ド田舎銘菓を探せ!!(山口県編)

ド田舎銘菓を探せ!!(山口県編)

「ド田舎銘菓」とは、地方町村の地元民に愛される土着系スイーツ(ミニペディアより引用)。

更新日:2015/02/18 (2014/11/05作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる63の口コミを参考にまとめました。

ド田舎に埋没している愛すべき甘モノの探索は中々面白いのです。そんな山口県のド田舎銘菓を独断的にまとめまてみした(随時更新中)。

下関市 ときわ屋 本店

【二見饅頭】
週末は昼時に売り切れ御免となることもあるほど。従い、ほぼ出来立てを喰うことになるから、特には凝っていない普通の皮も、いっぱしの上用饅頭みたいなフワンフワンさ。中身のこし餡も、水羊羹的なキメの細かさと微妙な透明感があって、ただの田舎饅頭じゃないよと主張する。確かに一口サイズの饅頭だが、この味わいなら1個22円の値付けも、相当のハイコスパで説得力十分。


ある種、ギャグ扱いのネタ的物件が多くなりがちなド田舎銘菓を探せ!!大作戦だけど、こいつは真っ当に味勝負できる真性ド田舎銘菓。利休饅頭は、それこそ全国に生息してて、ここ山口県でも銘菓の一つではあるけれど、県内のメジャーメーカーでは実現しようもないフレッシュ感は、そんな中で明らかに一頭地を抜いている。今のところ山口一口饅頭のベストに推したい。旨い、可愛い、渋い。

美祢市 斉藤製菓 宇いち饅頭

【宇いち饅頭】
驚くべきは、そのモティーフ。何と発明者である、故宇一翁ののっぺり顔と、この地域で採掘される泥まみれの石灰石からインスパイアされたとか。お前、友蔵かよ!!石ころかよ!!・・・のっけから唖然とするその成り立ち。しかも、何でこうも一個一個形がバラバラなのか!?かじってみれば、何故かべたつくモッタリ皮に、中身はハチミツ味爆発の白餡。この餡にしても入り方がバラバラ。もう笑うしかない。

問答無用のゴーイング・マイウェイ、宇一翁。饅頭なんだか洋菓子なんだか分類不能な不思議な味わいは、実はかなり個性的でオモシロい。なので少なくとも、デパ地下に居並ぶ自称山口銘菓なんてヤツよりは、喰っててずっと楽しい。一見さんなら思わずギョッとしてしまう得体の知れぬインパクトは、お見事と言う他無いのだ。

萩市 846総本店 蒸気船饅頭

【蒸気船饅頭】
山口県の北東端の小さな港町、阿武町のいにしえ銘菓、気船まんじゅうが、約1年間のブランクを経て復活。そのネーミングと形状は、恐らくは長州の幕末志士、大村益次郎が建造した、日本最古の蒸気軍艦「壬戌丸」にインスパイアされたと思われる。相変わらず、手間の掛かる一丁焼に拘った復活には拍手を送りたい。

その味わいは餡子が若干瑞々しくなったか。餡の粒感も少し増したような印象。名物ばあちゃんの焼いていた、ちょっとバサリとしたこし餡から、少し今風の瑞々しさ寄りに調整されたのかも知れない。素朴にして質素を旨とする焼き饅頭は、その特異な外観と相まって、ある意味唯一無二の不思議な個性。名物ばあちゃんが焼き続けた、その歴史を背負っている事にこそ意味があるのだ。

美祢市 友永商店 米まんじゅう

【米まんじゅう】
今時めっきり少なくなった蝋紙を開いて現れたブツは、何とも小籠包的なシースルー・スケスケ・コメマン。米粉を練り上げた皮で餡子を包み、模様を型押ししてさっと蒸す。きっとそれだけのシンプルな作り方。上面には、イニシエ感満点の儚い緑と赤のアクセント。かじってみれば、粘り伸びる餅感と、米独特のアッサリした風味が中々旨い。ベスト消費期限は購入当日のみの儚さも素敵だ。

ド田舎銘菓大作戦、ややもするとネタモノのオンパレイドになるのだが、こいつは久々にマジのド田舎銘菓。昭和から続く局地的明るい農村菓子の一つの典型である。お店へのアクセスはこれ以上無いくらいに悪いけれど、でもだからこそ、不特定多数の衆目に晒されて汚されない、麗しい純潔な存在感を保ち続けている。極上でも無く、唸る必要も無い日常農村の味わい。それが全てで、それが良い。

下関市 本田果秀庵 晋作餅

【晋作餅(シソ巻き)】
かの幕末志士、高杉晋作の蟄居所にして、没後には墓所となっている東行庵門前のお店。シソの葉で巻いたシソ巻きバージョンと、巻かないハダカバージョンがある。真髄はやはり、断然シソ巻きバージョン。晋作餅でしか味わえないウソ~シソ~!!な風味と、桜餅なんかより遥かに舌に優しいソフトでしなやかな食感が持ち味だ。

来年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は幕末から維新期の長州が舞台。高良健吾氏演ずる高杉晋作も準主役として登場する由。既に今から山口県下の小売業者は、手ぐすね引いて観光客を待ち構えている。ここ東行庵にも、久々に観光バスが大挙して横付けする事になるだろう。そうなればこのお店も大忙し。バイト君総出で晋作餅製造の夜なべ仕事が始まるのだ、この出来ならきっとそうなる。

山口市 ぬまのケーキショップ シュークリーム

【シュークリーム】
噂には聞き及んではいたけれどなるほどデカイ。茶釜の蓋宜しく、巨体の上にチョン乗りしたシュー蓋の隙間からは、まっちろの生クリがのぞく。中身に詰まったこのクリームオバケがかなり凄い。上半身は完全無加糖の生クリ。一方の下半身はシッカリ甘いカスタード。舐めてみれば味わいは到って普通ではあるのだが、その量たるや、うわ~っ!!である。

メニューはシュークリームだけ。しかも宣伝する気などサラッサラ無い。一体、何がモチベーションとなっているのか、理解不能の無欲営業である。それでも、永きに渡りお店が成り立ってる事実は、この魔性爆クリの誘惑が並大抵では無いことの証左だろう。この空気感は、実はかなり好きである。一見さんはきっと度肝を抜かれるだろう、この隠遁仙人ケーキ屋さん、山口ケーキ屋七不思議の一つに認定したい。

※本記事は、2015/02/18に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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