比内地鶏の串焼や、郷土料理「だまこ汁」に舌鼓！ メニューも豊富で、総合的に高評価。 : 酒季亭 比内や 秋田店

［秋田市］
2014/2/15（土）
繁華街・川反（かわばた）にある、比内地鶏がウリの居酒屋さん。

ダウンのフードを目深にかぶり、凍てつく風を避けながら、繁華街を進む。
ここは武家町から見て、川の反対側にあったから「川反」と名付けられたらしい。

そのメイン通りから、すずらん通りと呼ばれる脇道に入り、終点左手2階にお店がある。
ちょうど「赤レンガ郷土館」の、はす向かいにあたる。

階段を上って暖かい店内に入り、靴を脱ぎ、さらにダウンを脱ぐ。
カウンター10席、4人掛けの小上がりが少なくとも6卓。

この日はグループのお客さんばかりだったが、
カウンターがあるので、一人でも大丈夫な感じだ。

カウンター下は掘りごたつ、しかもヒートカーペットで暖められている。
雪風に凍った足には、とても有り難い。

お店の公式写真としてアップされている、あきたこまちの美人さんがお通しを出して下さる。
写真以上のクールビューティーだ。めちゃんこ色白。

ファーストオーダーよりも、お通しの方が先に出てくる。
鶏もも肉の煮凝りは、しっかりとした肉の噛み応え、肉の旨味が感じられる。

----------------------------------------
■「由利正宗」大吟醸（￥950）
日本酒は、竹筒での提供。この演出がイイネ。
するりと入る大吟醸。気のせいか、量もたっぷりで満足！

----------------------------------------
■とんぶりとろろ（￥470）
今回旅行するまで知らなかったが、とんぶりは秋田の特産品である。
元は生薬として用いられたが、1980年頃から「畑のキャビア」として売り出された植物の実。

山芋とろろ・わさびと、よくかき混ぜていただく。
わさびのツンとした香りが効いて、プチプチとしたとんぶりの食感が活きる一品。

----------------------------------------
■秋田のがっこ盛り合わせ（￥500）
秋田というと、スモークした（燻した）大根の漬物＝いぶりがっこがとても有名。
そもそも「がっこ」とは漬物のこと。

生鮮食品が途絶する厳しい冬、それを乗り切るための生きる知恵。
この国には、美味しい漬物文化がある。

王者のいぶりがっこは、鼻に抜けるスモーキーな風味と、パリパリと快い歯触りがたまらない。
ピリッと辛口のゆず大根、白菜・大根・わさびの効いたきゅうりが、脇を固める。

珍しいのが「ちょろぎ」。
長老木などと当て字され、縁起物としておせち料理では見掛けるが、
それ以外ではほとんど出会うことのない植物だ。

ちょろぎの漬物、実は秋田名産ということらしい。
紫蘇漬けだろうか、甘酸っぱくカリカリして爽やか美味しい。

----------------------------------------
■蟹場の酒・しぼりたて生（￥700）
蟹場は「がにば」と読み、乳頭温泉郷にある秘湯の名。
ごく薄濁り、透き通ったアルコール感。

----------------------------------------
■比内地鶏正肉（1本￥330）
名古屋コーチン・薩摩地鶏と並び、日本三大地鶏として誉高い比内地鳥。
そのねぎま、見た目からして美味しそうな期待を持たせてくれる。

塩の振り方は薄く、鶏肉の跳ね返るような肉質を堪能できる。
添えられたにんにく味噌が、風味豊か。
皮もぷりぷりで、七味をつけても旨い。

----------------------------------------
■つくね棒・比内地鶏卵つき（1本￥390）
串が熱くて、正真正銘の焼きたて。
甘いタレの香りが、食欲をそそる。
絡まる黄身が、とっても濃厚！

ここで、はたはた塩魚汁（しょっつる）鍋を注文したが、
生ハタハタの時期が終わってしまい、今年は終売とのこと。残念。
11～12月頃が旬で、生が食べられるのは 1月頃までだとか。

----------------------------------------
■比内地鶏だまこ鍋（￥1680）
きりたんぽ鍋の原型だという「だまこ鍋」。
見た目の通り、ごはんを丸めたものを、比内地鶏のスープに浸していただく。
（この店のごはんは軽く炙られているが、昔ながらのだまこ鍋は炙らないようだ）

生の状態から、一人前をホットプレートで加熱。
具は舞茸、ねぎ、ごぼう、糸こんにゃく、春菊、比内地鶏、だまこ。
沸騰してきたら、だまこと比内地鶏をひっくり返し、火が通ったら出来上がり！

まずはスープをひとすすり。
具材すべての香りと甘み、旨味を受け止める、このスープの懐の深さ！

だまこは餅や団子と違い、米の一粒ひと粒が立っていて、自然な甘さが際立つ。
舞茸やセリは素材の香りを失わず、それぞれにいい仕事をしている。

そして鍋に入っても、本来の香りを失わない比内地鶏。この実力は本物だ。
皮も入って、適度な脂とコクをスープに加えている。

すべての具材が個性を発揮しつつ、ひとつにまとまる鍋の素晴らしさよ。
あまりの美味しさに、スープまでごっそり飲み干してしまった！

かなりの量だが、ホットプレートのおかげで、
最後までアツアツを楽しめる。
----------------------------------------

気になっていた「ぱりぱりとり茶漬け」、稲庭うどんまでは、
残念ながらたどり着けなかった。

酔っ払ったとみるや、チェイサーを出してくれたり、気が利く美人店員さんも素晴らしい。
一品一品が美味しい、実力店である。