日本一のビリヤニ？？？は、カッチではない、ダム・ビリヤニでした！ : アリーズ キッチン

東京はインド料理のメッカで、高級店や抜群に美味い店だけでも十指に余ります。一方で大阪は、インド料理よりも、北浜のカシミールや空堀と中之島の旧ヤム邸を始めとするスパイスカレーの名店が目白押しで、優勢にあります。

そんな中で、南アジア料理の食べログ評価の一二位を争っているのが、当アリーズキッチン（ALI'S KITCHEN）と日本橋のシンズキッチン（Singh's Kitchen）。両者共にシェフの名前にキッチンを付けて、良く似てます（笑）。

シンズキッチンは、北と南のインド料理に加えて、土曜・日曜限定で出す10時間かけて作るハイデラバーディ・ダム・カッチ・ビリヤニ【注】が有名。私も日曜日に出されるマトンビリヤニセット（千円、１カレー付き）を頂き、御徒町のアーンドラキッチンの物（ビリヤニ単品で千四百九十円）に迫る高レベルと安さに舌を巻いたものです。

【注】ハイデラバーディ・ダム・カッチビリヤニで、ダムというのは、【肉のカレー】又は【ヨーグルトベースでマリネした生肉とスパイス】と、半分調理したバスマティライスを交互に層になるよう鍋に敷き詰め、それを密閉して弱火で長時間蒸し焼き（蒸し上げともいう）にする調理法です。カッチビリヤニはそのダムビリヤニの中でも、【肉のカレー】じゃなくて、【ヨーグルトベースでマリネした生肉とスパイス】を用いる物です。詳しくは、下記url.の詳細な解説を参照下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%83%8B

当店は、各レヴューで「日本一のビリヤニ」と称されておりますが、どんな方法で作るどんなレヴェルのビリヤニかを確かめる為に、奈良の南インド料理店のタリカロからのハシゴで、土曜の13時半ごろに、伺いました。店内はランチタイムのピークを過ぎて約半数の入りでしたが、私が帰る１４時過ぎには満席となり、かなりの繁盛振り。

アリさん「当店の一番のお薦めは、チキンビリヤニ。個人的にはブレインマサラも」私「ビリヤニはチキンしか無いの？」「マトンは食べられない人もいるので、売れ残って冷凍してレンジでチンするのは嫌なので、チキンにしてる」「じゃあ、チキンビリヤニとマトンカレーのセット（千七百円）。ナンと飲物は無で」「じゃあ、ビリヤニかマトンカレーを大盛にするけど、どちらが良い？」「マトンカレーの方を。ココのビリヤニはどれくらいの時間をかけて作るの？」「１時間半くらい。作っているところのビデオを撮ってあるので、それを見て待ってて下さい」

ビデオにはアリさんが登場して、まずカレーを作ってます。カレーが出来上がると、カレーと半炊きしたバスマティを層に敷き詰め、蒸し焼きにして、出来上がり。上の注の、【肉のカレー】で作る、ダム・ビリヤニでした。

10分ぐらい待つと、丸い淵有りのプレートに、ビリヤニと、楕円容器にマトンカレー、楕円が真ん中に仕切られた容器にヨーグルトとコールスローサラダで、登場。

ビリヤニは、パラッパラで、スパイス感もほど良くあり、流石にダム・ビリヤニです。蒸す時間が短いので、チキンはジューシー感が残ってカッチのようなホロホロじゃないですが、エリックサウスのような臭みも無く、美味しいです。シンズキッチンの10時間かけて作るカッチに比べれば、バラッパラ感やスパイス感は落ちますが、カッチではないビリヤニとしては、極上だと思います。

マトンカレーは、池袋のマルハバほど不味くはないけど、カラチの空やアルカラムのような、オイリーでパキスタン現地の独特な風味があり、スパイス感は弱いです。これは好みの問題なので、評価は難しいです。コールスローは、南インド店にしては、非常に美味しいレヴェルです。

全体としては、正にパキスタンを感じる料理で、インド料理を標榜するシンズキッチンとは別物であり、優劣を付けることは、失礼。但し、千円のビリヤニセットにカレーが付くか否かのコスパの差と、ビリヤニがカッチか否かで、評点は、シンズキッチンが上となってます。

最後に、当店でカッチではないダムビリヤニを堪能された方は、是非ともシンズキッチンにも土曜（チキン）日曜（マトン）に足を運んで、インド現地で最高峰と称されるハイデラバーディ・ダム・カッチ・ビリヤニと、食べ比べて頂きたいと思います。

個人的には、シンズキッチンのスパイス感抜群の方が好きですが、一般の方にはこちらの方が食べ易いかもしれません。また、当店の、何時でも食べることができる利点は大きいと思います。

なお、ランチのハシゴでしたので、ビリヤニは半分テイクアウトしましたが、帰宅して夜に頂いても、十分に美味しかったことを、付け加えておきます。