蕎麦の名店を居酒屋使い！ : 蕎房 猪口屋

神楽坂の名店「蕎楽亭」で修行された方が、独立して、４年程前に茅ケ崎にオープンしたお蕎麦屋さんです。
当初は茅ヶ崎の西端の柳島に店を構えていましたが、昨年秋に、現在の一中前に移転。
オープン当初から評判が高く、柳島当時から一度伺ってみたいと思っていましたが、ようやく、この日、初訪問を果たしました。

新しいお店は、茅ヶ崎第一中学のまん前で、以前、和菓子屋の「冨士美」があった場所。
中を改装して使用しているようです。
一中通りでも、海岸寄りの場所なので、茅ヶ崎駅南口から歩くにはかなり遠いですが、店の裏に３台分、店のすぐ傍に４台分の駐車場が用意されています。

最初の訪問と言う事で、ランチで様子見するか、夜に伺うか迷いましたが、此方は蕎麦以外の料理も充実しているようなので、夜の部の開店時間と同時の１８：００に予約を入れて伺って来ました。
我々が一番乗りでしたが、ほぼ同時に店を訪れた方が断られていたので、夜の部は、開店前に全て予約で埋まっているようでした。

店内は広過ぎず、狭過ぎず、調度良い広さ。
奥行きのあるコの字型の白木のカウンター席を中心に、窓に面してテーブル席が３つ程ありますが、カウンター席とテーブル席の間もゆったりしたスペースが取られているので、開放感があります。

カウンター席の一番奥の席に案内されました。
隅の席なので、落ち着いて食事が出来るし、料理しているご主人やスタッフの動きをま近で見る事も出来る良い席でした。

生ビールで喉を潤しながらMENUをチェック。
どう言う流れで攻めようかと、暫し思案。
ちょっと食べ過ぎの気もしましたが、出汁巻き玉子、馬刺し、鯛の昆布〆、天麩羅盛合わせで呑んで、蕎麦・うどんの相盛りで〆る作戦で行く事に決定。
トウモロコシ天麩羅、ハマグリ天麩羅にも惹かれましたが、天麩羅盛合わせに入っている可能性もあるので、結果を見て追加オーダーする事に・・・。

■お通し（茶碗蒸し）200円

優しい出汁が効いた小さな茶碗蒸し。
具はなく、梅がトッピング。お通しのレベルを超えた味わいでした。

■出汁巻き玉子（700円）

火が通り過ぎず、かと言ってトロトロ過ぎない絶妙な弾力感で、上品な出汁がじゅわ～と浸みた甘さを抑えた大人の味。
伊勢原の寿雀卵を使用と書かれていました。
お弟子さんが焼いた100円安い「でし巻き玉子」と言う洒落の効いたMENUもありましたが、これは次回と言う事に・・・。

■馬刺し（900円）

会津産の馬刺しで、珍しい赤身肉の馬刺しでした。
癖がなく肉質は柔らか、ニンニク味噌が良く合います。

■鯛の昆布〆（650円）

自分がイメージしていた鯛の昆布〆とは全く別物でした。
鯛に上品な出汁をかけた冷汁のような一品でした。

■天麩羅盛合わせ（2000円）

内容は、才巻き海老×３、アナゴ×２、舞茸、カボチャ、ズッキーニ、シシトウと充実の内容。
素材は新鮮、衣は薄く、軽やかでサクサク食感の天麩羅は、ちょっとした天麩羅屋で戴くレベルに近く、いと美味し！
そして、天麩羅のタレがとても美味しくて、普段は塩で食べる事が多い自分ですが、この日は殆どのタネをタレで戴きました。

■トウモロコシ天麩羅（600円）

残念ながら、天麩羅盛合わせに入っていなかったので、追加でオーダー。
絶対美味いと思って注文しましたが、想像通り、甘くて、瑞々しくて、超美味でした。

■ハマグリ天麩羅（740円）

大好物のハマグリ、美味しいに決まっています。
殻のまま揚げているので、注意して食べないと焼けどします。

■鴨汁蕎麦・うどん相盛り（1400円）

つけ汁には、刻み鴨とたっぷりの茄子が浮かんでおり、辛口のしっかりした味。
この鴨汁蕎麦、とても美味しいです。

■蕎麦・うどん相盛り（1000円）

つけ汁は、蕎麦用とうどん用で別々に用意されます。
蕎麦用のつけ汁は、甘さを排したきりっとした辛口で、もろ好みの味。
うどん用は、やや薄口。

蕎麦は挽きぐるみで黒味掛かっていますが、アクはなく、すっきりした味わい。
香りはあまり感じられませんでしたが、喉越し、コシ、旨みはバッチリで美味しく戴きました。
（正直、そんなに蕎麦の味が分かる舌は持っていないのですが、自分の為の備忘録として記述・・・）
そして十割蕎麦なのに、ぼそぼそ感が全くない。
ご主人に玄蕎麦の産地を尋ねたところ、山形産との事でした。

うどんは、細めで稲庭うどんのよう。　
こちらもコシがあり、喉越しも良く、とても美味しかったです。

そして、蕎麦湯ですが、蕎麦だけの茹で汁で、これほどのトロトロ感が出るものなのか？
うどんの茹で汁も加えているのかな？と思う程の白濁感でした。

アルコールは、生ビールの後に焼酎（やまねこ）を、そして最後は自分には珍しく日本酒を戴きました。
名前の美しさに惹かれて、「花陽浴（はなあび）」と言うお酒です。

４年越しの願いが叶った初訪問の店でしたが、蕎麦・うどんの美味さは言うまでも無く、酒の肴も充実しており、店の設え、使われている器類のセンスの良さ等、評判に違わぬ名店でした。
そして、凛とした気品を保ちながらも、住宅街のお蕎麦屋らしい親しみやすさも併せ持ったバランスも絶妙で、自分としては、完全にツボでした。

余談ですが、お店に伺う少し前に、同じ一中通りにある「スポーティフ」に寄ったら、店の前の横断歩道で徳光アナが自転車で信号待ちしていました。
お店に関係ない話ですみません。