季節の変化も捉えている!

絵の中でも特徴的な色、ポイント的に使われている色。
その色はもしかして「花」を表しているのでは?! 
と気づいたことで、時間だけでなく季節の違いも表現している
と思ったのでした。だって制作が(1918-24)と
6年もかけて描いているわけですから、
1日の変化ということだけはないはず。



以下、【副題】の部分をクリックすると絵が現れます。
( )図録掲載ページです。

①(p129)【桜舞う太鼓橋】
    左上部にピンク色が見えています。
    最初はその明るさが、光の一部を表していると思ったので、
    昼間の情景かなと思っていました。

    ところが、この4作は、時間だけでなく季節も表しているのかも!
    と気づくと、ピンクは「桜」だ!って・・・
    確かモネは庭に桜を植えたってどこかで見た記憶があります。
    どこに植えてたんでしたっけ?
    忘れてしまいましたが、これは春の桜のピンク。
    他に植えてあったとしても、風で散ってきた花びらがここまで
    舞ってきたのかも・・・・
    たとえ、位置関係が違っていたとしても、もうこの時期には、
    リアルな情景ではなく、素材の組み合わせとして、
    描くということもあると思います。


②(p124)【夜明け前の静寂】
    近くで見ていている時に、この絵はどういう状況か
    全くわかりませんでした。
    色は「青」「白」が特徴的に使われています。
    遠く離れてわかったのが、太陽が上がる前の静寂な時間
    光がまださし込まない水辺のヒンヤリとした空気。
    もしくは、暗闇に以降する直前の一面ブルーに染まる世界とか?


     追記
      どこで見たか忘れましたが、モネの庭の光について、
      朝が白、昼が青・・・と書かれているのを目にしました。
      そういえば、ヨーロッパの光は日本と違うんでしたけ・・・
      


④(p125)【夕日と太鼓橋】
    全体的な色調が、「赤」「黄色」「茶」・・・    
    これは夕暮れ時かと思われます
    画面中央が周りと比べて明るくなっています。
    太陽が沈むところかな・・・・

    ジベルニーの庭の方角と太陽の位置は、一致しているでしょうか?

 
④(p126)【白・紫・黄 藤の共演】  
    はっきりと黄色が見えます。これはだと思われるので、
    季節を表したのではないかと思います。
    太鼓橋には、藤の花が植えられており、
    ③の図録解説には上には「白」の藤、下が「紫」と書かれていました。
    ただ、晩年色の再現に主眼は置かれていなかったそうです。
    欄干の上下ともに白の色が見えます。これは白い藤の花なのでしょう。
    
    では、黄色はなんでしょうか?  
    モネの絵で垂れ下がる黄色というと「キングサリ」を思い浮かべますが
    キングサリは、花の庭のアーチの部分に植えられています。
    太鼓橋には、キングサリは植えないかな?
    でも、キングサリは、「黄色い藤」とも言われます。

    「色の再現」に主眼をおかなくなったように、
    「ディティールの再現」も曖昧になってきていたと思われます。
    同じ房状の花つながりで、黄色のキングサリを加えたのかも。
    あるいは、白内障では黄色がかって見えるというので、
    何かの色が、黄色に描かれているとか・・・・
    
    あるいは、フランスでその季節に咲く、黄色い花は
    他に何があるのでしょう?



ということで、近くで見ていたときは、
どんな時間帯に絵にしたのかという捉え方で見ていて、
わからない部分も多かったのですが、
遠く離れて休憩しつつぼんやりと椅子に座って眺めると
一日の中の時間だけでなく、季節という年間サイクルという時間も
浮かび上がってきたのでした。

「色」は花を表していたのでは? ということから想像しましたが、
さらにフランスの気候における花の開花時期などもわかると、
さらに見えてくるものがあるかもしれません。


何がえがかれているかわかりにくいと言われる
晩年の「日本の橋」を見た時は、
すでに「橋」を表しているということを知っているため、
遠くから眺めて考えるという見方が、端折られていました。

たまたま絵から離れた椅子に座って休憩したことで、
絵が描かれた大きな時間のサイクルも見えてきました。
(勝手な想像にすぎませんが・・・)

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【関連】
モネ展:④最晩年の「日本の橋」 モネの心の目は見えていた?! (2015/12/07)
モネ展:⑤モネと白内障 そしてモネの人生 (2015/12/11)
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