山口県の珍丼5選

山口県の珍丼5選

逸丼ではなく珍丼であることに留意されたい。群れの中でぬくぬくと安泰を貪る、ありふれた旨丼ではダメなのだ。珍しくなくてはならない。何かキラリとする個性が欲しい。と思いながら捜し歩いた結果の珍丼をご紹介。旨いかどうかは、喰ったあなたに決めて欲しいのよ。

更新日:2014/11/13 (2014/11/05作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる217の口コミを参考にまとめました。

山口市 よしい食堂 牛すじ丼

牛すじ丼

自称「とてもかたい牛すじ丼」とは、ギャグのような珍丼屋

余程のモノ好きかグルメ・エクスプローラーでもなけりゃ、一見じゃ近寄りがたいワンダーさを醸し出すよしい食堂。店内に一歩足を踏み入れれば、客が壁に書き残した異様な数のピンナップが気になって、椅子に座っても全く落ち着けやしない。で、オーダーしたのは「牛すじ丼(とてもかたい)」600円。マジでこれがメニュー名。マジでメニューに「とてもかたい」って書いてある。笑うしかあるまい。壁のピンナップにも、「日本一かたい丼」とか何とか。ギャハハ~喰うしかあるまい。こう言うのに限って、着丼一口目で「げは~旨い・・・」と口を突いて出てくるのだ。白飯の上に、多量の牛すじ煮込みの玉子とじ。たったこれだけのアルトラ・シンプル・レシピの説得力。確かに歯応えはあるけれど、決して歯が立たぬ硬さじゃない。てか、無理なら飲み込むだけ。こいつかなり旨い。

よしい食堂

シンプルで相当旨い

そもそも、お店一番人気のマヨラー丼を書かぬのは天邪鬼なのだが、ここの丼群、作り手、店舗、その全てにドヨヨ~と流れる何とも言えないユルサ、思わずニヤリとしてしまう、大人なギャグ感、あるいは地味な洒落感が買いである。山口珍丼屋大王の素質十分。

萩市 明己悟 激安海鮮丼群

イクラ山かけ丼

真昼のナイトクラブで激安海鮮丼三昧

真昼間から入るにはかなり抵抗のある、風俗臭プンプンのファサード。口を開けた真黒な入口から恐る恐る入ってみれば、明らかにナイトクラブの居抜きと思われる、昼なお暗い大フロアな店内。明暗順応するのに5分は掛かった。目も馴れて来て、さてお次は今更スパンコールな紫ドレスの自称ネエチャンが、立膝でおしぼり渡してくれるんだろうなと思ってたら、やって来たのはホワイトボードのメニューを持った陽気なオバちゃん。だったら明暗順応する前に来て~な・・・さて、この画像は「イクラ山かけ丼」吸い物と小鉢のセットで驚愕の300円である!!マジで。嘘のような現実だが、安かろう不味かろうではなくて、望外にイクラの鮮度が素晴らしい。乗せられた月見を割り、醤油をまわして、山かけと共に混ぜ合わせれば、これは豪華版TKGである。海鮮丼にしては温かめの白飯も、TKGな雰囲気を一層盛り上げる。

明己悟

あじ山かけ丼

次の画像は「あじ山かけ丼」これも驚愕の300円!!同じようにシャカシャカかき混ぜれば、今度は新鮮鯵を混ぜ込んだ豪華TKG。どう考えたって300円はあり得んだろ。ご主人が一体何をおやりになりたいのか皆目理解不能。平成26年における標準的物価感覚を根底から覆すような驚愕のコストパフォーマンス。城下町萩のナイトプレジャーを想起させるかの如き浮世離れした不可思議な佇まい。その両方がカチリとリンクした時、最終ウェポン・アミーゴの起動装置が作動する。ここは、山口県屈指のテーマパークである。

大島郡 アロハオレンジ ギャングステーキ丼 ハーフ&ハーフ (デカ)

ギャングステーキ丼ハーフ&ハーフ(デカ)

