世界のOZAWAも訪れた．．．に違いない？ : レストラン 澤田

松本でも有数の老舗フレンチ、との由。
家族の祝い事や大切なお客様を迎えるような折に予約して利用する形で、昔から今なおずっと当店を贔屓にしている古い客も少なくないそうだ。

なるほど、そう云われてみれば確かに、そのような歴史や年季を感じさせるシックな店構え。
丁寧に案内されて通された中央の客席ホールにも、旧い洋館のダイニングを想わせるしっとりした雰囲気がある。
その中を、ゆったりと品の良い空気が流れている感じ。
今どきの洒落たフレンチレストランと云うよりは、昔ながらの古風な西洋料理店、と云った風情と云えようか。

そんな老舗の当店だからして、1992年から始まった世界のOZAWAこと小澤征爾率いる「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」が催される度に、当然ながら、彼も必ず一度は訪れると云う。
．．．とゆーのは実はまったく未確認のガセネタだが、少なくとも一度くらいは訪れたことがあるのではないだろうか。
あながちそれが事実であっても不思議ではない、そんな風格と格式を感じさせる趣を持つ店であることは間違いない。

そのダイニング中央の大きな正方形のテーブルを、我が家の親子3人と、同じく東京在住のぼくの友人親子3人を加えた計6人で囲む。
と云うのも、その夜の主役は、双方の親同士、つまり「オトナ」には非ず。
主役は実は、双方それぞれの一人息子と一人娘の子供たち。
今回が初対面となる彼ら二人は、なななんと！＼(◎o◎)／！
偶然にも、同じこの春から同じここ松本で、それぞれ一人暮らし＆新生活をスタートすることになったのだ。
しかも、東京から松本への引っ越し予定もまったく同じ週末で、双方とも両親揃って手伝いに来る予定であることも判明。
だったらせっかくだし、お互い家族一緒に松本で食事でもしようと誘い合い、双方引っ越しを済ませた夜の夕食をご一緒することに相成ったという次第。

ちなみに、当店のチョイスは、地元・松本にセレブなご実家をお持ちの飲み友だちのP嬢。
「こんな経緯でぼくら二家族一緒に夕食に行きたいんだけど、松本で何処かお薦めの店とかある？」と相談したのに対し；
「うーん、だったら此処なんてどうかしら。昔から贔屓にしているアタクシの実家から予約を入れておいて差し上げるわね。いえいえ、お礼など宜しくってよ。おほほほほ」
と。（↑この口調には一部誇張アリ）

さらに驚いたことに、ぼくら全員がテーブルに就いたのを見届けるや、すぐにメニューを携えてやって来られた美人のマダムがこう仰る：
今夜お召し上がりのお飲み物は全て、ご予約を頂戴したP様からお祝いとのことで、お代は一切結構です。
ほええ？＼(◎o◎)／？
それにはさすがに恐縮し、「いやいや、そりゃ困ります」と友人と二人して固辞しようとすると、マダムは；
「いいえ、P様からそう固く仰せつかっておりますので。おほほほほ」
と、これまた優しくたおやかな微笑みを決して絶やすことなく、しかしキッパリ頑として首を縦に振る様子ナシ。
仕方無く、そこはあっさり引き下がり、当夜に限ってはP嬢の厚意にありがたく甘えさせていただくことにした次第。
（しかし実際、アレはけっこう高く付いたハズだぞー。オレらすっげー飲んじゃったもんね）

その夜いただいた料理の印象を一言で云うなら；
料理が旨いと評判の老舗ホテルの披露宴でいただくフルコース。
という感じ。
質実剛健、オーソドックスなフランス料理。

ぼくらはずーっとお喋りの方に夢中だったので、正直ガツンと印象に残った一皿の記憶も無い代わりに、「ナニ？コレ？？？」と一瞬会話が止まってしまうような破綻も一切無し。
この贅沢な空間と会話を存分に引き立てる、素晴らしい「脇役」に徹してくれた印象、とも云えようか。

P嬢がご馳走してくれた飲み物代を除いた食事代は、一人分1万円少々。
飲み物代は、オトナ4人があれだけ飲めば、食事代とほぼ同額かちょいと超えるくらいだったのではあるまいか。
となれば、飲み物代込みの食事代合計は、一人分2万円超といったところか。

以上、総じて、なるほど。
冒頭に記したような、地元の古い贔屓客が少なくないのも頷ける。
料理や飲み物のみならず、店内の内装、雰囲気、サービスまで全て含めたトータルな意味で、年輩のご夫婦や家族をもてなすプライベートな接待や会食に選んでまず後悔の無い、「ハレの日の会食」御用達の一軒。
松本にお住まい、もしくはお越しの方で、そのようなTPOでの利用には、覚えておいて良さそうだ。
そんな意味で、当店の星は3つ半。

P嬢、その節は本当にどうもありがとう。m（__）m
ただキミの場合、このお礼がすっげー高くつきそうなのが、正直とってもコワイんだけど。