広島県のイケスイ5選

広島県のイケスイ5選

「イケスイ」とは、イケてるスイーツの略称。単なる見た目の美しさを越えて、歴とした味の主張を内に秘める一本背骨の通ったハイエンドスイーツのこと(ミニペディアより引用)。作り手の思いが込められた甘モノに出くわすのは、甘モノ探索の悦びである。広島県のそんなイケスイ5物件をご紹介。

更新日:2014/11/13 (2014/11/05作成)

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このまとめ記事は食べログレビュアーによる1208の口コミを参考にまとめました。

広島市 スイートキッチンananas オートンヌ

オートンヌ

バタークリーム復権の理由が分かる最先端の味

率直に言って、目を疑った。猪が徘徊しそうなこの農村に、何故に最先端バタークリーム系ケーキが生息してるのか!?極めてシンプルな積層直方体。淡いスポンジのトーンとバタークリームの蛍光彩度との対比は、華やかと言うよりもどこか儚げ。何だかひな祭りの菱餅的可愛さすら漂っている。トップに乗ったセミドライイチジクの煮詰まったべっ甲色と相まって、何気に和を感じてしまう佇まいに、一体どんな味なんだ!?と期待せずにはいられない。その期待は、一口食べた途端に驚きに。著名なスペイン産マルコナ種アーモンドを用いたスポンジ生地で、フランボワーズとカシスのバタクリを交互にサンド、これにイチジク干物をトッピングしただけの、簡素にして茶の湯的な構成。シンプルな造形の裏に、味に対する圧倒的な自信が見え隠れする。口に運べば、オリジナリティ溢れる個性的な味わい。アーモンド生地の強烈な風味と、コッテリと深い甘さが最高である。それに被ってくる、フランボとカシスのバタークリーム。ネッチリと硬めだがバンバン香るのは、バタークリームじゃないと成しえない味わい。生地とクリームがお互いに一歩も譲らないせめぎ合い。トップのイチジク干物と共に口に運べば、甘味と酸味と重みの競演は相当個性的である。プレゼンスあり過ぎ、文句無く旨い。

スイートキッチン アナナス

丁寧な仕事ぶり

ロケーションは明るい農村。味わいは唯我独尊。客に媚びない拘りと謙遜。しかもソレを、サラリとやってのける今風スマートさ。だからこそ、わざわざ街からやって来るお客さんもいれば、同じ集落のオッチャンも買いに来るのだ。東京青山辺りのハイエンド・ブティック・パティスリーに見せてやりたい、非凡なケーキ。地方だって負けてはいないのだ。

呉市 福住 フライケーキ

フライケーキ

百聞は一食にしかず、の超絶揚げ饅頭

昭和レトロな商店街脇の小さなお店。間口が狭いので見逃しそうになる程である。勿論、イートインなどできやしない。始終ジャージャーと言ってるフライヤー越しの対面販売。手渡された包み紙が、みるみる油染みて来る。包みを開けてみれば、表層にはジットリ滴る揚げ油。アチチと持つ手はみるみる油染みてきて、これだけ油浸しで大丈夫なのか!?で、食べてみたら顎外れ。何だコレ~!!さくっ、さくっ、サク~ッ!!問答無用の極上揚げスイーツ。何が立派かって、そのジトジト油の香りである。いくら菜種白絞油を使ってるって言っても、余程酸化に気を付けるか、あるいは頻繁に入替えでもしなけりゃ、ここまで油臭さを抑えきれはしまい。つまり、この揚げ油の管理こそが、このフライケーの命なのだろう。いくらジトってても、一切油っぽさを感じさせない、不思議極まりないあっさりサクッの味わいと、菜種油の香しさが、いにしえから存え続ける理由の全てである。

福住 フライケーキ

何の変哲もないが笑うほど旨し!!

一口かじって唸ってしまった。同時に笑いがこみ上げてくる。それから、今まで喰って無かった事を後悔した。因みに、ベストは買って一時間以内、遅くとも当日中には胃袋に収められたし。翌日は味がガタ落ちするので、これじゃ作り手に申し訳ない、いや失礼である。ちょっとオーバーに聞こえるかも知れんが、こいつは呉市の宝物スイーツだと言わせて貰う。

広島市 ポーラーベア ダブルコーンジェラート

ほうじ茶と竹炭きなこ

広島を代表するチープスイーツの逸品

舐めるならば、断然ダブルコーンがお勧め。フレイバーはお好みで。ちなみに下の画像は竹炭きなこ&ほうじ茶のコンビで、この時の価格は350円也。安過ぎである。竹炭きなこのセメントのような灰色、一方の相方には、ネタ的にほうじ茶をチョイス。これまた土壁のような土色である。セメントと土壁、もはや左官屋になるしかないのであって、渡されたスプーンを使ってしきりに表面をシェイブしつつ、平面を出そうと遊び舐めするのも大層楽しい。気が付けば灰色と土色の融合。これはもはや、鮮やかジェラートからは完全に落伍した、日曜大工的塗り壁アイス。我ながらナイスなチョイスだ。では、何故にこれが貧乏アイスなのか!?決してBR31の2倍のコスパを誇る廉価アイスだからではない。その訳は、その味わい。どのフレーバーも色は違えども、実は結構薄めのフレイバリングであって、原材料の牛乳と生クリームの風味がベースをガッチリ押さえている。基本はあくまで牛乳スムージー。ひときわ素な味わいを旨とするチープさ。豪華、贅沢を良しとする時流の、完全に対極。最期に残ったチープコーンの香ばしさと温かさが何とも舌に心地よい。店舗前の人だかり、休日毎度の売切れ早仕舞いも当然である。

ポーラーベア

ほとんど壁土とセメント、左官屋かぁ~!!

