「たいわん」は台湾ラーメンにあらず : ラーメン専門店 徳川町 如水

2015/3/7 ランチタイム

(2015セレクション)

副題「"DC"は、楽譜記号でも歌手でもアニメでも、ましてやエロゲーでもない」

☆☆☆

かなり有名なラーメン屋みたいで、大阪に住むラーメンマニアも絶賛しているこのお店、長く名古屋に住んでいるにもかかわらず、その存在すら知りませんでした。まあ、大阪に移り住んで初めて"ラーメン道"に目覚めたというか、入門したので、情報がやっと入ってきて、意識したという感じです。

ということで、今回は昼呑みモードを諦めて、自宅から車で来店しました。店の裏に専用駐車場がありそうでしたがどうせいっぱいだろうし、単独行なので駐車場待ちすると、待ち時間が加算される結果になるので諦め、少し先にあるコインパーキングに停めました。こういう時、連れがいると店内待ちと駐車場待ちが並行して出来て効率的なんでしょうけど、この時は孤独なオヤジだったのです。

まあ、中には上から目線的な人気店もあり、「グループの方は全員揃ってからお並びください」と堂々と掲示しているケースもあったりしますが、じゃあグループって何人以上なの？と、定義を聞きたい気分になります。

・2人もグループなのか？
・グループのデメリットがある代わりに、団体割引は用意しているのか？

などと余計なことを妄想してしまいます。決してこの店の話ではありませんので、ご安心ください。逆に、この店は「名古屋流おもてなし対応」しているようで、待ち席が実際の席数以上に店内に用意されているのです。

というか、この店の最大の特徴が店内のレイアウトなのです。

まず、席はL字カウンターのみで厨房をぐるりと囲んでいます。というか、正方形に近い店内をカウンターが、客側と厨房側を仕切っているのですが、その間にはカウンターしかなく、厨房全体が客から一望できるのです。これはある意味シンプルかつ大胆なレイアウトです。調理シーンの全てが見えるのです。そこに隠された何かはありません。

そして、カウンターに座った客のちょうど背中側に、カウンター席を観察すべく形で、ずらりと待ち席が用意されているのです。よほど混みあわない限り、店外待ちは発生しないほどの用意周到さです。実は、この一種の"おもてなし"がアダになることもあり、初回にしていきなり実際に経験してしまいました。

当初、客の回転は悪くなく、待ち席の最後尾(待ち客は15人ほど)に座った私は、食べ終わった客の人数に合わせて、徐々に席を移動して行きました。どんどん先頭に向かってシフトしていくわけですね。まあ、これはこれで楽しいというか奇妙な光景と言うか、独特のものですが、まあ規模の大小はありますが、他店でもありそうな仕組みではあります。

さて、そうこうするうちに待ち客の3番目になりました。

(あっと３人、あっと３人)

まるで、野球スタンドに座っている最終回の勝ちチームの応援団みたいな心境でした。ずっとカウンター席の後ろで待っているわけですから、自然に「次は誰が食べ終わるのか」と言うことがだいたい推測が出来てしまいます。誰だって早く食べたいわけですから、これはもう食欲という本能の為せるワザで、ほとんどの人は自然にやってるのではないかと思うのです。たまに素直なおガキ様が「あ、この人、もうすぐ食べ終わるよね？」などと指を差しちゃうこともありそうです。

私は指こそ指しませんでしたが(あたりまえだがね)、私の目線は、目の前のカウンター席に横並びに座って食べている、男子中学生(DC)3人組の背中にしっかり刺さっていたのです。

二人が食べ終わりました。同時に食べ始めたであろうから、残る1人もそろそろ、、、、

(おいおい全然減ってないぞ！？)

下を向いたまま箸が全然進まないDC一人、う〜ん、元々食べるのが遅いのか、それとも体調が悪いのか、はたまたラーメンが好きではなく無理やり付き合わされたのか。とにかく異常に食べるのが遅く、しかも食べ終わった二人のDCは、彼の存在を無視して黙って座っているだけなのです。会話もなく、スマホも触っていないのです。ただただじっと座っているだけなのです。

この光景は、待ち席の半分以上の客が背後から見ていたはずです。結局、彼らが３人揃って席を立ち、それぞれ精算して店を出るまで、誰も何も言わなかったのです。いや、出て行ったあとも、何事もなかったように席を移動する作業だけが続けられたのです。

あれはなんだったんでしょうか？ 気の利いた大人なら、残る一人に「先に出とるわ」と声を掛けて、席を空けるでしょう。混んでいるお店はそういう雰囲気なのです。食べ終わって5分以上、待ち客の視線(それも痛いほどの)を浴び続けるなんて、例えば「視線量計」みたいなのがあったら、許容量を超えてアラームが鳴っていることでしょう。

店内に待ち席を用意することが、"おもてなし"になる(客のためになる)とは言えない、という実例でした。

ということで、やっと食べた「如水流たいわん」は、名前や見かけなどからの予想に反して、全く辛くなくマイルドなラーメンでした。まあ、それはそれでもいいのですが、辛味調味料でもあればまた違ってたかも、と思いました。