駅ビル同様、混沌としている : 京都和久傳

今回はとある事情で夜の予約を急遽昼に変更しての訪店。
相変わらず満席で、予約していても入口で待たされます。
仕切っているのはいつもの美人店員さん。
ホテルマン並みの物腰と口調で、彼女に言われたら誰でも従ってしまいます。
彼女いわく”鮎饅頭は女性に人気なんですよ”
鮎饅頭？？
想像もつきません。
席も当初は板さんのいるカウンター前の席の予定が、一番奥の外の見えるカウンターにしてくださった。さすがです。
まずはしそジュース。
隣の外人さんにも店員さんが”シソジュース”と言ってました。しそは英語なんですね。
鰆のたたき、あわびと冬瓜の椀物、焼き鱧、茎物野菜と続き、いよいよ鮎饅頭です。
焼いた鮎の骨を抜き、身だけをもち米で包んだ一品でした。
よくこんなものを考えますなあ。手間がかかっていますし、焼いてすぐに包まないと鮎が冷えてしまいます。
しかし、手間のわりに、お味は今一つ…。
焚き物、黒寿司、最後は西湖ではなくわらび餅でした。
1万円のコースですが、結構お腹がふくれます。
お客さんはやはり年配が多く、土曜の昼だけに4～5人のグループ客が大半です。
お手軽な和久傳に満足です。

（下記は2011年8月のブログです）
孫の写真が飾られているとの由で、伊勢丹百貨店京都店へ。写真をちら見した後、同じ11階のフロアーのレストラン街に。
有名な和久傳があり訪店する。
入口で外人とすれ違い、国際観光都市であることを実感する。
奥のカウンター席に案内される。隣には3名の親子が歓談している。カウンターはそう10mくらいで席も接しており、隣の会話が丸聞こえである。

料理は7品か9品かを選ぶことになり、9品の紅花なるコースをお願いする。
運転して帰らねばならずアルコールは断念する。

まずは水出し玉露。　
冷たくて渋甘く美味しい。

先付は新さんまのカルパッチョ。　
さんまはもちろんほどよい脂で、酢の加減も素晴らしく、こりゃあ期待できそう。
和久傳自慢の竹酒を食前酒としてちょびっと飲ませてくれる。
おお辛口だあ。

椀物は鱧と早生の松茸のお吸い物。
関西風のかつおと昆布だしに松茸。最強のトリオです。しかも松茸の大きいこと大きいこと。妻いわく”これだけで5000円するわ”。鱧は身も厚くて美味しい。しかし松茸は外見だけで身はスカスカ。本当に国産なのか？

鰆の薄造り。
きゅうり、わさび、大根おろし、海藻が添えられており、これを適宜鰆で巻いていただくのであろう。まあ、普通に美味しいが、問題は鰆。薄く切ったたまえに身がぼろぼろ。とても高級京懐石に出せる外観ではない。鰆は薄造りには絶対向いていない。
和久傳ともあろうものがよくもまあ、出せたなあ。ちなみにHPでは”ハタの薄造り”の写真が掲載されている。そりゃあ、ハタやクエの方が身がしっかりしてしかも美味しいだろう。仕入れできなかったのか、切らしたのか…。

魚の焼物は鮎か太刀魚と。私は太刀魚にしたが、感激なし。

鱧のしょう油焼きのにぎり。
面白い。前にはナスが同じような形で置かれている。興をそそる演出である。
こんな料理は生まれて初めて。
しゃりは和久傳大好き黒寿し。
鱧もうまく焼いて、しょう油も馴染んでおり、なかなか他ではない味で、よかった。強いて言えばアナゴのあっさり版か。

揚物はなんとコーンのかき揚げ。
家庭料理である。妻いわく”きっと冷凍じゃなく生のコーンよ”
どうでもいい感じ。

冬瓜とカニ　スッポンの煮こごりの冷製ジュレかけ。
うまい！今回で一番の秀作。
冬瓜は冷たくやや硬く、煮こごりが実に美味しい。ただ、悲しいかな、スッポンの味を元々知らないので、スッポンと言われても…。でも、煮こごりに混ぜられた関西風出汁がこれまた美味しい。

ご飯も選択で、私は和久傳スペシャリテの鯛の黒寿し。妻は鱧茶漬け。なんと今日3種目鱧料理。
以前にお弁当でいただいた鯛の黒寿しとはもちろん雲泥の差。鯛の美味しいこと。でも寿司飯が薄くて、しかももち米風になって皿からきれいに食べるのに一苦労。
鱧茶漬けもめちゃくちゃ美味しい。うな茶漬けとはまた一味違った良さである。

デザートは白桃とかぼちゃぜんざい。両方とも甘い甘い。
後で来る抹茶の添え物としての甘さなのであろう。
そうそう、ぜんざいの中に大好きな西湖が入っている。通にはわかる。おしゃれというか、京都人のいけずというか。

料理に凸凹があるが、でもさすがは和久傳です。
目の前には京都タワーが見える夜景もいいですよ。
ただ、隣が近すぎて、隣の会話よりメニューが気になるのは私だけでしょうか？