ラーメン店再生 : とんこつらーめん ひかり

★人気絶頂のまま、人手不足等が原因で閉店されました。
濃厚豚骨スープを維持していくのは大変な仕事のようです。

このお店が営業を再開したとき、実をいうと少し驚いた。
以前にレビューを投稿したのは2008年3月。
ところが、その後しばらくするとシャッターが閉まったままになった。
てっきり閉店したものと思ったので、閉店処理の手続きをとった。

その頃は人に任せていたが、事情によりやむなく休業したのだそうだ。
今度はオーナー自らが厨房に立ち、2010年3月5日リニューアルオープン。
実はラーメン作りの経験がなく、以前のレシピも残っていなかった。
製麺機の会社が主催するラーメン学校に学び、開店に漕ぎ着けたとのこと。

再開店した当初はカウンター９席のみだった。
入口の左手にあったテーブル席は一旦取り払ってしまった。
そこに券売機が設置され、待合いスペースになった。
その後、券売機の奥にテーブルが２卓増設された。
最近さらにテーブル席が増えて、店内の配置が変わった。
食券の販売機は、入口のすぐ左側へ移動している。

ど・とんこつ(670円)
名前の通りの、直球勝負の豚骨白湯。
ちょっとどろりとした、まろやかで旨味十分なスープ。
脂で唇がぬらぬらしてくる。
いやな臭みではない、豚骨の匂いはそれなりに感じる。
注文のたびに炙るチャーシューは焦げ目が香ばしく、しっかりした味。
細く刻んだ木耳がザクザクとした歯触りで非常に心地よい。
お約束通りの低加水細麺。当然ながらスープの絡みは良好。
「ハリガネ5秒・バリカタ10秒・カタ17秒・ナミ25秒・ヤワ45秒」
私にはハリガネはさすがに硬すぎで、バリカタかカタがいいかな。
お店推奨のカタでも十分にさっくりとした歯触りが楽しめる。
保存料の使用を避けるために、製麺機で自家製にしたのだそうだ。
麺はやや軽めの110ｇ。替え玉することを考えるとこんなものかな。
しかし、替え玉すると私にはちょっと多い。
何でも５回替え玉した強者がいるそうだ。すぐ近くに大学があるからかな。
替え玉(100円)は現金でも注文可。

ひかりらーめん(730円)
「ど・とんこつ」の豚骨白湯スープに魚介出汁を調合したスープ。
どっしりした豚骨の脂や旨味に負けない、しっかりした魚介風味。
こちらはやや加水率が高く、中太というより中細で手もみの縮れ麺。
なかなかよい弾力で、味の絡みも悪くなく、好印象の麺。
自家製麺にこだわっているのが好結果になっている。
チャーシュー(焦がし醤油が垂らしてある)・木耳のほか、煮卵半分と海苔。
煮卵は結構しっかり味がついていて、黄身がとろとろ。湯煎して温める。
店名を冠する、このお店を代表するまとまりのいいラーメン。
私にはこれが一番いいかな。
現在はこちらも麺の固さが指定できる(カタ・ナミ・ヤワ)

タンメン(700円)
麺の上に炒めたキャベツ・もやし・玉ネギなどの野菜がどっさりのっている。
その割に小さな丼に入っているので、ちょっと食べにくい。
自家製の細めのストレート麺、歯触りがよく、食感は申し分なし。
最後までもってくれるか心配したが、ちゃんともってくれた。
ちょっと長すぎるのが気にはなったが、スープとのバランスはいいな。
この店では最もあっさりした、澄んだ塩味のスープ。
そこへ野菜の風味が出ているのがタンメンの魅力。
野菜(特に玉ネギかな)の甘みも出ているようで、そこがやや気になった。
辛いペーストや胡椒でそれを引き締めているのかな････
横浜でよく食べた、平打ち麺のタンメンが懐かしい。

