『琳派 京を彩る・・・・ 予備知識は必要?』コロコロさんの日記

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琳派誕生400年。
私にとっては、琳派を知った年、琳派元年。

メインイベントともとも言える、京都国立博物館の
「琳派 京を彩る」を訪れましたが、混雑していたこともあり
「風神雷神図屏風」と「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」の2点に
絞ったしまったので、見逃してしまったものがいっぱいでした。

しかし、中途半端に、くまなく見て回るより、
テーマを決めて集中した方が、よりいろいろなことを
拾ってくることができたなぁ・・・と思いました。



■美術館の回り方
美術館で作品を見る時、いつも悩むこと。
予備知識をどの程度、入れたらいいのか・・・・

理想は、全くない状態と、ある程度知識を入れてから
2回、3回とリピートすること。

しかし、遠方にまででかけるとなると、わざわざ交通費をかけて
行くわけですから、ある程度の知識を持って、
見逃してはいけなポイントは押さえておいた方がいいのでは?
と思っていました。



■美術愛好者は
美術ブログとして有名な、弐代目 青い日記帳で
  ○展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。
  ○展覧会を何十倍も楽しむために心がけたい5つの秘訣。

上記にも、いろいろ心得が書かれており、
やはり、遠方に行くからには、ある程度の知識は
蓄えていった方がいいと思うようになっていました。



■予習できないジレンマ
ところが、初めて美術館のためだけに京都まで遠征するというのに、
事前準備ができず、どうも気乗りしません。
というか、せっかく時間を作って、わざわざ京都行きを計画したのに、
何をやってるんだ・・・・というもどかしい気持ちが強かったのでした。

せっかく貴重なものが出ているだろうに、みすみす身逃して、
あとで、悔やんでいる姿が目に見えるような気がしていたのかもしれません。



■読んだことは忘れて
しかし、美術史家の河野元昭・京都美術工芸大学長
の言葉に救われた気がしました。
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「実際に作品を見るときは、私の話したこと、あるいは本で読んだことは一切忘れて自分の目で絵を見る。それが肝要です。絵のなかに自分を溶け込ませ、感情移入する。」
ーーーーーーーーーーーー


この一言は、これまで、絵画をどうやって見たらいいのか。
その際に、予備知識との折り合いはどうつけたらいいのか・・・・
ということの答えが出た気がしました。



■絵画の見方がわかった


 事前の知識はいらないのです・・・・・


いや、いらないということではなく、
知識はあっても、なくてもいいということなんです。
余裕があるなら、知識を蓄えておく


なんらかの知識を得たとしても
絵を見る時に、その知識をすべてとりはらえばいい
ということに気づきました。
自分の目や心をフラットにしてリセットできるテクニック
身につければいいということなんです。


一度、まっさらな状態にして、無の状態になって、
絵と向き合ってみる・・・・



■食でも同じ
思い返すと、この状況、「食」を通しても
心がけてきたような気がします。

人の感覚というのは、能書きやウンチク話に影響されてしまう
ということは、十分理解しています。
だから、そういうウンチク話を聞いたとしても、
どこかで、リセットして、その話を知らない状態にして
比較するということは、心がけてきたように思います。
次に、思いっきり、先入観を持って食べて比較してみる・・・・


■知識をフラットに
美術作品についても、そういう捉え方をすこしずつ、
していたような気もします。

もし、何も知らなかったとしたら・・・・
そして、そのあとは、目いっぱい、その知識という先入感を
盛り込んで・・・・



■何もなくても、なんとかなる
今回、全く予備知識を入れることができなかったので、
何も知らずに見て、何かを感じることができるのかという
不安があったような気がします。
それは、知っていることで、より理解が深まるということを、
体験してきてしまったからです。


でも、結果、知らなかったゆえに見えてくることも、
いっぱいあったと思いました。

一方、予習をしっかりして、チェック箇所もリストアップしていたら、
もしかしたら、頭でっかちになって、
今回、新たに発見できたことに、気づけなかったのでは?
と思う部分もありました。


確かに、知識先行になってしまうと、
確認作業となってしまい、新しく感じることができなくなってしまう
可能性はあると思います。


ただ、最初に絵を前にした時に、「素」の状態を作る・・・・
どんなに知識を詰め込んできたとしても、
「心を空っぽにして見る」 というテクニックが身に付けば
事前の知識は、邪魔をしなくなるのだろうと思ったのでした。



絵を見るのに、どの程度の知識が必要か・・・・
というのは、悩みどころでもあったのですが、

「気持ちをフラットにさせる」

というテクニックをうまく使えるようになれば、
気にすることがないことだと思いました。



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【追記】2015.11.23
知識を入れずに感覚で捉えることの大切さがある一方で、
「知る」ことによって、新たな考察が生まれ、さらに深まったり
謎が生まれる面白さということも、これまでの経験や知識から感じていました。


知識を得ることで自分の中にもいろいろな物の見方がひろがり、
他人の見方もそこに反映されて、取り込んでシャッフルされると、
さらに新たな見方を生まれます。

他人の視点の中には、自分の知り合いだけでなく、
ネット内で語っている人の物の見方も参考になり、
その人のバックにある知識や経験、背景があぶりだされて、
見え隠れするおもしろさも感じさせられます。
作者の背景を見るのと同時に、それを解釈する人の背景までも、
伝わってくるように思いました。