アロハオエ~な肉!肉!肉!肉丼

本来はハワイ・カウアイ島の家庭料理を楽しめる店。木の葉で包んで蒸し揚げた豚や鶏など、いかにも本場を彷彿とさせる素敵な料理が並ぶ。なのでこの強烈なる丼は、ある意味人寄せパンダ的存在なのだが・・・「ギャングステーキ丼ハーフ&ハーフ(デカ)」とは笑える丼名。驚くお代は2800円也。でも考えれば、国産ホルスタインの尻肉が推定300gは乗っているのだから、まあ妥当な値付けと言うべきだろう。着丼してみれば、言葉を失う肉地獄。もちろん大盛のせいもあるのだが、とにかく一面肉の海。白飯、千切りキャベツを充填した丼に、赤身の超レアステーキスライスが一面に敷き詰められる。今回のは、そのちょうど半分を、トーチで炙って貰った。だからハーフ&ハーフ。タレが馴染んだ赤身の極レア牛肉は、飛び切り柔らかいが何ともレアな風味。一方のミディアムサイドは、敷き詰めた後で上面に軽い炙りが入るので、火入れされた肉の風味が楽しめる。とは言ってもあくまで表面だけの火入れであって、これでもまあレアである。

アロハオレンジ

赤黒肉地獄

とにかく、白飯や千切りキャベツに対して肉量が完全に勝っている。ノーマルの二倍強となるデカ盛りなので、白飯だって500g近いハズなのだが、それでも殆ど肉を喰ってる気分。このバイオレンスすら感じてしまう全開肉々しさは、だから正にギャングなのである。久々に肉を嫌と言うほど満喫した、正に珍丼。恐れ入りました。

山口市 民宿しらい 大えび天丼

大えび天丼

三尾喰ったら顎ダル~な天丼大王

活車海老バイキングなどと言う、山口県でも屈指のバブリーメニューが看板の民宿。なので、天丼なんぞはお手軽ランチメニューと呼ばれるのだが、お手軽と言うにはあまりに強力な丼が待っていた。税込1620円なので、冗談のようだが実は車海老ではない。こんだけ車海老で前フリしといて・・・だが、いざ着丼してみれば丼からハミ天。いやらしい。何度も申し訳ないが車海老じゃない。だが飛び切りデカイ。しかも三尾も乗る。熱々のヘビー級海老天をガバッとかじったら、またまたビックリのお頭付き。普段は海老の頭なんて喰わないのだが、こいつは香ばしさ、バリバリ歯応え、それに綿実油の香りが実にいい。イヤな臭みは皆無なので平気で頭から喰えるのは、海老の鮮度と揚げ方のなせる技。車海老じゃないけれど、そんなのどうでもいい。お頭つきでバリバリがじってなんぼの巨大海老天三兄弟に大満足。

民宿しらい

オマエえびバーガーかっ!!

日本有数の養殖車海老の地であって、曜日、時間、数量限定の上、肝心の海老天が車海老じゃないってところが珍丼である。しかし流石に海老料理専門のお店、海老の喰わせ方を良く心得ていらっしゃる。こうなると樋口さん1枚投資してでも、新鮮車海老で喰ってみたくなるってものだ。一度、女将に交渉してみるか・・・

長門市 長七屋 喜寿し丼

喜寿し丼

伝承の味、これぞ地域に根付く食文化丼

少なくとも西日本では各地で散見される生寿し。このお店では皆に喜んで欲しいからと、敢えて喜寿しと呼ぶ。そもそもは、その地方で採れた魚を三枚に下ろし、甘酢で煮たおからを挟んで酢で〆る、いにしえから伝わる原始形の寿し。こいつを、刻み海苔を敷いた丼飯にそのまま載せた豪快丼である。地元長門の港に水揚げされた旬の魚を用いるこの喜寿し、初冬の今はイトヨリだそう。イトヨリ特有の、鮮やかなイエローピンストライプが走った喜寿しは、非常に控えめの酢味とオカラのモタッとした食感と甘味で、恐らく典型的なご当地味わい。淡酸っぱい浅めの〆やオカラの甘味と相まって、地味な中にもかなり個性的な味わい。決して食べた途端にガツンとは来ないのだが、この地域で生寿しを食べ慣れた方には、これ以上無い伝統の味わいなのだ。遠くからよく来て下さったと、一尾おまけしてくれた喜寿し丼は、デフォだと一尾乗せで500円也。今回は特別サービスなので念のため。

長七屋

イトヨリに挟まれるのはオカラの甘炊き

さほど広くは無い店だが、休日19:00は家族連れでほぼ満席状態。だけど意外にも、誰も喜寿し丼なんて注文しない。今やヒッソリと目立たぬ脇メニューのようである。だからこそこいつは、ローカル食文化として次の世代に継承して欲しいのだ。見直そう伝統の味。伝えよう伝統の味。受け継ごう伝統の味。

※本記事は、2014/11/13に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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