五感の全てに訴えかける食の空間 : クイントカント

京阪電鉄中之島線の渡辺橋駅の１番出口から徒歩すぐの場所にあるイタリア料理店。

まだ開店から３年ほどの比較的新しいお店のようですが、こちらのサイトでの評判は抜群のようです。

今回はゴールデンウィークの週末に訪問しました。

以下、コースの内容です。


①フォアグラ
フォアグラをウェハースで挟んだ冷たい一品とビーツの赤い色をした温かいスープの組み合わせ。
こちらのお店の定番だそうで、温度差の妙味を楽しみながら、フォアグラの脂の旨味が感じられるようになってくる料理でした。


②赤エビ
赤エビ・トマト・イチゴ・ワイルドライスを組み合わせ、オキザリスを添えた一品。
イチゴとトマトの甘酸っぱい味と赤海老の甘味が良く合っていたと思います。


③カジキとズッキーニ
焼いたカジキに生のズッキーニとしっかり加熱したズッキーニ、さらに揚げた花ズッキーニを合わせ、ミントとライムのメレンゲを添えた一品。
加熱具合によってズッキーニの食感の違いがハッキリしており、ミントの香りが後味を爽やかにしてくれる一品でした。


④ウニと空豆のラビオリ
ペコリーノチーズのラビオリにウニのマリネと空豆のクレマを合わせ、オゼイユをあしらったメニュー。
ラビオリの食感とウニの相性が良く、濃厚な味なのにハーブの爽やかさが感じられました。


⑤スズキとカルチョーフィのバニラ風味
カリッとした食感に仕上げたカルチョーフィ(アーティチョーク)・スズキ・ホタテのムースを、バニラの香りのソースとイタリアのミント・メントゥッチャでまとめ上げた一品。
魚介類の料理にバニラを使うのは初めていただきましたが、とても優しい印象の味になっていました。


⑥豚肉料理
ヤンバル豚のバラ肉はトロトロに煮込んだものと表面をカリッと仕上げたものの２種類が盛り付けられ、パプリカのソースとモッツァレラチーズを添えてダークオパールという紫色のバジルをあしらった肉料理。
噛まなくても口の中でとろけてしまうほど柔らかく煮込まれた肉としっかり焼き色を付けた肉の食感のコントラストが素晴らしい一品でした。


⑦レモンのグラニテ
リモンチェッロの入った試験管が熱した石に差し込まれた状態で登場。
これをグラニテにかけてスプーンでかき混ぜて仕上げる斬新なお口直し。
お口直しはシンプルな器と少量のソルベだけが用意されることが多い中、お客様に喜んでもらいたいという気持ちが伝わってくるような一品でした。


⑧ポワロネギとアサリ
しっかり加熱して甘味が引き出されたポワロネギとアサリを合わせてタイムの香りを加えた一品。
シンプルな調理法とは思えないほど旨味が濃厚な一品で、特に白ワインとの相性が良かったと思います。


⑨うずら肉の手打ちパスタ
粗めのミンチにしたうずらの肉とスコルツァネーラというゴボウの仲間の植物を、ピサレイという手でひねって作る小型のショートパスタと合わせて、パルミジャーノチーズをかけた一品。
パスタの弾力が強く、ウズラの肉の旨味と合わせるには適した食感だったと思います。


⑩鳥取和牛
外側をしっかりと焼き固めた和牛に付け合わせを一切排除した直球勝負の肉料理。
内側から肉汁が溢れ出てくるよう厚めにカットした状態で調理されていたため、シンプルな一品なのにとても印象深い仕上がりになっていました。


⑪シェーブルチーズ
形からして多分クロタンというチーズだったと思いますが、しっとりして緻密なのに口溶けが良く、濃縮したヨーグルトをいただいている感覚でした。


⑫アッサムティーとマンゴーの組み合わせ
マンゴーの果実とジェラートにアッサムティーのソースとくずもちを合わせた一品。
アッサムティーのソースが特に印象に残っていて、マンゴーの甘さと相性が良かったと思います。


⑬トルタズブリゾローナとサヴァイオーネのドルチェ
クッキーのような食感のトルタズブリゾローナという菓子にサヴァイオーネを合わせて、カモミールなどのハーブを使ったドルチェ。
味そのものも印象的だったのですが、お店の方との会話の中で誕生日だったことを話していたところ、急遽チョコレートでお祝いメッセージを書いていただいきました。
お気遣いありがとうございます。


⑭アーリア・ディ・ノッチョーラと紅茶
見た目はトリュフチョコレートのような茶色くて小さな菓子ですが、口に入れるとふわふわですぐに溶けてしまいそうな食感の小菓子でした。


この日のコースの内容は以上でしたが、実際はワインとグラッパもいただきました。

最初に手渡されたおしぼりから、ほぼ全ての料理に至るまで、何らかのハーブや柑橘類などの香りが感じられ、各テーブルにはキャンドルが灯っていました。

また、店内には会話を邪魔しない程度の静かな音楽が流れ、ソファーの席にはクッションが用意されるなど、とにかく居心地の良さに徹底的にこだわった五感の全てに訴えかける食の空間が演出されていました。

そして最後には、本日のコース料理の内容をイラストで分かりやすく表したお品書きをいただきました。

そして、どの店員さんに話しかけても、本日の料理に関することを分かりやすく説明していただいたのも、素晴らしいと思いました。

決して気軽に利用できる価格帯のお店ではないにもかかわらず、満席だったのも頷ける内容のサービスでした。

また何らかの記念日にお伺いしたいと思いました。