時間って贅沢 : 天空の森

近くを訪問する機会に恵まれました。

福岡から飛行機で鹿児島へは45分、サーブ（かな？）のプロペラ機で
ぶい～んとひとっ飛びです。
今年はこのサーブに乗る機会が非常に多かったです。

鹿児島空港からは送迎があり、木のプレートを持った方が待っていてくださいました。
茶畑を越え、ふらっと停まった崖のような所が入口で、そこからはカートでの移動です。

とっても手入れが行き届いている森を抜けると合鴨ちゃんが浮かんでいるお池があり
そちらの傍のテーブルでチェックイン。そのあとまた更に登っていきます。

今回の宿泊するヴィラは天空。他にもさまざまな名前の付いたヴィラがあります。
基本的には宿泊用とデイユース用とヴィラがあるのですが、狭くてもよければ
デイユース棟に宿泊することも可能とのことです。（その方が格段に安いかも）
基本的に宿泊用のヴィラは寝室とダイニングが別棟になっています。
また、ヴィラの敷地内にはいずれも菜園があり、「ご自由に」とおっしゃる通り
勝手に取って食べても良いそうです。

確かに、一泊で20万もするのでさぞかしお料理は・・・と期待するかもしれません。
宿泊代を差し引くと10ン万のお料理かな？・・・と考えると、期待はずれな部分は大きいと思われます。
多分、宿泊費と食事代の比率が思っている以上に違うのでしょうね。

前菜の盛り合わせ、地鶏のお刺身、アラのポアレ地野菜添えとか、
他の方とメニューはほとんど変わりません。
最近始めたという、お野菜しゃぶしゃぶは、取ったばかりのお野菜がみずみずしく
「野菜が」おいしかったです。
採って洗って輸送されてから店頭に並んでいるお野菜とは全く違う味。
最後にちゃんぽん麺で〆たのですが、お野菜のしゃぶしゃぶだけで
結構満足だったかも。

ただし。

ただしです。

都内近郊の農家カフェみたいなところであれば、2名で1万円払えば
おつりがくるのかもしれません。

でも、このフィーはお食事だけにかかっているものではないのでは、と感じました。
満天の星空、おいしい空気、後ろに霧島連山。敷地内の森の手入れで切り倒した
樹木を使って作られている調度品。

高台を手入れして作られているヴィラは通常の別荘として作れば
かなりの額に届くはずです。

ワインを持ち込むと抜栓料が2千円かかります。
ちなみにリストは充実してはいません。ちょっと割高かな。

ちょうど伺った時期は、ふたご座流星群がよく見える日だったので
お食事中にもはしたなく、離席をして「まだかな～」とダイニングのお外を
ぐるぐるしておりました。
食事後、夜空を見るためにダイニング横の露天風呂に。
流れ星を見ながらの入浴は2時間を優に超えておりました。

朝食のお野菜は、烏骨鶏の温泉卵と間引き野菜。三種類のドレッシング
（黒酢・マスタード・ノンオイル）からお好きなものを。
ドリンクは法蓮草と林檎、お豆腐とフルーツ。あとはコーヒー。

朝食はサラダがメインで、ちょこっと焼きたてのベーコンが付くのですが
このサラダが素朴だけれども素晴らしかったです。
採りたてのお野菜、みずみずしい大地の恵みをいただいているという感じが
強く伝わってきました。
かすかに感じるえぐみや苦みも、口に広がる野菜の水分で満ち足りたものに変わります。

帰りにいただいた、沢山の採りたてお野菜のお土産、野菜ブーケ、ハーフシャンパンにカップケーキ。
手渡しで頂いた封筒には思わず微笑むメッセージが。

東京ではなかなか持てない静寂の時間。日が沈むと辺りが当たり前に真っ暗になり、
朝は日が昇ると穏やかに辺りに光が広がっていく光景。
夜空には　星・星・☆。早朝にこれでもか！と広がるきれいな朝焼け。
今度訪れるときには、マイ望遠鏡を持ってくることを宣言しました。

意外にも家族連れでの利用も多いとのこと。夏は昆虫採集とかおとーさんとおかーさんと
一緒にゆっくりお風呂に入って、という事なのかもしれません。

出立する前に感じたのは、お料理に対しての不服でもなんでもなく、
何もない時間を過ごすことの贅沢さ。

1分1分、いつもはあっという間に過ぎている時というものが、
着実に刻んでいるんだという大切さと、日々何気なく口にしている野菜も、
大切な命なんだなとあらためて気付くことができました。

他の方もおっしゃっておりましたが、食べログの観点からいうと
評点は決して高くないし、範疇からもそれるお宿かもしれません。

でも、このロケーションで過ごす時間は心にきっと残るはずです。