醤油らーめん(730円)
このお店の定番メニューでは後発で、最もあっさりしたメニュー。
清んだ醤油味のスープは動物系の出汁で、背脂が浮いている。
旨味は結構たっぷり、ほのかに自然な甘味も感じる。
中細のストレート麺は多分「たんめん」と同じ。
しゃきっとした歯触りで、これもスープに合っていると思う。
トッピングは大きなチャーシュー、メンマ、味玉、海苔、刻み葱。
このお店の代表メニューはやはり「ど・とんこつ」か「ひかりらーめん」
でも、あっさりしたラーメンがお好きな方にはこれもいいんじゃないかな。

新顔の定番メニューしゃび・とんこつ(670円)
「濃厚ど・とんこつ」と「しゃび・とんこつ」が新登場。
これで、とんこつの濃さは4段階に。
（濃厚→ど・とんこつ→び・とんこつ→しゃび・とんこつ）
長浜系とんこつを進化させたという「しゃび・とんこつ」
確かに色が違う。ちょっとだけ透明感すらある。
その分、脂が軽く、匂いも軽め。でも、旨味はちゃんと感じる。
歳のせいか脂が苦手になってきた私でも、これなら大丈夫。
今後、これを注文する機会が増えそうだな。
このお店の細麺は美味しいと思うし、トッピングの出来もいい。
薬味がいろいろ用意してあって、味を変えていくのも楽しい。
このお店のとんこつを楽しみたいが、臭みや脂が苦手な方にはこれがおすすめ。

週末限定の仮二郎(680円)現在は終了
いわゆる「二郎インスパイア」メニュー
仮店長が作る「二郎系」だから「仮二郎」
太麺300ｇの上にうずたかく積み上げられたキャベツともやし
並盛でも合計で700ｇ、マシで1200ｇ、マシマシだと1500ｇとか。
二郎系としてはややあっさりめの澄んだスープ。
やはりニンニクありの方がいい。
食べ応えのある太麺と野菜をがしがし食べる。
食べ終わるとあまりの満腹に後悔するが、しばらくするとまた食べたくなる。

にぼ豚(750円)週末限定メニュー、現在は終了。
濃厚な煮干し出汁と豚骨スープを合わせてある。
煮干し出汁が濃厚で、旨みが強いが煮干しのクセも出ている。
好みが分かれそうだが、はまりそうな魅力も十分。
小さな煮干しがチャーシューや卵に突き刺して立ててある。
なんだかお茶目、仮店長の面目躍如。

つけラーメン(780円)季節限定、現在は終了
麺の量が１玉か２玉、ご飯をつけるかどうかを選ぶ。
ご飯なしで２玉と注文したら、私には多過ぎた。
ストレート細麺を冷たくしめてあり、ぶつっとした食感を楽しめる。
冷たいつけ汁は魚介の香りがして、かすかにピリ辛のあっさりした味。
これで汁にわずかに油が浮いていなければ、まるでそうめん。
でも、やっぱりどことなくラーメンだな。
トッピングはチャーシュー・唐揚げ・メンマ・味玉半個・刻みネギ
その他に生卵がつく。卵と残ったつけ汁をご飯にかけていただく。
ご飯なしの時には、途中で卵をつけ汁に投入して味を変えるのもいい。

毎週火曜日は「気まぐれメニュー」の日。
この日だけの限定メニューが登場する。しかも毎回異なる。
これがなかなか楽しい。たびたび通い、随分色々といただいた。
印象に残って、もう一度食べてみたいと思うものもいくつかある。

ある火曜日の気まぐれメニューつけヨーロピアン
３色の平打ち太麺に、つけ汁はなんとビシソワーズ。
これじゃまるでパスタだな。
とんこつラーメン屋で出すものとは思えない珍品。
さすがに「また作ってね」とは言わないから、仮店長安心していいよ。
遊び心豊かな、本当におもしろいお店だ。

明るく小気味よい対応は、心がこもっている。
大声を張り上げなくても、ちゃんと客には伝わるものだと思う。
一杯一杯のラーメンを丁寧に作っている、気持ちのよいお店。