元気に京料理をいただく : 祇園 末友

末友さんに行って参りました。
花見小路から建仁寺さんを通り抜けると、南門の目の前にに灯りとのれん。
the京都!と、嬉しい気持ちがはやりますが、ここは深呼吸。落ち着いて・・・

6時に到着すると一番乗りのようす、寄付には氷柱。西日の強さにたどり着いた私たちを心づかってくれているよう。
柚子ジュースを頂き、ひとここち。
すると、店主の元気な声が……お弟子さんと最終の打ち合わせのご様子。
元気な返事も聞こえてきて、この活気もお店の持ち味ですね。

ほどなく、お座敷のカウンターに通され、一番左奥の私が一番リラックスできる席へ。
店主とおかみにご挨拶。
今回は「お連れ様」が予約時に大胆にも食べたいものをリクエストしてくれていました・・・
おかみが「リクエスト、ご用意できたようですよ」と笑顔。

飲み物はビールでスタートしました。

◇先付け
大胆に大きな蓮の葉に盛り付けられ、鮮やかな緑が目に飛び込んできます。店主の豪放な性格を表しているよう。
転じて、蓮の花びらか蓋に。美しい。
鮑の素揚げは、肝醤油のパウダー・オクラの叩き、二つの味で楽しみます。
鮑は肉厚で柔らかく、甘味も上等。
個人的にはオクラの方が好みで、オクラの清々しい香りと揚げた鮑がピッタリ。
パウダーはパフパフと口の中に広がりがちで、普通のソースのほうがいただきやすいかもしれません。
(歯にパウダーが付いていないか、ちょっと心配)

◇冷し鉢
氷の鉢に雲丹豆腐・雲丹・お醤油のジュレ
雲丹豆腐はムースのようにふんわり消えていき、雲丹の濃厚さにニュアンスが加わり絶妙でした。
ジュレはまろやかで、これだけいただいても充分美味しい。このジュレのお出汁のおいしさを頂いて、京都に来てよかったと、まず感じました。

◇八寸
御盆を池に見立てて、五山の送り火が写った様子を表していました。
こういう遊び心が素敵ですね。
ここからお薦めの冷酒を頂きました。

中でも美味しかったのが、鱧の肝の煮こごり。ふわっととろけて、後に残る鱧の浮き袋のコリコリとした食感が楽しい一品でした。
冷やし鉢の、ジュレと同じで、煮凝りのお出汁加減が絶妙です。

屋形船に盛られた、揚げた賀茂茄子に、糸南瓜と菊の酢の物も素晴らしい。
しゃきしゃきとした歯応えが生かされ、茄子のトロッとした食感にぴったり。

鯖の粽寿司も、見た目も楽しく、濃いめの酢飯とよく味が引き出された鯖がお酒によく合いました。

◇煮物椀
京都に来る楽しみはなんといっても煮物椀。こちらは期待以上に素晴らしかった！
蓋を開けた瞬間に香り立つ松茸。店主が私たちの驚く表情を見ています・・・

お椀に松茸の軸を丁寧に細く細くほぐしたものがふんわりかぶさっています。
お魚は鯒とのこと、まず、お出汁に軸を沈めてから頂きます。
葛をまとった鯒の塩加減も絶妙。
おつゆの中にも松茸が沈められ、さいた軸と、二つの食感が楽しめる、大変ぜいたくなお椀。もう、うっとりです。

◇お造り
天然の友釣り鮎　メジマグロの炙り　鯛の子

ざるにあげられた鮎は
苔緑色に輝いて元気よく跳ねています。
店主が「薫りをかぎますか？」と。「お連れ様」は薫りをかいで感想を伝えていましたが、私は鼻に飛び付いてきそうなので遠慮。
そのぐらい生きがいいのです。

見て美しい鮎様方が目の前で捌かれていきます。氷の入った鉢にひときれづつ入れていく、丁寧な仕事ぶりは思わず見入ってしまいます。
鮎も二種類の食べ方で供されました。
軽く炙られたものは、鮎の肝醤油を凍らせてパウダーにしたもので頂きます!!
炙り立てのほのかに残る温かさと、すっと溶けていく淡雪のようなパウダーが口の中で一体に。

もう一種はしめたそのままを肝醤油にあえてありました。
こちらはストレートに鮎の歯ごたえを楽しめる一品。甲乙つけがたい・・

メジマグロの藁やきは、藁の薫りは強いものの、旨味は今一つ。
カウンター脇で焼き上げるパフォーマンスも少し煙すぎました(笑)

◇口直し
桃のピューレ。そのまま美味しい桃が凝縮され、山椒がアクセントに。

◇焼き物
太刀魚の柚庵焼
これは…残念かも…。カウンター脇で若い方が焼いてくださいましたが、皮がべちゃっとして、油が流れている感じ。
太刀魚を焼くのは難しいですね・・私は苦手でした。

◇湯桶
鱧しゃぶ　睡蓮菜　梅醤油

店主が目の前でテンポよく骨切りを披露してくださり、湯桶と供に供されます。
すべてに演出が素敵です。
お出しで15秒しゃぶしゃぶしてくださいとのこと。綺麗に花が開いたところで頂きます。
梅醤油、大変おいしく、鱧しゃぶのつけダレにも一切手抜きがありません。
鱧も美味しかったのですが、他所で頂いた鱧しゃぶに較べると、甘味、旨味、ふんわり感が今一つ。希に骨があたるのも気になりました。

睡蓮菜は初めていただきました。しゃきしゃきと、とても楽しく手に入れてみたいお野菜です。
鱧を食べ終わった後、梅醤油を湯桶に残ったお出しで割って頂くのがとても美味しくて、ひと桶飲んでしまいそう。

◇ご飯
大きな土鍋炊きのタコの炊き込みご飯
花山椒が炊き込まれ良い香り。
蓋を開けて炊きあがりを見せてくださいましたが、これ全部私たち二人の分!!
一膳頂くと、あとは折りに詰めて下さるとのこと。

◇デザート
葛切り　もう、おなか一杯です。

全部で８席のカウンターに、確認できたお弟子さんが3人、中居さんが3人、女将さんがいらっしゃり、
賑やかなワイワイしている印象。私は心地よかったです。
外に出ると、いつの間にか店主が待っていて下さり、最後まで見送ってくださいました。
楽しく、絶好のロケーションでもあり、機会があればまた伺いたいと思います。
ごちそうさまでした。