安くて爆盛り、なので貧乏アイスと呼んでいる。だけども気持ちは決してマルビじゃない。逆にマルキン。良い意味で、肩肘張らないチープな味わい。掬っても、舐めても、齧っても、また掬っても、中々減らないそのお山。甘いもの好きの五感を刺激してくれる、そのシンプルにしてストレートな訴求力が多くの人を魅了する。

尾道市 からさわ クリームぜんさい(ダブル)

クリームぜんさい(ダブル)


人工レトロと分かっていても、尾道だから許せるのかも・・・

小豆汁にたまごあいすが浮かんだだけの、何ともシンプル&チープなお姿。水色な淵の涼しげなガラス器、ウッドテーブルのナチュラル木肌が完全にシンクロして、ほぼ完璧な昭和美。もう一見でノックアウトされた。だから、舐めて不味い訳が無い。そりゃあ、極上の小豆でもなかろうし、禿脱のコッテリバニラでもないけれど、一さじ掬って口に含めば、旨い!!以外に言葉無し。小豆とアイスクリームのコンビネーションは、誰が考えたか知らないが、日本の偉大な発明だと信じたい。しかし、たまごあいすを1玉増して一杯430円てのはちょっと高過ぎないか?観光客が寄り付くからこその強気価格である。なお、この手作りアイス、季節によって品揃えが変わる。夏の終わりまでは、たまごあいすオンリー、その他の季節は、いちご、チョコ、抹茶、ゴマ等が揃う。ちなみに今回のたまごあいす、卵と言う割にはアッサリしたアイスクリン風。決して凝った味わいじゃあない。あくまで雰囲気を楽しむのだ。

からさわ

堪らん旨い

観光地尾道故のいっぱしの有名店。人工レトロな雰囲気の店舗は、古くは小津安二郎、新しくは大林宣彦の映画の世界観か。そこで舐めるチープな和洋世中冷菓と、観光地的な浮ついた尾道風情がガッチリ組み合った、訴求力満点の一品。唯一のネックは若干高い値付けであろうか。それでも夏の尾道デザートとして、相当お勧めしたい。

広島市 オーヴ パティシエ シンジ モリ クロヴィス

クロヴィス

高い技巧と精緻な設計は、東京ハイエンドレベル

主題は実にシンプルで完璧に揺らぎが無い円柱。上面に注がれる漆黒チョコソースは、表面張力が破綻する臨界域。その中央に鎮座するラズベリーの透けるような赤色は、見事に漆黒に映えてドキリとさせられる。本体はマダガスカル産サンビラーノカカオを用いたミルクチョコムース。中心部はカルダモンを加えたピスタチオムースで、その下には、野いちごのジャムが仕込まれる。芸が細かいのは、このムースとジャムが混ざり合わない様に、薄いスポンジで隔てられているところ。この若草色のスポンジはベースにも用いられており、カカオ色と若草色のセンス良いコントラストを創り出す。加えてその組立技術は素晴らしく、ほぼ全く歪みのない積み上げ。味わいも、サンビラーノカカオのミルクチョコムースの落ち着いたカカオ風味と、クリーミーな舌触りは素晴らしい。ピスタチオムースも一筋縄では行かぬ味わいだ。カルダモンが混ざる事で、仄かな苦味やスパイシーさが苗混ぜになった複雑味。フワフワ・サクサクした食感も個性的である。酸味、甘味、僅かな苦味、控えめなカカオの風味、これらが混ざる混然一体感。相当に複雑かつ渋い大人の味わいなのだが、唯一難を言うならば、複雑過ぎて基調となる味を感じ難いところか。

オーブ パティシエ シンジ モリ

かなり精緻な積上げ

決して冒険してる設計じゃない。アバンギャルドさは皆無で、敢えて言うならコンサバティヴ。しかしながら、その作り込みは相当に精緻で、シェフ殿の執念が伝わって来る。その味わいも、極めて都会的センスであって、今時のハイエンドケーキらしさがプンプン。ちょっとばかり、東京イデミスギノ的なニュアンスをも感じさせる一個。見た目と味わいの煮詰まり方は、広島随一のストレートど真ん中イケスイだろう。

※本記事は、2014/11/13に更新されています。内容、金額、メニュー等が現在と異なる場合がありますので、訪問の際は必ず事前に電話等でご確認ください。

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