山口県のイケスイ5選

山口県のイケスイ5選

「イケスイ」とは、イケてるスイーツの略称。単なる見た目の美しさを越えて、歴とした味の主張を内に秘める一本背骨の通ったハイエンドスイーツのこと(ミニペディアより引用)。作り手の思いが込められた甘モノに出くわすのは、甘モノ探索の悦びである。山口県のそんなイケスイ5物件をご紹介。

更新日:2014/11/13 (2014/11/05作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる166の口コミを参考にまとめました。

山口市 田原屋本店 大内外郎

大内外郎(8本詰め合わせ)

生外郎一本槍で山口外郎の巨人に挑む、その戦い様がイケスイだ!!

山口外郎の起源は、遠く足利時代に遡る。当時、栄華を誇った大内氏が遺した山口外郎、戦後再興したメジャーブランドを豆子郎と言う。対してここは圧倒的に規模が小さく商圏も狭過ぎる。どだい大人と子どもの戦いなのだが、それでも田原屋は果敢に挑戦する。山口外郎の独特のプルルン食感は、わらび澱粉がもたらすもの。言わば水分を抑えたわらび餅、それが山口外郎。しかも田原屋の生外郎は、島根県津和野産のわらび粉を多用しており、山口外郎群の中でダントツの瑞々しい食感を誇る。それは圧倒的に違う。プルルン食感を求めるなら、田原屋の生外郎意外に選びようが無かろう。小豆、手亡豆、よもぎをベースとする、三者三様の風味もひたすら切れ味が鋭い。

田原屋 本店

この柔軟さは唯一無二

血を分けた兄貴分である巨人豆子郎に、極上生外郎一本で戦いを挑む田原屋。そのストイックな姿勢は、相当のイケスイ度である。ただ唯一の難点は、ライフタイムが極端に短い事。ベスト消費期限が製造当日となれば、この極上外郎は山口県民にしか味わえないというジレンマ。哀しき蜻蛉イケスイ。遠方へのお土産にはできぬのは何とも残念である。

山陽小野田市 ティーゲベック アップフェルシュトゥルーデル(ホイップクリーム&バニラアイス添え)

アップェルシュトゥルーデル(ホイップクリーム&バニラアイス添え)

本場ウィーンも真っ青!!本物以上に本物なアップルパイ

孤軍奮闘、田舎山口県でオーストリア菓子に拘るお店。変わり者である。しかしそのご出自を聞いて納得。ウィーンの名ケーキ店、コンディトライ・オバーラの総帥であるカール・シューマッハ氏に師事されたとのこと。アップフェルシュトルーデルとは、オーストリア随一の銘菓である、リンゴの薄皮パイ包み焼き。聞こえがいいが、要はアップルパイである。軽く温めた上でホイップクリームとバニラアイスを添えて喰うのが、正調オーストリア流儀。オーブンからお出ましのアップルパイは、何とも言えぬ香ばしさとリンゴの香気が香り立つ。余熱でジワリと溶け始めるバニラアイスをソースとし、ホイップクリームと共に口に含むその味わいは、グズグズしたウェット食感に、酸味と甘味の攻防。筆舌し難いリッチな味わい。もう参りました・・・唸るしかないのである。

ティーゲベック

アイスを溶かして喰うのがやり方

まさか山口県で、これほどのオーストリア菓子に出会おうとは。その佇まいは彼の地の本物と見紛うレベルで、もはや日本離れの境地。しかもその味わいは、本場ウィーンのベストモードより確実に旨いのだ。食べた瞬間の押寄せる快感は、思い出そうとしても忘れられない。喰って思わず笑っちゃうケーキって、実際そんなにありはしないのだ。これだけのイケスイが我が山口県に生息してるのは、これはかなり自慢していい。

