こじんまりと、隠れ家的なお店 : 芋んちゅ 金山店

金山駅の北口を出てすぐ近く、ココストアの裏手地下にありますが…
場所的には良い所なのに、とっても目立たない。
そういう意味で隠れ家っぽいのですが、お店の中もまたすごい。
沖縄っぽさはほとんどないものの、家庭的な落ち着く雰囲気。
そして全席座敷。
基本的にどの座敷も狭いです。
「ドラえもん体系」な方にはきついお店かもしれません。
また、地下1階にあって見たところエレベーターやエスカレーターがないので。
手すり無しで階段を降りるのがつらい方、要相談です。
車いすの場合、補助する人は前後にしかつけず、幅的に左右に人をつけることはできません。

極めつけは写真にもある、カップル仕様な二人用座敷。
写真はわりと広そうに見えますが、実物はこれ以上ないほどに超狭い！
二人が座るとかなりの密着感があるはずです。
なにしろテーブルは、鍋物でも頼んだらそれで一杯になってしまうような大きさ。
これで引き戸を締め切ったら…ねぇ？
イチャイチャし放題（笑

悪く言ってしまえば本当に狭い。
引き戸の無い座敷は隣のお客さんの顔が見えるので、他のお客さんとの距離感も意外と近い。
にもかかわらず、それがデメリットにならずむしろメリットになってしまう。
特別に凝った装飾があるわけでもなく、とてもシンプルな店内なのに。
仲の良い者同士なら密着感が居心地の良さを演出する要素となるのかもしれないし、
他のお客さんとの距離感が近いためか、うるさくバカ騒ぎする輩もいない。
静かに落ち着いて会話を楽しみつつ飲み食い、という目的にはとても良いお店です。

あらかじめ席だけ予約をしておくことをお勧めします。
おそらくはいつでも混んでいます。
以前予約無しで行ったときは満席で入れませんでした。
今日も「一杯だからだめだって」と言って出てくる人がいました。
また、万が一子ども連れの場合。
足湯がある個室とか、そういう所なら良いのですが。
そうでない普通の座敷だとかなりの気まずさを味わうことになります。
ちゃんと座っていられるなら良いのですが、飛んだり跳ねたりするお年頃の子は絶対にNGです。
なにしろ狭いので、ものすごい迷惑をかけることになります。


…雰囲気はこれくらいで、お料理など。
どれもおいしいです。ハズレなし。
見た感じ、580円の品物が多いですね。
男3人で取り分けると、1品あたりの量はどれもちょっと物足りない…
2人ならちょうど良さそうです。
ただ、「沖縄風ピザ」とでもいうのか。
そういうメニューがあるのですが、頼んだ品物の中ではこれだけが別格でデカかった。
名前通り「薄い」「焼いた」食べ物なので、同じ大きさのピザに比べればペロッと食べられますが、
それでもチーズがあるだけで結構な重量級でした。

モツ鍋のみそ味は標準設定で辛め。
喉に来る辛さ。
おそらくは他のお鍋も一緒です。
「うま辛味噌」的な味もあるようですが、それは相当辛いのでしょう。
味噌煮込みうどんとか「どて煮」とか、そういう愛知の「こってり味噌」で育った自分にはうす味ですが、
四国出身者と関東出身者は「うまい！」
なので、標準的な人にとってはちょうど良い、おいしい鍋のはずです。
事実薄いなぁとは思いつつ、おいしかったと思います。

珍しいのはお刺身。
マグロとサーモンしかありません。
三種盛だと、これにタコが加わるようです。
別物は馬刺し。
今までに食べたどの馬刺しよりも臭みがなく、おいしい馬刺しでした。
…お刺身の種類は少ない。
そしてお刺身に限らず、すべてのジャンルに共通して、メニューそのものはかなり少なめです。
サラダもチャンプルーも鍋も、どのジャンルもだいたい3種類ずつぐらい。

代わりに多いのはお酒。
色々な焼酎・泡盛が揃っていました。
これも沖縄だけに特化したお店の泡盛ラインナップ、
九州のみに特化したお店の焼酎ラインナップと比べると少ないのでしょうけれど。
料理か酒かというと、このお店は酒に重きを置いているようです。
泡盛カクテルだったと思いますが、これのどれだったかを頼むとマドラーがわりにサトウキビが付いてきます（笑

…メニューは少ないので、たくさんのラインナップからどれかを選ぶ、という楽しみはちょっと少ない。
（お酒は別として）
ただ、どれを頼んでもおいしいですし、店員さんも好感が持てる方々。
勘違いしていない適度な元気さ、笑顔。
呼び出しの「ピンポーン」は雰囲気を崩さない鳥のさえずりで、BGMは常に沖縄。
足し算よりも引き算の美学で、シンプルなお店の雰囲気と最低限のラインナップをそろえて、
欠かせない所にはしっかりと力を注ぐ。
そんな雰囲気を感じられるお店でした。
なにしろ、普通なら弱点にしかならないあの「狭さ」をあれだけうまく利用できるのですから。
行って損することは絶対にありません。