絵を見る。評価する・・・・

という行為の裏には、その人がそれまで何を見てきて、
どんなことを感じたり、考えてきたかを映し出しだしてしまう。

自分の持つすべての知識を総動員して、絵の前に対峙・・・・

その言葉の中に、一瞬の緊張感のようなものさえ感じさせられるのでした。




【参考】
■mimi-fuku通信:国宝「風神雷神図屏風」公開/宗達・光琳・抱一・其一の4作品。 より
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絵画との対話は想像力に働きかけます。
 自分の持つすべての知識を総動員して、
 絵の前に対峙し“ひととき空想”にふける
 空想を自分の言葉に変換しながら絵画を記憶していく。
 モノの見方はひとつではない
 モノの見方を学ぶことは応用力の向上につながり、
 応用力の向上はその時々の答えの出し方に変化を与える。
 そして、
 それぞれの答えが次の創造へのヒントとなるのです。
 
 1つの答えを求める教育と同時に複数の答えを絞出す教育
 複数の答えを絞出すための多くの知識と経験の収得
 教育の形はデータ(既に確定しているとされる事項)の
 記憶に焦点を向けるだけでなく、
 複数のデータを自分達で創造する。
 この絵に限らず絵画鑑賞を含めて、
 “芸術鑑賞が持つ、人への導きは無限の形を有する”ことを
 知る学習能力が高まれば、人生は少しだけ豊かになると感じます。
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【追記】2015.12 参考になった絵の鑑賞法
絵の展覧会に行ってきました
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絵は解説文を読まない。じっくり見ない。一瞬の印象が大事。
ぱっと見て気持ちがいいかそうでないか。

じっくり見るのはそのあと。
勉強はした方がいいが、絵を見ることが最優先。
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僕が「なるほど!」と思った美術館鑑賞を楽しむ5つのポイント

美術館鑑賞が趣味で調査もしsている友人と一緒に美術館に行き、
「どうやって美術館鑑賞を楽しんでいるのか?」を聞きながら鑑賞してつかんだ
5つのポイント

1.全体のストーリーを見ようとしてみる
2.一度最後まで見たら戻ってみる
3.疲れたら途中で休んでみる
4.家に帰ったらもう一度展示を振り返ってみる(Webとかを見てみる)
5.テーマを持って見てみる


【追記】2016.1.7 友人から言われたこと
「今度、○○展に行こうと思っている」と話した時、
「あなたは、予備知識を入れずに見に行った方がいいと思う」

「あなたは独特の捉え方をするから、知識を入れてしまうと、
 それに囚われて見方が固定されてしまうから、
 その着眼点を見失なわないようにした方がいいと思うから・・・・」


と言われて、最近は、事前に知識を入れたとしても、
それにとらわれずに見ることができるようになってきている気がしていました。

もともと「それってほんと?」とそのまま受け入れない思考癖があったので、
絵を見る時にも、それが習慣となって、働いていると感じていました。
だから多分、大丈夫なんじゃないかな?・・・と思う今日このごろです(笑)



「○○の作品の最高峰は○○」って言われても、
そのまま鵜呑みにしないし、何を持ってその作品を最高峰というのか?  
その最高峰の所以の説明してくれないとわからないって思ってしまいます。

それに最高峰って誰が決めてるの?
多くの人がそう言ってるから? 偉い美術界の権威が言うから?
でも、何を最高峰と思うかはその人によって違うと思うし・・・

これを最高峰だと言うなら、あなたがそう思う理由を
ちゃんと説明して欲しい・・・って(笑)
あなたの最高峰はそれかもしれないけど、
私の最高峰は、別の作品かもしれないわけだし・・・・(笑)


先日も、土牛は、動物のかわいらしさ、愛らしさ、
動物への愛情あふれる作品を描いた。という解説がありました。

しかし動物を描こうとしたら、誰もが、動物に対する愛情を描くのは、
当たり前のことでみんなそうじゃないのかしら?
動物の「憎たらしさ」を、表現した人なんていたのかなぁ・・・とか。
マイナス面を描いた画家がいたのか気になります。

あっ、そうか・・・ 内面に潜む野生だったり、
虎なんかは、獰猛さを描いたってことか・・・・
それを猫でも表現するとか?
というように、「かわいらしさを描いた」と言われても、
そのまま納得ができないのでした。



【追記】2016.4.5
目に止まった美術鑑賞法
私の絵の見方 (番外編1)東京国立近代美術館
私の絵の見方 (5) 観終えた後は
私の絵の見方 (4)  名画とは?
私の絵の見方 (3) いよいよ入館!
私の絵の見方 (2) 鑑賞前の準備
絵の見方 (1)  何を観るか?



【関連】美術館の見方 利用法
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山下裕二:驚くべき日本美術(2016/03/23)
日本画の革新者たち展:①最初に全体をざっと見た感想 (2016/02/28)
山種美術館:ブロガー内覧会で学んだ美術館見学のポイント (2016/01/20) 
モネ展:(1)夜間展示を狙って再訪  美術館利用のコツの備忘録 (2015/12/12)
琳派 京を彩る・・・・ 予備知識は必要? (2015/11/18)  ←ここ
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