目にも美しく、味わいも洗練された菓子 : 嘯月

【再訪】2014年12月20日9:15頃の訪問。2年10ケ月ぶり。

京都に長くお住まいの生粋の洛中の方にとっては、生活の中に馴染んだ当たり前の決まりごとというか常識のようなものがある。それらは当たり前になりすぎて、基本的に言葉にされることがなく、洛外に積極的に情報発信されることもない。その典型的な事例の1つが「菓子屋」「餅屋」「饅頭屋」の棲み分け。

お使い物にするのは菓子屋の品のみで、餅屋や饅頭屋の品は自分達が楽しむもの。もし、洛外の人間が何も知らずに京都の方に「餅屋」の品を手土産として持参したとしよう。恐らく、生粋の京都の方は何も言わない。そして、心の中で(よそさんは当たり前の決まりごとさえ知らない)と嘲笑される破目になる。だから僕自身は実は常に怖いなと思っている。京都には「言語化されない常識」というのが、そこかしこにあって、自分がどこまで分かっているのか、あるいは分かっていないのかというのをハッキリと把握することができないからだ。しかも地の京都の方の気質として、洛中のしきたりを知らぬ者を「よそさん」として、見下す傾向にあるからだ(爆)

前置きが非常に長くなったが、当店は、京都の「菓子屋」の中でも、その格において最高峰に位置づけられるお店。菓匠会に属するお店には、この2年余りの間に何店かお邪魔させて頂く機会があり、改めて当店の品を頂きたくなったのだ。

■場所：最寄駅は地下鉄の北大路。バス路線もカバーはするが京都駅からのアクセスしやすさを考えれば、北大路が一番いい。烏丸北大路の北西角を北大路沿いに西に進み、立命館小学校のある角で右折。道なりに北進し、最初の角で左折。そのままひたすら直進し、公園を越え、さらに少し進んだところ。徒歩で10分程。

■システム：完全予約制。前日までに予約をし、受取時間も指定の上で、商品を受け取りに店舗へ。

■お店の状況等：歴史を感じさせる木造建築の玄関で商品の受取りと会計を行う。この日は開店時間の9時を少しまわったところで、周囲の人通りもまばら。先客様も後客様もなし。
■購入の品
以下の上生菓子を購入し会計は1,720円。（＠430円×4）
・木がらし:紅葉の季節が過ぎ、冬の訪れを感じさせる枯れた色彩のきんとん。中は粒餡。

・朝のゆき：こし餡の入るこなし。色は薄紅というかピンクに近く、陽光を受けた雪をイメージしているのかもしれないが、名前との関係は正確には分からず。

・雪輪：白雪をイメージした薯蕷。焼き印が押されている。中はこし餡。

・初冬の香り(山茶花)：さざんかをイメージした外郎。中の白餡もピンクに色付けされている。外郎の柔らかさが特に印象的で、この日の品では一番印象に残る。

■味・総評
季節を表す菓子の見た目が麗しく、味わいはとにかく自然。保存料、添加物等、化学的なものを恐らく一切排除されているのではないかと思う。だから賞味期限は当日のみ。しかも、極力時間を置かずに食べるのがいい。

(お店の方は、予約した方の訪問時間に極力合わせて、菓子を作られているのだそう。とにかく、徹底して、出来立てを提供されようと細心の注意を払われているそうだ。)

だから、体にスッと入ってくる。驚くような美味さがあるというより、混じり気のない自然の恵みをありがたく頂いたという感覚が一番近い。改めて季節毎に伺いたいとの思いを強くした。
(2014年12月31日時点：レビュー129件。4.22/マイレビュアー様16件。4.39）
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2012年2月。おもてなしのためのお茶会を開くことになり、頭を悩ませた挙句、こちらの和菓子を選択することに。完全予約制、テイクアウトのみ、しかも全く日持ちもしないということで、制約事項がきわめて多いものの、食べログの写真では、本当に綺麗で美味しそうだったため。事前に電話で予約をし、当日の会の直前に直接店まで取りに伺いました。お店は地下鉄烏丸線の北大路駅から、迷わなければ徒歩で10分程度です。（お店に電話をすると最短ルートを丁寧に説明してくださいましたので、迷わず辿り着くことができました。）

予約の電話をした際も初めてにも関わらず、非常に丁寧で柔らかな応対。丹精込めて作り上げた商品を大事にお客に届けたいという強い意思のようなものを感じるお店でした。お勧めの生菓子を組み合わせて購入させて頂きました。1つ500円程度とかなりのお値段ですが、1つ1つを手作りしている以上、この値段でも利益はあまりないと思います。職人気質の本当に頭の下がるお店だと思いました。

見た目の美しさはもちろん、適度な甘さが口の中に広がり、あっという間に溶けていくような感覚でした。食の快感とでも言えばいいのでしょうか？拙い表現力ではあまりうまくお伝えできそうにありません。ともかく、ごちそうさまでした。