周南市 PATISSIER Y.s タルト ア ラ レザン

タルト ア ラ レザン

10年ほど前、この街に突如現れた異質パティスリー。生み出されるケーキ達は、どれも目を見張るアブノーマルなアピアランス。当時はさぞそう映っただろう。今でもそのトンガリ方は健在だ。そんな中で、敢えて地味めな一個をチョイス。だがそのレシピは流石の捻り方。丁寧に3度焼きされたパートシュクレ台に、カスタードプリンの生地を流し込み、そこにブドウのコンフィを埋没させるレシピは、伝統的フランス菓子のクラフティそのものである。だが、ここのケーキはそれで終わらない。クラフティの上にモッコリ爆盛りされるメレンゲ表面には、ローストされた厚めのアーモンドスライス。その外観は、単なるクラフティには到底見えぬ。東京に生息していそうな、人気急上昇中のナチュラルホームメイド系ケーキ。その味わいもレトロスペクティブで優しい。

パティシエ ワイズ

巨大なメレンゲ上半身

判で押したような地方ケーキ群の中にあって、凝った素材と捻ったレシピによるここのケーキ達は、都市圏はおろか、東京自由が丘辺りに生息してても全然不思議じゃない。そんな佇まいに期待を持って口に含む時、毎度の事だが、今一歩説得力のある、唸る味わいじゃないのが誠に惜しい。その佇まいに過度の期待をする私が悪いのか?いや、そうじゃないだろう。もしそれが叶うなら、その時は東京で十分戦える。

光市 くるみの樹 モンブラン

モンブラン

山口県では随一の極上アレンジモンブラン

この日本離れした個性満点のアピアランスに目は釘付け。高まる味わいへの期待感。マロンクリームは和栗と洋栗がミックスされ、更にミルキーな風味がアドオンされた優しい風味と、滑らかながらマッタリとして濃厚な舌触りが素晴らしい。巷で人気の全開和栗系ではないが、今のところ山口県では図抜けてハイレベルなマロンクリームである。内部も、そのそっけない程にシンプルな外観に負けず劣らぬシンプルさ。クラッシュマロンの散ったババロアをコアとし、その下に薄めのスポンジ、ベースはきっちり甘いアーモンドタルトレット。アーモンドの控えめな風味と、セミソフトでモッチリした食感は、タルトレットとしても一級クラス。

くるみの樹

シンプル積上げ

並のジャパニーズモンブランからは相当にかけ離れてた仕上がり。栗の素材感を前面に押す、右翼系モンブランとは相容れないアレンジものだが、少なくとも山口県で喰えるどのモンブランよりも唯我独尊、孤高のポジションに立つ。それは、東京のトンガリ・モンブランとも堂々とタメを張れるくらいにコスモポリタン。それでいて、マイルドで嫌味が無い。この独特の調和感は逆説的に、ある意味日本的でもある。

柳井市 シェ・カワモト しょうゆケーキ

しょうゆケーキ

フォロワーが現れるまでが勝負と見たり!!

やまぐち美食コレクション2013。山口県商工労働部観光振興課が主催したちょっと地味なイベントであった。このお店、看板商品の甘露醤油バターケーキを引っさげて、コンテストのお菓子部門で、ぶっちぎりの堂々第一位に輝いた。このしょうゆケーキ、パッと見は取り立てて何とも評しようがない程、極々フツーのショートケーキではある。その佇まいは、街っ子風情などとは到底言い難く、もう完全にローカル住まい。一旦口に運べば、何処を食べても甘露醤油の香り。ほんのり醤油が香るなんてもんじゃない。ズドンと全身醤油風味。ダメ押しに、トップには甘露醤油ゼリーが鎮座する。もう正真正銘、メニュー名に違わぬ醤油味ケーキ。低反発スポンジの様な食感の、妙にドッシリしたスポンジも、決してハイレベルとは言えないがとにかく個性的。食べたら分かるのだが、これでいて実は結構旨い。

シェ・カワモト

醤油にバターに生クリ・・・実に合う!!

質素で地味。この町名産の甘露醤油とのコラボに賭けた乗るか反るか戦術。そんな制約の中でも、精一杯格好付けてる清貧系個性派ケーキ。決して手放しで、旨い!!とは唸れないけれど、気が付けば、好奇心一杯で楽しく喰っている。個性ってのは七難隠すのだなぁと思わされる、こいつは醤油顔イケスイ。

※本記事は、2014/11/13に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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